コラム

コラムバックナンバー

No.110 『 印刷材料のSP値について 』
2015/10

油性用のゴムロールでUVインキを使用した際、または、UV用のゴムロールで油性インキを使用した際に、ロールが膨潤してしまい印刷にならないことがよくあります。


これは油性用ゴムロールとUVインキ、もしくはUV用のゴムロールと油性インキのそれぞれの化学的性質「SP値」が近いことに起因しています。SP値は、溶解パラメーター(Solubility Parameter)のことで、文字通り溶解度の目安となり、その値が近い物質は互いに混ざりやすいという性質を持ちます。このため、SP値は、2つの物質の親和性を判断する指標のひとつとなっています。


当コラムでは、このSP値をより理解するために、「極性」と「膨潤」の関係性について説明していきます。


・「極性」

極性とは分子内に存在する電気的な偏りのことです。いかなる元素にも電子、つまり、負(マイナス)の電荷が存在します。例えば水分子(H2O)の酸素(O)と水素(H)にも、それぞれに電子(負の電荷)が存在していますが、水素のー電荷を酸素(原子核)が引き付けるため、酸素は負の電気的な偏りを持ちます。逆に負の電荷を引き付けられた水素は、正(プラス)の電気的な偏りを持つことになります。この差により、一般的に水は「極性が高い」と示されます。

この極性の偏り(差分)が、SP値の基本となります。ゴムにも、インキにも分子内に電気的な偏りがあり、それが極性となりますが、極性はSP値でその値を示します。

水は前述のとおり極性が高く(SP値が高く)、一般的に油は極性が低い(SP値が低い)。すなわち、水と油の2つの物質の溶解度は低く、言い換えますと親和性が低く「混ざりにくい」ということになります。


・「膨潤」

ロールの膨潤の仕組みは、油分子がゴム分子の間に入り込み、分子間を広げようとする力と架橋点のバランスにより生じますが、膨潤の有無、また、その大小は、ゴム材料と液体との親和性で決まります。同程度の極性を持つ材料、つまりSP値が近い材料同士ほど親和性が高いとされ、膨潤の度合も大きくなります。

油性用のゴムロールでUVインキを使用した場合は、両者共にSP値が高い(=親和性が高い)ので、膨潤しやすくなります。また、UV専用ロールで油性インキを使用すると、共に比較的SP値が低い(=親和性が高い)ので、結果としては同様に膨潤しやすくなるというわけです。印刷に於いての膨潤は決して歓迎出来るものではありませんので、インキとロールの組み合わせは、親和性が低いものを選択する必要があると言えます。

洗浄剤についても、SP値が選択の指標になります。洗浄剤の場合は、親和性が高い程、溶解力が上がります。従ってSP値の高いUVインキを洗浄する場合は、SP値の高い(=親和性が高い)グリコール系の溶剤で、SP値の低い油性インキを洗浄する場合は、比較的SP値の低い(=親和性が高い)鉱油などの溶剤がよく落ちるという事になります。

また、水とインキの組み合わせにもSP値が参考になります。水は前述のように、SP値が高く、同じくSP値の高いUVインキとは親和性も高いということになります。つまり、印刷工程中で、UVインキの方が油性インキよりも水に溶解しやすく、乳化トラブルを招きすいという事が言えます。

これまで述べてきたように、材料に含まれる成分が少々違うだけでも、印刷工程には大きな影響を与えます。材料の選択時には、コストや効率だけではなく、これら化学的原理も踏まえた上で、決定することが必須です。例えば、最近、インキが過乳化気味ではないですか?或は、ブランやローラーの変形・早い消耗に悩まされていませんか?ひょっとしてそれらは洗浄剤やH液との相性の悪さが原因かもしれません。

弊社では常に、様々な印刷材料との化学的マッチングを熟慮した洗浄剤、湿し水などの製品開発に注力しております。印刷材料についてお悩みのことがあれば、弊社までお気軽にご相談下さい。現行設備とのマッチングも踏まえた材料のご提案をさせていただきます。

 
筆者:
 
 

No.109 『 勉強会のすゝめ 』
2015/08

最近、印刷の勉強会開催をご依頼いただく機会が増えています。

最初は「たまたま重なっただけかな?」と思っていましたが、どうやらそうではなく、「今、改めて印刷の基本を学び直すべき」と真剣に考えている印刷会社(現場)が増加傾向にあるようです。

印刷会社、特に現場は、作業方法や仕組みを親切丁寧には教えないという、良くも悪くも古い慣例があります。自分も印刷現場出身なので思い当たることは多々あります。先輩から「これをやっておくように」と言われ、その作業自体はこなしていましたが、それが印刷物にどのような影響を与えるのか等の詳細説明はなく、自分も深く考えずにいた記憶があります。

例えば、「湿し水にH液を3%入れておけ」と言われればその通りにしますが、「なぜ3%なのか」「5%入れたらどうなるのか」「そもそもH液の役割とは何なのか」と考えを及ぼす人は、実は意外に多くはないのが現状だと思います。

また、昨今の印刷機械のオートメーション化に伴い、入社したばかりの新人でも、タッチパネルの操作等が出来れば、ある程度のレベルまでは簡単に印刷を進めることが可能になりました。それを悪いことだとは言いませんが、結果として、基礎が身につかないまま機長になってしまった人が増えています。本来、「何故?」「どうすれば?」と試行錯誤することで印刷技術や知識が身に着いていきますが、そうしなくても取り敢えずは何とかなってしまうのです。

10年前なら、それでも良かったはずです。しかし近年、クライアントから要求される印刷品質レベルが格段に厳しくなり、工場内の安全管理や使用材料の内容成分についても、一昔前とは比べものにならないほど、細かく厳しく要求されるようになりました。加えて印刷産業の縮小が追い打ちを掛け、結果、印刷会社は様々な点を改善し、体制をより強化し、更には新たな取り組み(印刷技術)に挑戦する必要にも迫られることになりました。しかし、いざ真剣に取り組もうと蓋を開けてみたら「うちの現場は意外と印刷をわかっていない」という事実に直面しているのです。 誤解しないで欲しいのですが、自分は今の印刷レベルが低いと言っているのではありません。「実際に印刷作業を進める」という点においては、毎日のように印刷機械に触れている方に自分などとても及びません。ただ、「印刷を理論的に理解する」ことに関しては、やはりちょっと足りていないかなと感じることがあるのです。

@説明出来ますか?

例えば、最近こそ使用される機会が減りましたが、印刷の湿し水にはIPAの投入が必須でした。今でもUV印刷や絵柄の重い印刷、特殊な原反の使用時にはよく使われます。IPAは排除しても代替アルコールを使用する会社はまだまだ多いです。
では、そのIPAは何のために入れるのか、論理的に説明出来ますか?先を読み進める前に、先ず考えてみて下さい。

 ・
 ・
 ・

では答え合わせです。

A:「印刷作業が楽になる」「印刷が安定する」「汚れを解消する」

このように考えた方は意外と多いのではないですか? 間違いではありません。しかし残念ながら不十分です。実際の勉強会において同様の質問をした時も、やはり上記のような回答が多いですが、印刷を理論的に捉えるという意味では、正解とは言えません。

より正しくは・・・

  • 「水の表面張力を下げる」
  • 「その結果、給水ローラー上の水膜が薄く均質となり、給水コントロールを容易にする。版面を均質に濡らすことが出来る」
  • 「殺菌効果がある」

などなどです。他にもありますが、これらがIPA(代替含む)を使用する主な理由です。どうでしょう?完璧な回答が出来ました?日頃、何気なく使用しているIPAでも、意外にキッチリと説明することは難しかったのではないでしょうか。

A何故、理論が必要か

さて次に、なぜ理論武装する必要があるかという点についてです。中には「そんなこと知らなくても、規定量のIPAを入れておけば印刷作業には支障ないのだから知らなくても問題ない」と考えた方も、ひょっとしたらいらっしゃるかもしれません。
では、あなたの会社でも環境面に配慮し「完全アルコールレス化」を目指すことになったとしたらどうでしょう?コスト削減の面から代替アルコールもNGとします。
ちょっと途方に暮れてしまうかもしれせんね。或は、「印刷というのはIPAを入れて行なうものだから、そもそも無理!」とか「印刷機械が古いから無理!」などと最初から拒絶反応を起こしてしまう人もいるかもしれません。しかしここで、IPAの効果を論理的に把握していれば、解決するためのアイデアが浮かぶのです。 具体的な例を挙げましょう。

  • 「水の表面張力を下げる」
     →「近い効果を持つH液を選定する」

  • 「給水ローラー上の水膜が薄く均質となり、給水コントロールを容易にする。版面を均一に濡らせる」
     →ローラーを良い状態に維持し(グレーズ処理など)水やインキの転移性を上げる
     →ローラーの種類を変える、ローラーニップを変えてみる
     →水棒が親水性を保つよう処理剤を使用する

  • 殺菌効果
     →ろ過装置を設置する
     →水をこまめに交換する
     →殺菌剤を投与する

などなどです。IPAの効果を把握していれば、それに近い効果を得られる別の方法を模索することも可能です。逆に知らなければ「無理だよ」で終わってしまいかねません。 勿論、印刷にはIPAだけでなくローラーやH液など様々なものが影響を与えますので、それらの基本的な理論も知っておく必要があります。そのために、印刷の基本について改めて学ぶ場を設ける必要があると思うのです。



B知識の共有

印刷の基本を学ぶ時、出来る限り全員で参加して知識を共有した方が良いのは間違いありません。前工程・後工程のことを考えたら、印刷現場だけではなく、刷版や製本、さらには生産管理や営業部門も一緒の方がより良いでしょう。


この「知識の共有」は非常に重要です。社員のベクトルを合わせるという意味も勿論ありますが、何より「作業の標準化」を進める上で必要不可欠だからです。「作業の標準化」はいわゆるTOYOTA方式でよく出てくる言葉です。TOYOTA方式は、作業手順等を常に「改善」していくことで有名ですが、「改善」というのはそもそも「作業の標準化」がなされていなければ行なえないという考え方です。


印刷現場の話に例えてみましょう。リピートの仕事を複数の印刷機で、常に同じように印刷出来るよう印刷機の状態や印刷環境を改善したいと考えたとします。しかし、印刷方法や印刷機のメンテナンス方法が毎回違っていたり、人によって異なっていたら、何らかの改善を実施したとしても結果が当然異なります。結果が毎度異なってしまうのであれば、これはそもそも改善とは呼べませんね。印刷機は1台1台癖がありますから、同じように取り組んでいたとしても、全く同じ印刷結果を残すことは出来ません。しかし、出来る限り近い状態にすることは可能です。それには、日常の印刷やメンテナンスの方法を先ずは統一する、すなわち「標準化」することが重要です。その後で、メンテナンス方法を新たに変更したり使用材料を替える等の「改善」へと進めるのです。この「標準化」の過程において、「印刷機の構造」や「湿し水が印刷品質に与える影響」等の基本的な印刷知識を全員で共有することが必要になるのです。


Cトップダウンで全員参加!

勉強会を実施する場合、最初はトップダウンで半ば強制的にでも全員参加を促した方が良いと私個人は思っています(少なくとも印刷担当者は全員)。現場から自発的に勉強会実施の声が上がることもありますが、これはむしろ稀で、多くは上司に命令され嫌々参加するというのが実情です。プロ意識から「今さら基本なんて・・」と思う機長さんがいるのは無理もないですし、貴重な就労外の時間が奪われてしまうことを嫌がる向きもあります。自分も現場出身者ですからそういう気持ちはよくわかりますが、かと言って、自由参加にしてしまうと参加者はグッと減る可能性があり、先述した「知識の共有」に繋がりません。そういう観点から考えると、どこかの会場で行なわれるセミナーよりも、我々が実施しているような印刷会社様へ直接赴く勉強会がBetterだと思います。「ローラーについて」とか「湿し水について」などなど、ご希望のテーマも選んでいただけます。仮に、最初はムスっとしていたとしても、そこから先、興味を持ってもらえるように進めていくのが我々の仕事であり、腕の見せどころでもあります。

これを機会に、勉強会の開催を検討してみてはいかがでしょうか?

 
筆者:
 
 

No.108 『 印刷技能検定1級の学科試験に合格するためには 』
2015/07

私が普段訪問している印刷会社様より、印刷技能検定1級の試験のことで相談を受けました。 この悩みは他の会社様にも共通していることと思い、お伝えしたいと思います。

ご相談頂いた内容は次のようなことです。

「実技試験については毎日印刷しているのでそれ程心配していないのですが、問題は学科試験です」

その会社様では学科試験を昨年落ちた方が居られ、かなりナーバスになられていました。まず、印刷技能検定1級の学科試験の合格基準をお伝え致します。

  • 試験問題は50問あります。1問正解すると2点で全問正解で100点満点になります。
  • 合格基準は65点なので33問正解すれば合格です。
  • 50問中25問は2択(◯×問題です)、残り25問は4択です。
  • 何れも全て短文で書かれた文章の内容を◯×で判定するか、4つの文章の中から正しいものを選ぶだけです。
  • 文章を書くという問題はありません。

では合格に向けて細かく分析したいと思います。

まず、勉強せずに適当に解答した時の点数を計算してみました。2択の正解率は1/2なので50点中25点獲得したとします。次は4択なので1/4正解したとして50点中12.5点、合計で37.5点になります。少し乱暴な計算ですが勉強しなくても37.5点は獲得出来ます。後27.5点分勉強すれば合格基準の65点になります。印刷の実技には自信があるけど学科には全く自信が無いという方でも追加で14問正解すれば合格です。

但し、難問があります。

下記は昨年度(平成26年)の印刷技能検定1級で実際に出題されたものです。
◯×問題25問の中から10問をピックアップしてみましたのでチャレンジしてみて下さい。

 
問1.
デジタルデータをプリントするインクジェットプリンターの色再現の原理は、減法混色でなく、加法混色である。

問2.
CTP版は、網点の品質が高いサーマルタイプが主流である。

問3.
平判原紙の四隅の角度は、日本工業規格(JIS)で90±0.2°と定められている。

問4.
PRTRとは、化学物質排出移動量届出制度の英文略称のことである。

問5.
電力量は電力と時間の和である。

問6.
交流モータの回転数は、使用する電源の周波数にかかわらず一定である。

問7.
有機溶剤中毒予防規則において、有機溶剤等とは、有機溶剤または有機溶剤含有物(有機溶剤と有機溶剤以外の物との混合物)で、有機溶剤の含有率が5%(重量パーセント)を超えるものをいう。

問8.
湿し水は、温度が高くなるに従い、粘度が高くなる。

問9.
グラビア印刷法による印刷物には、マージナルゾーンが生じない。

問10.
スノーフレークとは、ベタの部分に表れる白抜けの点の集まりのことで、主として湿し水に関係する。

  
いかがでしたでしょうか?

自信を持って答えられたものはいくつありましたでしょうか。普段皆様がオフセット印刷の現場で使われている言葉以外のものばかりで、難しく感じられたのではないでしょうか。

2択と4択問題なのでそこそこの点数は取れるのですが、あと少しというところは勉強しないと合格出来ません。勉強方法としては直近3年間分の過去問を使うことをお勧め致します。

過去問が入手困難な方は、弊社営業にご相談下さい。また、弊社営業部ではほぼ満点で合格した強者が居ります。問題の内容でわからないことがあればお問い合わせ頂ければお答え致します。

ご要望があれば勉強会も開催しております。
合わせてご相談下さい。

このコラムを読んで頂いた皆様全員が印刷技能検定1級に合格されることを心よりお祈りしております。


技能検定合格証書
一級技能士章

 

 
筆者:
 
 

No.107 『 今年はIGAS2015の開催年 』
2015/06

皆さんもご存知かと思いますが、世界の4大展示会と言われています、ドイツのDrupa、日本のIGAS、イギリスのIPEX、アメリカのPRINT。 しかし、これはもう既に過去の事で規模から言えばドイツのDrupaに次ぐ展示会は中国のPrint Chinaではないでしょうか。世界の印刷市場は後進国では伸びているものの、主要先進国での衰退が大きく全体的にも冷え込んでいる市場となっています。日本の印刷産業を見ても、1991年年の約9兆円から2010年には6兆円となり、現在では6兆円を下回っていると思います。

今年はIGAS開催年ですが、同じく過去を振り返ると、1991年の晴海と幕張同時開催時の6,325小間で来場者数422,000人をピークに前回の2011年開催時は2,740小間で来場者数は73,554人となっています。この20年で小間数は半減、来場者数も激減しているのが現状です。過去を振り返っても仕方の無い事ですが、これが我々が関係している印刷産業の現状です。その中で開催される今回のIGAS2015のテーマコンセプトはPrint+innovation(プリントテクノロジーのさらなる挑戦)となっております。

 ※詳細はIGAS2015(http://www.igas-tokyo.jp/)のHPを参照願います。

社会のデジタル化が進み紙媒体での情報発信は確実に減少していきますが、決して無くなることは有りません。しかし、今後飛躍的に伸びることも無いでしょう。その中で生き延びる為にはやはり今回のテーマにもなっていますが変革や新たな挑戦は必須です。 弊社でもスクラップ&ビルドをテーマに、古き無駄な事は排除し、新たな発想・仕組みを取り入れることに力を入れています。今回のIGAS2015でも、皆様にとって新たな変革のヒントが見つかる展示会になればと期待しております。 弊社も出展予定で、長らくお待ち頂いているロハスカタログの最新版をお配りする準備を進めております。

最後に冒頭で説明した世界の4大展示会は4年に1度の開催でしたが、来年のDrupa2016以降は3年に1度の開催になるようで、日本もJGASを廃止して同じく3年に1度の開催となるようです。IPEXとPRINTの情報は入っていませんが、もう世界の4大展示会と言う言葉は使われないかも知れませんね。

 
筆者:
 
 

No.106 『 単価を上げてコストダウン!? 』
2015/05

先日、お客様から湿し水の相談を受けました。湿し水の相談と言うと、地汚れや何かのトラブルを抱えていることがほとんどですが、今回のお客様ではこれといったトラブルは抱えてはいませんでした。では、どのような相談だったかと言うと「もっと高価で高性能なH液に変更したい」という内容。このご時世に高価な物に変更という要望を受けるとは思ってもみなかったので、正直驚きました。

お客様の考えを詳しく説明すると、今よりも印刷条件を良くしてより高品質な印刷物を仕上げていきたい。ただし、トータルコストのアップはNGなので、高価で高性能なH液を使いつつ、それをコストダウンに繋がる方法で実行したいとの事。

具体的には、湿し水の交換頻度を下げる事でコストダウンを計るという考え。こちらのお客様では、これまで湿し水の安定化を求めて毎週一回の水交換を行っていました。水交換を行うとその都度一定量のH液を必要とするので、毎週交換していると大きなコストアップに繋がります。例えば、100LタンクにH液の添加料が2.5%の場合、交換時に必要なH液は2.5Lで月に10L消費します。つまり、交換するだけでH液一本分を使用しているということになります。しかし、交換をしなければ、この部分のコストはゼロとなります。今回のお客様はここに目を付けたわけです。仮にH液の単価が2〜3割上がったとしても、それにより印刷条件が良くなり印刷品質は向上、さらに水交換の頻度を下げる事でトータルコストも下げることが可能になるのです。

そのような考えのもと、4月から弊社が提供するH液のテストを開始。一ヶ月経過時点でのお客様の感想は、朝晩における水上がりの変動が少なく一日を通して安定した印刷が出来るようになった。水が絞れるのでインキの濃度がアップし、体感的にはインキの使用量の削減にも繋がっているそう。そして、課題であった湿し水の交換に関しても、一ヶ月間交換せずに使用を続けたが一ヶ月通して安定しており、とても良い条件で印刷することが可能になったそうです。

この話しは、資材の単価が上がったとしても、それが本当に良い製品であるならば、結果的にトータルコストを下げる事が可能になるという一つの例です。

現在の印刷現場ではコストダウンというのは命題の一つであり、日々取り組まれていると思います。しかし、コストダウンを計る事で印刷資材の質を落としていることも多く見受けられます。輸入紙などの影響により印刷の条件は悪い方向に進んでいますから、そこに資材の質の低下が加われば、印刷品質の低下や時間的なロス(コストアップ)にも繋がることは明白です。

洗浄剤のコストを落として、ローラーやブランケットの交換頻度が上がってはいませんか?もし、「資材の単価は下げているのにトータルコストでは下がっていない!」という経験があるようでしたら、どこかで資材の選定に無駄が生じている可能性があります。資材コストを下げる為には、上記のような考え方も時には必要ですので、参考にして頂ければ幸いです。また、ロハスプリントでは資材コストの削減に関するご相談も常時受け付けておりますので、ご興味がありましたらいつでも連絡お待ちしております。

 
筆者:
 
 

No.105 『 湿し水の選定とテストについて(後編) 』
2015/04

前回のコラムでは、エッチ液の変更を考えている方のためのテスト準備についてお話ししました。今回は、いよいよ実際にテストしていく上での注意点を挙げていこうと思います。

我々メーカー側は、様々な状況、印刷機構に応じて、それぞれ個性を持たせたエッチ液を複数持っています。前回までで、どんなエッチ液を使用して、どのような改善を目指すのか、明確な目的も出来ました。さて、テスト当日、我々メーカー側も、もちろん現場のオペレーターの皆さんも、期待と不安が入り交じっていることでしょう。(僕はテストの日はとてもリラックスしているように見られますが、実はとても緊張しているんです)ここでは、僕がテストする際にいつも注意していることを順番に挙げていきます。

(1) テストする印刷物はどのような物が良いか?

印刷物を総合的に評価するのであればテストチャートをご用意頂くのがベストですが、目的がハッキリとしていて、判断の基準がそこにあるのなら、合否が一番わかりやすい、リピート物で苦戦しがちな印刷物が良いと思います。
たとえば、掛け合わせで濃い藍色のベタがあり、水ムラが出ているのを何とかしたい、というような場合は、その印刷物を刷ってみるのが一番ですよね。そして、必ず同じ物を今までのエッチ液で印刷した物を用意して下さい。エッチ液変更によって何が変わったのか、確認するためには比べる対象が必要です。

(2) 普段とどこが変わっているかを書き出してみる

エッチ液が変わるのですから、当然何か違いが出てくるはずです。それが良いことでも、悪いことでも、とりあえず気がついた順に 書き出してみます。
「刷りだしに時間がかかる」「水の目盛りが上がった」「濃度が薄くなった」、、、
書き出してみることで、今何が起きているのか、どこが変わったのかがよくわかります。
例えば、上記の現象が起きているなら、インキの初期乳化が足りておらず、水がローラー表面に余っていると考えられます。
対処法としては、ニップを強めに決める、エッチ液の濃度を上げる、等がありますね。

(3) トラブルが解決したか確認

これは当たり前ですが、ただ、問題もあります。ロングラン適正や、結果が出るまで1週間以上かかる事例(調量絡みなど)はしばらく様子見と言うことになります。この場合、メーカーの担当者とすぐに連絡が出来るようにしておきましょう。 普段と違う挙動を示したときにも、僕たちは過去のいろいろな事例を持っていますので、最適な対処方法をお知らせします。

(4) 何か問題が起きた場合、原因は様々

すぐに汚れてしまう、給水の数値が上がってしまう、調量ローラーに絡む、、、万が一、こんな状態になったら、なぜそうなったのかをメーカー担当と話し合い、解決していきます。
最近、こんなケースがありました。
僕が新しいエッチ液のテストを行った際に、墨のユニットだけ絡み汚れが発生し、まったく刷れなくなってしまったのです。
連絡を受けて見せて頂くと、確かに全体的にかぶったように汚れてしまっています。
実は、もともとこの現場では、添加装置の状態が悪く、以前のエッチ液は1%も入っていませんでした。水上がりが悪いためにたくさん水を出していて、それに併せてインキも普通以上に出していたんです。今回、エッチ液を適正に添加して、ローラーニップも見直したため、給水効率が大幅に上がっていました。そして問題となった印刷物は墨の消費量が少ないリーフレットでした。
他のユニットは給水の数値も下がり、印刷も問題なかったのですが、墨のユニットだけはインキが多すぎて過乳化してしまったのでした。

エッチ液のテストは大変敷居が高そうですが、きちんと準備をして、予測を立てた上で望めば、それほど難しくはありません。普段の自分の印刷作業を見直すことも出来ますし、良い結果が出れば品質向上への意欲も高まるでしょう。もちろん、ASIAMIXでも資材選定から作業内容まで最大限のお手伝いを惜しみません。 皆さん、是非エッチ液のテストをしてみませんか?楽しみにお待ちしております!

 
筆者:
 
 

No.104 『 インキのセット性、乾燥性の向上に着目した湿し水の処方 A 』
2015/03

前回のコラムで、「オフセット印刷におけるインキのセット性、乾燥性を向上させる為の最重要な課題はいかに水が絞れるかという事に尽きる。インキがセットされ、乾燥する過程でインキに残留する水分を、最小に抑える湿し水の設計が必要」と述べました。

今回はその設計についてよりくわしく説明したいと思いますが、その前に、一昨年あたりから話題になっている版材メーカーからの乾燥性に関するアプローチ、すなわち「マルチグレイン(砂目に細孔を施し、保水性を上げる技術)のサーマルタイプの版と特定の無処理版では、どちらが乾燥性が良くなるのか」について私見を述べたいと思います。

  1. 版の水を保持出来る上限量が比較的少ない版でも、版上で十分に不感脂化性能を発揮できるように、水ダイヤルによるものではなく、湿し水そのもの特性(表面張力、動粘度)で、水上がり量を少なくし、適正な水量をダイヤル上でコントロールし易いようにすると、同時に単位容量あたりの不感化性能を高める設計が必要です。

  2. 単位容量あたりの不感脂化性能を高める事は、機械停止時の版面の乾き、及び、再運転時の汚れ(ストップ汚れ)を防ぐ為にも有効ですが、インキ中に残留する水分中の保湿性をUPさせ、乾燥を遅らせる働きもあります。このため、湿し水の処方設計に関するコラムでは繰り返し述べている事ですが、インキと水の機械的な摺り乳化による水のインキへの入り込みと、版上でのインキからの水の吐き出しが、インキの特性にマッチさせる必要があります。特に後者の水の吐き出しを重視させる設計が重要です。インキメーカーや、インキの種類(油性・UV・高感度)など、インキ設計のコンセプトよって、マッチする湿し水の処方も変わってきます。

  3. 湿し水の処方材料を選択する際、なるべく版の金属表面を腐食させる物質を選択しないようにすることが重要です。腐食させる物質を含む場合、機械停止時に版面が乾くと、版面上で濃縮され、その物質濃度が高まり、版面の部分的な腐食を促進し、ストップ汚れを招く事があります。湿し水は、弱酸のpH領域で使用されますが、pHが3.5を切るオーダーでの使用が続いたとしても、版表面の酸化から腐食につながる事もあります。従って、希釈時のpH標準設定値にも、処方設計で注意が必要です。


前回のコラムでは「ロハス1QD」を紹介させて頂きましたが、前回から続くインキのセット性、乾燥性の向上を設計コンセプトとして、ドライヤーの添加をせずに実現した「ロハス1K3」も上市しましたのでテストの機会を頂けたら幸いです。

 
筆者:
 
 

No.103 『 材料屋と上手に付き合う方法 後編 』
2015/02

2014年6月のコラムで「材料屋と上手に付き合う方法・前編」をお伝えしました。材料屋と印刷現場の両方の目線で資材の購入について考え、「価格の話はNG」「合見積もりの弊害」など多少辛辣な内容をお伝えしましたが、お読みいただければ「なるほど、そうかも」と思っていただけたと思います。今回のコラムは後編「このような材料屋を選ぶと吉」です。材料屋から見た良い材料屋とは、いったいどのような人物なのか?バックナンバーと併せてご覧いただければ幸いです。

さて、印刷会社には様々な業者が出入りしています。長い付き合いがあったり、資材部の取り決めだったりで、選択の幅にも制限はあると思いますが、より良い業者と取引をしたいとお考えなのであれば、以下の4つの点に注目したら面白いのではと考えています。

その1「価格の話をしない業者を選べ」
前編とちょっとかぶりますね。これは、何も値段交渉をするなと言っているわけではありません。
購入コストを抑えることは当然企業努力であり、会社運営において必要不可欠な要素です。ただ、「うちの○○という製品はとにかく他社さんよりお安いですから」とか「現在お使いの△△は、おいくらで購入されていますか?そうですか、それならうちの○○の方が断然お安いですよ!」などと最初から価格の話しかしない業者はちょっとどうかなというお話です。
営業マン目線で考えると、値段で商権を取りにいくというのが、実は1番簡単で、最も苦労のない販売方法です。しかし裏返せば、その手法を取る営業マンには、価格以外に語れる知識・材料が無いという可能性にも繋がります。高い製品には高い理由があり、安い製品には安い理由があります。そして、印刷現場が抱えている問題には、コストだけではなく印刷品質や作業性に関わることが多々あります。優秀な営業マンであれば、そういった現場での問題点を確認・考慮した上で、トータル的に提案をしてくれるはずです。勿論、そこにはコスト面も含まれますので、その後の価格交渉は購買担当者の腕の見せどころというわけです。

私事ですが、先日、ファンヒーターを購入するため、とある量販店に行ったのですが、店員さんからは「電気代がお得」とか「他店より安い」とかありきたりの説明しかありませんでした。何となく釈然としなかったので他店へも足を運ぶと、そちらの店員さんは「何故、電気代がお得なのか」「どう使えば節約出来るのか」「現状はA製品のパワーがマッチしているが、広い部屋への引越しを考えているならB製品(ただし割高)」などなど、細かい説明をしてくれました。どちらで購入したのかは、言うまでもありませんね。

その2 「他社製品も薦める業者は優秀」
営業マンであれば自社製品を販売したいのは当然です。しかし自社製品の中にはお客様の要望に叶うものが存在しない時もあります。また、コストや効能がどうしても他社品に劣ってしまう場合もあるでしょう。そんな時に「○○社のAという製品が良いらしいですよ」と素直に言える営業マンは優秀であると私個人は考えます。潔いからとかそういうことはありません。お客様に対しBESTな方法を探したいという意思があり、また、そのための引き出しを多く持っていると感じるからです。このような営業マンと付き合っていけば、その後印刷トラブルに見舞われても、必ず何らかの改善案を提案してくれると思います。

再度私の体験談で恐縮ですが、先日、音波歯ブラシが欲しくて電化製品の量販店へ行きました。売り場にはメーカーから出向されているアドバイザーの方がおり「これは色々と詳しい話が聞けるな」と喜んだのですが、そのメーカーのラインナップには電動歯ブラシしかありませんでした。私としては音波と電波の違いなども興味の対象だったのですが、その方は、自社の電動歯ブラシを次々と紹介するばかりで、他社の音波歯ブラシとの違いについて聞いてもハッキリとした説明はしてくれませんでした。結局「検討します」と言って違う店へ足を運ぶこととなりました。べつに恨みがましく思っているわけではありませんが、次に買い替えの機会があったとしても、そのメーカーはちょっと頼りにくいなぁと感じています。

その3 「代替案に注目!」
H液に対してH液、洗浄剤に対して洗浄剤とストレートに紹介してくるのが通常の営業マンですが、時に変化球を放り込んでくる営業マンもいます。
例えば、「今のH液だと乳化しやすい」「このインキは乳化しやすい」というような話になった場合、普通ならダイレクトに新しいH液やインキを紹介します。しかし、ちょっと思考を変え、ローラーのグレーズ処理やニップ調整といったメンテナンスについて、また、湿し水や空調の管理方法についてなど、現場環境に言及する人がいたとしたら、かなり信頼に値すると思います。印刷というのは、化学や物理の複合技術ですから、単純に材料を1つ変更するだけでどうにかなるものではありません。様々な角度からアプローチを試み、総合的に機械状態・印刷品質を向上させる必要があります。場合によっては、H液を変更せずとも、ローラーメンテを実施することで過乳化が改善することもあるかもしれません。
しかしそれには、その2で述べたような「引き出しの多さ」が必要になります。経験豊富で、かつ常にアンテナを張っている営業マンほど効果的な代替案が飛び出すはずです。印刷作業に従事されている方は、当然、その道のプロフェッショナルですから、材料以外のこと、メンテナンスや印刷作業の進め方に口を挟まれるのを不快に感じることもあるとは思います。しかし、材料屋もまた様々な印刷現場を見続けてきたプロです。H液について相談した際、違う方法論を提案されるようなことがあったとしても「あいつは作業に口を挟んでくる」とは考えず、「異なるアイデアを持つ仲間」として積極的に受け入れてみてはいかがでしょうか。

その4 「最後の決め手は情報量!」
個人的な意見ですが、印刷材料は大まかに3つに分かれると私は考えています。

1.コスト削減に貢献する1製品
2.印刷品質・作業性向上に貢献する製品
3.その中間

理想を言うなら、1と2を併せ持つ製品ということになるのでしょうが、「その1」でも述べたように、安い材料には安い理由、高い材料には高い理由があり、両方を求めるのは正直不可能と思います。3のようなコストも品質もまぁまぁという製品もありますが、裏返せば中途半端な材料ということになるので、ちょっと注意が必要です。とにかく、使用する材料を3つのカテゴリーに分けた上で取捨をしていくという作業が、材料選択の第一歩となります。
では、いざ絞り込みをしていく際、何を決め手に絞り込んでいけば良いでしょうか?これはもう材料屋の情報量に委ねるのがBESTだと思います。
例えば同一のH液であっても、印刷機やインキのメーカーが異なれば水上がりや乳化状態も異なります。安価な代替パーツでOKな箇所もあれば、高額でも長持ちするものを使用した方が良いという場合もあります。パッケージ印刷のように印刷品質をとことん追及する場合と、オフ輪印刷のようにスピードを重視する場合では、当然、使用する製品の選択肢は異なります。
優秀な営業マンなら、様々な印刷会社での実例を踏まえ、それぞれの条件にベストマッチするものを提案してくれます。そのために必要なのが「情報量」なのです。営業マンにどれだけ多くの印刷・資材知識があるか、どれだけ多くの印刷現場を見てきたか、ということがより良い資材選択の決め手になるのです。勿論、最終的に判断するのは印刷会社の方ですが、多くの引き出しの中から、その現場や条件に合った材料を絞り込んで提案してくれる営業マンがいれば、重宝すること間違いなしです。
また、情報とは、材料のことだけではありません。「業界でどのような印刷機が導入台数を増やしているか」「今後トレンドとなりそうな印刷技術は何か」というような業界の動向も情報の1です。材料屋からそういった情報を仕入れることで、自社の新技術・新製品のヒントになることもあるのではないでしょうか。

前・後編でお伝えした「材料屋と上手に付き合う方法」ですが、「恐らく賛否あるだろうな」という思いを抱きながらの執筆でした。とは言え、今までと違う目線での投げ掛けは出来たのではないだろうか?という思いもまた同時にあります。
最終章でも述べたように、今、膨大な情報をいかに仕入れ、いかに取捨出来るかが、未来を左右する大きなテーマになっていると感じています。これは、印刷業界に限らず、現代を生き抜くこと全般にも言えるはずですが、そのためには今までと違う目線を持つことも時に必要になってきます。我々ASIAMIX株式会社のメンバーが、その一助となれれば良いと願っております。

 
筆者:
 
 

No.102 『 ASIAMIX イヤーブック 2014 - 2015 』
2015/01

皆様、明けましておめでとう御座います!
ASIAMIX株式会社、代表の東海林(しょうじ)です!

2007年にスタートしたこの月間コラムも、8回目の正月を迎えることとなりました。そして、弊社の昨年と今年の活動をご報告する「イヤーブック」も5年目を迎えました。毎年ながら、時の流れは早いものです。昨年は弊社の第51期にあたり、小生と致しましては弊社代表に就任してから10期目の年となりました。よく「会社を潰す3代目」と言われますが、よく10年間会社を潰さずに頑張ってこれたなと正直ホッとしているのと同時に、これから更に厳しさを増す国内情勢や世界のトップ1%のグローバル企業に富が集まる世界情勢を見て、今後の会社運営も本当に気を緩めずに臨まなかれば時代に淘汰されてしまうなと身の引き締まる思いで毎日を過ごしております。ということで、今回のイヤーブックでは、弊社の過去10年間の活動も含めて、皆様にご紹介したいと思います。

では早速、弊社のコアをなす印刷ビジネスから。

@印材ビジネス
小生が代表に就任した2005年、弊社は東京に本社を、そして埼玉に工場を持つオフセット印刷の資材メーカー商社で、関東の印刷会社様には直販、全国の印刷会社様には代理店様を通して販売するスタイルを取っておりました。しかし、年々印刷資材の価格競争が厳しくなり、商品のマージンもどんどん厳しくなっていく状況を見て、「全国に支店を持ち、エンドユーザー様への直販を増やす時代が来た」と判断して、大阪、名古屋、福岡、金沢に支店を設立して、全国展開をスタート致しました。また、10年前は海外約30カ国のメーカーと取引をする商社スタイルでしたが、その後、海外メーカーの倒産や吸収合併が増え、長年一番の取引先であったイギリスのメーカーが倒産してしまう事態も経験した為、「このまま海外製品だけに頼っていては駄目だ」と判断して、2009年に研究開発部を設立して、自社製品の開発をスタートさせました。この6年で発売をした自社製品は12種類、細かな番手も含めると36種類に渡り、その中でもメインとなる湿し水、「ロハス1」は全国の印刷会社様にご使用して頂ける製品へと成長し、毎年のように自社製品比率が上がっております。また、弊社の営業スタッフにはオペレーター出身者を集め、「印刷機を回せるスタッフが印刷資材を売る」という営業技術部を創り上げ、競合他社との差別化にも務めて参りました。2013年には営業スタッフ10人が国家試験である印刷一級に挑戦し、見事全員が合格するという嬉しいニュースもあり、現在では11人の営業スタッフ全員が印刷一級を持つ体制となっております。海外市場では、2007年にはアジア展開を開始し、先ずは中国の大連に子会社を設立し、2009年に上海支社、2010年に韓国支社、2011年には香港にグループヘッドコーダーを設立して、アジアでの販売活動も開始しております。小生は2011年に経理の渡辺と共に拠点を東京から香港に移し、香港からグループ全体を運営するというスタイルに移行しております。

昨年の印刷ビジネスは営業スタッフの頑張りが実り、年間予算も無事に突破し、厳しい市場の中、健闘できた1年となりました。5年間活動を行った韓国支社は、なかなか黒字化させることが出来ませんでしたので、昨年の夏に閉鎖をする判断を取りました。その代わりに、中国や香港では大幅な売上げ増が実現し、日本、中国、香港の全グループでしっかりと黒字を出せた1年となりました。

今年の印刷ビジネスは引き続き、弊社営業部の頑張りと全国の代理店様のお力をお借りして、より多くの印刷会社様に弊社製品を使って頂けるよう活動する1年となります。新製品と致しましては、今月から新たにアメリカのAir Motion Systems社のLED-UV装置の日本代理店となり、世界No.1シェアのパナソニック社に継ぐ実績を持つ、AMS社のLED-UV装置の販売を開始致します。また、新しいロハスカタログの製作も進めており、年内中には皆様に配布したいと考えております。

Aコーヒービジネス
10年前に代表に就任した時には、印刷以外のビジネスをスタートするとは考えてもいなかったのですが、自分の肌感覚では日本の印刷業界は毎年5%位づつ縮小しており、今の市場規模を1として、毎年0.95を掛け続けると、10年後には市場規模は6割になり、20年後は3割になってしまうことに気付かされ、2年前の創業50周年を機に、印刷以外の新ビジネスを立ち上げようと、この数年間、試行錯誤を続けて参りました。小生は大学時代をアメリカで過ごし、丁度アメリカに住んでいた1988年〜1995年にスターバックスが凄い勢いで全米に店舗を増やしていったことを間近で見ていたり、コーヒー、カフェ文化、建築・インテリアデザインが大好きで、社会人になってからの20年間、毎日国内外のカフェでコーヒーを飲んできておりますので、コーヒー全般に対する目利きは容易いということから、弊社のメーカーであり貿易商社であるノウハウを利用して、コーヒービジネスに参入する決断を致しました。先ずは個人的にハワイのコナにコーヒー農園を購入し、コーヒーの生産と物流を学び、国内外の生豆業者との取引を開始し、シアトルの世界最高峰のエスプレッソマシン「スレイヤー」の日本と香港(現在ではマカオも)の総代理店契約を結び、日本製焙煎機「トルネードキング」の輸出元となり、アメリカ製コーヒー器具「ケメックス」の日本以外のアジアの代理店、日本製コーヒー器具「カリタ」の香港の代理店となり、コーヒービジネスをスタート致しました。2013年の2月に香港で「Arabica Coffee Roaster & Farm」というコーヒーロースターをオープンさせ、昨年は香港で2店舗目、9月に京都にフラッグシップストアとなる「アラビカ京都」をオープン致しました。この「アラビカ」というブランドを創る際に考えていたことですが、今まで社会人になって20年間、海外の製品を輸入販売する商社ビジネスを行ってきた訳ですが、小生も40代半ばとなり、「いつかはSONYやTOYOTAの様に、日本ブランドで世界に勝負をかけたい」という想いがあり、アラビカではこれにチャレンジしてやろうと、スローガンを「See The World Through Coffee」とし、京都のフラッグシップストアを拠点に、世界にフランチャイズ展開を目指そうとスタートさせました。その想いが伝わったのか、京都店をオープンした翌月には、中東のクウェートの会社が熱心に「中東でアラビカをやらせて欲しい」と言ってきて下さり、実際に会ってみると、とても信頼の置ける会社でしたので、京都とクウェートで交渉を重ね、12月に晴れてフランチャイズ契約を締結致しました。現在その他の国からもフランチャイズの依頼が舞い込んでおりますので、1つ1つ丁寧に対応して行きたいと思います。今年のコーヒービジネスは1月に香港の中心地に3店舗目をオープン。そして3月にクウェート店がオープンする予定です。香港で4店舗目の話も舞い込んでいる状態で、コーヒー豆の取扱量も劇的に上がることが予測されますので、今からしっかりと準備をしていきたいと思います。

Bドメインビジネス
昨年のイヤーブックでもご紹介した、弊社のもう1つの新ビジネスであるドメインビジネスも、1歩1歩前進している最中です。現在は今年の春の販売開始に向けて、弊社が保有する.fanと.fansという2つのドメインを世界に向けてどう売って行くかの準備を行っております。英語圏の国では、.fanよりも.fansの方が好まれるということで、例えばNYヤンキースにyankees.fansというドメイン名を使ってもらい、.fanの方は、ヤンキースのファンに対して、私の名前でしたら、shoji@yankees.fanというeメールを月額幾らかで購入してもらう代わりに、ヤンキースの試合の優先購入権を与えられないか?などのビジネスモデルを創り上げている最中で、アメリカのグーグルの本社にこのeメールサービスでコラボが出来ないか?とプレゼンに行ったり、アメリカ、イギリス、オーストラリア、イタリア、日本などのスポーツチームや芸能事務所やレコードレーベルに使用をしてくれないか?と営業をかけている段階にあります。ドメインビジネスのスタッフは日本人、イタリア人、ロシア人、イギリス人、アメリカ人、オーストラリア人と国際チームを組んでおり、毎週グーグル+のビデオ会議でミーティングを重ねて運営をしております。小生の時間の配分と致しましては、印刷ビジネスは優秀な3人の取締役に可能な限り任せて、コーヒーとドメインという新しいビジネスにより多くの時間を費やして、印刷・コーヒー・ドメインという3つのビジネスで100周年を目指せる会社を創り上げていきたいと思います。

しかしながら、弊社の基本の基本は印刷ビジネスにあり、今年も全国の印刷会社様、代理店様に喜ばれる商品とサービスを追求していく所存で御座います。引き続き、ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します!

最後になりますが、昨年スタッフの投票により、年間MVPに選ばれた、営業技術部の吉岡、そして今年から課長職に昇格した購買部の吉田と総務部の森田。また、昨年から今年にかけて入社した新入社員をご紹介致します。

皆様、今年もイヤーブックをお読みになって頂き、有難うございました!

 

 
筆者:
 
 

No.101 『 2015年はこれで勝負!! 』
2014/12

今年も早いもので12月になりました。
今年1年は如何でしたでしょうか。

また、冬休み中は「2015年は何をして会社の業績を伸ばすか?」を考える良いタイミングではないでしょうか。 昔は印刷現場は営業が持ってきた仕事をこなすことだけが仕事でした。今では印刷現場にも会社の業績を伸ばすための課題が与えられていることが普通になりました。

ただ、印刷現場は受け身の仕事なので、印刷現場発信で会社の業績を伸ばす提案をすることが難しいのが実情です。

次にお話する内容は印刷現場から会社の業績を伸ばす素晴らしいアイデアと感じたのでご紹介致します。

先日、当社のH液の新商品「ロハス1-K3」をテスト導入して頂いたお客様のところに訪問をしました。年末の繁忙期を前にH液が定量添加されているかどうか、印刷物に問題はないかを確認するのが目的です。まず最初にタンク内の水温、糖度、導電率、pH値を計測し、H液が1.5%で正確に添加されていることを確認しました。 そして印刷オペレーターに使用感を確認したところ、とても嬉しい返事が帰ってきました。

以前に使用していたH液に比べ水膜が薄くなり、乾燥が格段に速くなりました。いつもなら300%以上の画線部があると後加工部門で乾き待ちという時間が必要でした。それがロハス1-K3を導入してからは乾き待ち時間が不要となり、短納期に対応出来るようになりました。良いことはこれだけではなく、湿し水の水膜が薄くなることで少ないインキでも濃度が出るため、インキの使用量も削減出来、コストダウンに大きく貢献することがわかりました。

インキの使用量が削減されることによるコストダウンと短納期対応が可能となり、営業面で大きな武器を得たと嬉しそうに話されていた工場長を見て、大きな手応えを感じました。

メリットを下記にまとめました。

・印刷物の乾きが速くなることで短納期対応という営業武器
・インキ、湿し水の使用量が減り、コストダウン
・網点がシャープになり、印刷品質向上



この厳しい印刷業界で皆様に少しでも喜んで頂けるサービスと商品をご提供出来るように、社員一同努力を続けて参ります。 まだ2014年も僅かに残っていますが、1年間有難うございました。心より御礼を申し上げます。
また、新年には元気な姿で皆様とお会い出来ることを楽しみにしております。

 
筆者:
 
 

No.100 『 進化し続けるLED-UV 』
2014/11

今年の10大ニュースにも挙がるかも知れませんが、2014年のノーベル物理学賞は、青色LEDの発明で、日本の赤碕勇氏、天野浩氏、中村修二氏の3名が受賞しました。大変嬉しい話題です。この青色LEDの発明により、LED技術が家庭用照明器具や信号機といった身近な所で使われだし、皆さんも良くご存知かと思います。

では、印刷業界ではどうでしょうか。2008年のドルッパにてリョービ株式会社(現リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社)が東洋インキ製造(株)と共同で省エネルギーで環境負荷が少ない次世代の「LED-UVシステム」を開発出展して注目を浴びました。

このシステムはUV波長を発生させる産業用LED-UV照射システムを松下電工株式会社(現パナソニック)から供給を受けて、リョービが世界で初めて、オフセット印刷機での活用に成功したものです。長年UV印刷に携わってきた私としても大変興味深く当時のドルッパを見学した事を覚えています。あれから6年が経過しましたが、オフセット印刷業界でLED-UVシステムはどのような発展を遂げているのでしょう。

まずは従来式のUV乾燥システムと比較してどのようなメリットが有るか確認してみたいと思います。代表的なメリットとしては以下の4つが挙げられます。(他にも多く有りますが…)

  1. 消費電力が大幅に削減される。
    従来のUVシステムと比較すると70〜80%消費電力が削減され、使用電気代も大幅に削減することが出来ます。

  2. 発熱が抑えられる。
    LED光源は赤外線(IR)を含んでいないので発熱が抑えられ、熱に弱いフィルム等の印刷にも適応します。

  3. オゾンや匂いを発生させない。
    LEDはオゾンを発生させない波長域の為、オゾンや匂いの発生が無く、従来必須だった排気ダクトを必要としません。

  4. ランプが長寿命。
    LED光源は長寿命で従来式と比較すると約12倍の寿命。結果的にランプの廃棄及びメンテナンスが軽減されます。

これだけのメリットを見れば、その後飛躍的に市場に広がったことだろうとお考えになるかもしれませんが、残念ながらそうとは言い切れません。メリットが有れば、当然デメリットも有るからです。最大のデメリットは装置自体のイニシャルコスト。それに加えて、LED-UV専用資材のランニングコスト。印刷単価が下がっている状況下で、簡単には導入が出来ないハードルも存在しています。

コスト面の他にもニスが黄変することや、紙面までの距離に制限が有ったことが販売当初はありましたが、ドルッパでの発表から6年が経過した現在ではどうでしょう。

着実にLED-UV機の出荷が増えると共に、パナソニック以外の装置メーカーも参入した事によりイニシャルコストも当時に比べると下がってきております。

当然、出荷台数が増えた事により資材(インキ等)のランニングコストも下がりました。また、ニス黄変の問題や紙面までの距離制限に関しても飛躍的に進化を遂げています。例えば、当初の紙面距離は10mmだったものが数年後には30mmになり、現在では80mmだったりメーカーによっては120mmのメーカーも出現しています。発売当初は商業印刷の薄紙に限定されていましたが、現在ではパッケージ印刷での導入実績もあります。これはパナソニック以外にも多くのメーカーが参入した事により、良い意味での競争がもたらした結果だと思います。

現在オフセット印刷業界に参入しているLED-UV装置メーカーは、私が把握しているだけでも国内メーカーは4社、海外メーカーも4社の計8社になります。まだまだ課題は多く残されていますが、装置及び資材面で確実に進化を遂げています。

ある機械メーカーでは、国内出荷印刷機の8割がUV機で、その殆どがLED-UV機との情報があります。近い将来は確実に一般UV市場でのシェアを広め、いつの時代かLED-UVが一般的になる可能性も十分に秘めていると思います。

私どもASIAMIXも、世界No.1シェアのパナソニック社に継ぐ実績を持つ、アメリカAMS社(エアーモーションシステム)のLED-UV装置の販売を行っております。既存の印刷機をLED-UV化にご検討されている場合は、お気軽にご相談下さい。

 
筆者:
 
 

No.099 『 速乾印刷 』
2014/10

先月の月間コラムでは、弊社開発の小林が印刷物の乾燥を速めるための湿し水からのアプローチ方法を解説してくれました。 その他にも様々な現場の要望に答えた製品群をこれから続々と開発、販売していく所存です。

様々な改良品、新製品を現場に届けるのが私たちの役目ですが、実際には、ただそれを 現行品と置き換えただけで効果を発揮する(トラブルが解消したり、品質が安定する)わけではありません。ですから先ずはテストを、となるわけですが、今回は湿し水(エッチ液)を例にとって、導入テストをする際の第一手をお話ししようと思います。これはオフセット印刷のメカニズムを考慮して、テスト成功率を上げるためには必須となります。

(1) 現在の状況や良い点、問題点を出来るだけ列記する

例えば、
「湿し水はA社の○○、インキはB社、印刷機はC社菊全油性機」
「室温は高いが湿度は低い。稼働時間は1日10時間で日曜日は休み」
「ローラーは交換したてでニップも良好」
「プロセス4色は問題ないが特色の仕事で汚れがたびたび発生する」
など、印刷作業の構成要素を出来るだけあげてみます。

現場だけでは製品同士の相性や多様な条件下での挙動などはなかなかわからないものです。逆にメーカー側はその現場の子細な情報を持っている訳ではありません。 現在の状況を、悪い点だけでなく良い点も書き出していくと、資材選定だけでなく、あらゆる改善策に対して役立ちます。

(2) トラブルがあればその内容をしっかりと記録

例えば印刷時の汚れなら、
「印刷用紙のどの位置が汚れたのか(咬え、全体、左右どちらか)」
「どんな汚れか(ベットリなのか、薄汚れなのか)」
「いつから汚れだしたのか(刷り出しからか、ロングラン印刷途中なのか)」
「どうやって対処したか、また、その後の経過はどうだったのか」
「頻発しているなら発生する際の共通点はないか (同じ紙を使用?時間は?)」
と、こちらも細かい点まで挙げていきます。

トラブルには必ず原因があります。その原因によってトラブルの内容は変化しますから、細かなところまで判ればそれだけ改善への対策が容易になりますし、しっかりと記録しておくことで、今後同じようなトラブルが発生した時に対応が容易になります。

(3) 以上を踏まえてメーカーに相談

エッチ液を変更することによって何を実現したいのかをお伝え下さい。 これで、各現場に合わせた最適なエッチ液を紹介出来ます。また、ひょっとしたら全く違うアプローチ(ニップの変更など)で改善するケースを紹介出来るかもしれませんし、思いもしなかった方面での成果(油性速乾など)を上げることが可能かもしれません。

(4) 日程を決める〜前準備

じゃあ明日から入れ替えて刷り出すか!という訳にはいきませんよね。湿し水の循環経路が汚れていてはまともな判断が出来ませんし、前のエッチ液が残っていると思わぬ影響が出る場合もあります。まず循環経路を全て洗浄し、完全にリセットしてからテストすることが望ましいです。ローラーニップの調整なども前日までに済ませておくと良いでしょう。

また、可能であれば、テスト用の版、用紙を用意して、ベタ、網点、特色などをテスト当日にチェック出来れば、導入後に心配することが少なくなります。

ロハスプリントでは、湿し水の導入時には、お客様のご希望に応じて、技術スタッフが仕込みから印刷まで立ち会いますので、是非ご活用下さい。その際、状況に合わせたニップの決定、刷り出しの調整などでいくつかお話しさせて頂くこともあるかもしれません。

次回はいざ、テスト!どういった点に留意していくと良いかをお話ししたいと思います。

 
筆者:
 
 

No.098 『 湿し水の選定とテストについて(前編) 』
2014/08

オフセット印刷業界では、社会の環境変化に対応していくために様々な流行が存在します。これは、いわゆるブームと呼ばれるものですが、5年くらい前は「高付加価値」が流行り、インラインのコーティングユニットやコールドフォイル付きの機械が数多く導入されました。また、「エコ」や「環境対策」といった言葉は長く使われていますが、胆管ガンの問題以降は印刷会社の意識がより高まり、今ではブームというよりは当たり前な言葉となっています。

では、今現在の流行は一体なんでしょうか?僕が営業活動を通して印刷会社の方から一番よく耳にする言葉は、ズバリ「速乾印刷」です。どうやら「速乾印刷」が現在のブームになりつつあるようなので、今回のコラムで触れてみたいと思います。

そもそも、なぜ速乾印刷が求められるようになったのか?理由は複数ありますが、大まかに挙げると、短納期に対応する為、コスレやブロッキングなどのトラブル回避、パウダーレス(使用量を減らす)による機械周りの清潔維持、このあたりが主な理由として考えられます。

次に方法です。これは大きく分けて二つの方法が存在します。一つ目は、機械を油性からUV(省電力・LED含む)に変えてしまう方法。機械の入れ替え時に移行するのが一般的ですが、後付けの装置で機械を改造する方法もあります。UVに移行してしまえば、完全に速乾になりますので、これが出来るのなら一番手っ取り早いです。しかし、導入時のイニシャルコストやインキ代などのランニングコスト、印刷の再現や特色の問題などからUVへの移行を踏みとどまるケースも多くあります。そこで、二つ目の方法として挙げられるのが、油性印刷のまま資材の変更やメンテナンスを強化することで速乾に近づける方法です。

油性印刷で速乾と言えばドライヤーを使うのが一般的な方法ですが、現在の速乾印刷はドライヤーを使用せずに同等の乾燥性能を狙っています。また、インキの乾燥には様々な要素が関わっていますが、機械のコンディション、インキ、版、水などの改善により速乾印刷を実現させています。その中でも、水の供給を限りなく減らすという点が最大のポイントになるのですが、それを可能にするためにプレートメーカーからも速乾に対応した版が販売されており、多くの成功事例を耳にしています。さらに、インキの方でも速乾対応インキが供給され始めたので、速乾印刷へのハードルが低くなりました。

さらにさらに、弊社では水の視点から速乾印刷を実現すべく、速乾対応のH液の開発に成功しました。※コラムNo97参照

これらの要素を上手く組み合わせ、印刷機のコンディションを整えることで、油性印刷でも十分満足のいく乾燥性能が得られるようになりました。

ロハスプリントでは、材料の選定はもちろん、機械のコンディション調整、UVやLEDへの改造など、速乾印刷を可能にするすべての方法に対してサポートを行っています。やり方はお客様のニーズによって変わりますので、一番最適な方法を提案致します。速乾印刷にご興味がありましたら、まずはロハスプリントまで連絡を下さい!宜しくお願い致します。

 
筆者:
 
 

No.097 『 インキのセット性、乾燥性の向上に着目した湿し水の処方 』
2014/07

インキのセット性、乾燥性の向上に関するテーマは版材メーカー各社から砂目構造・技術の違いによるアプローチがなされていますが、 今回は湿し水の処方によるアプローチについて書いてみたいと思います。

オフセット印刷の機構上、セット性、乾燥性を向上させる為の最重要な課題は「いかに水が絞れるか=水量・インキ量いかに少なく出来るか」 という事に尽きると思います。もちろん湿し水単独で発揮される性能ではありません。性能発揮には湿し水の他、インキ、版材、印刷機、 紙などの要素が複雑に関わり合っていますので、それぞれの要素の最良の組み合わせが必要です。それでは各要素に対する湿し水の理想的な処方とはどのようなものでしょうか?

@インキの紙への付着・濡れ → Aインキの広がり・レベリング → Bインキのセット→ Cインキの乾燥

上記が、絵柄が形成され、乾燥するまでの過程ですが、Bのインキのセットとは「付着したインキの皮膜内部はまだ濡れているが、印刷シートの積み重ねで 裏移りが起こらない状態」をさします。Cの完全乾燥まで、インキ成分の乾性油(アマニ油など)が空気中の酸素を取り込み活性化し、隣接する乾性油分子同士が時間をかけて結合して硬化が進みます。一般的には、乾燥促進の為に、コバルト・マンガン・亜鉛などの金属石鹸がインキに添加されていますので、 これらの化学物質は、水に接触する事で乾性油分子同士の結合を早める助剤(触媒)として働きます。

@〜Cに至る過程で、インキ中の水分はAのインキの広がり・レベリングと、B、Cの助剤による乾燥促進に必要ですが、乾燥性の向上という観点からインキ中の水分、 つまり湿し水の残留は必要最小量にする事が望ましいと思います。インキ中に残留する湿し水は、前段階の湿し水とインキが接触、混練される過程でインキ中に分散し、 版面上でインキから吐き出されずに残ったものです。

この「インキに残留する湿し水の量」を減らすには、以下の3点に留意した湿し水の処方設計が必要になります。

  1. 湿し水に要求される特性を必要最小量で実現する事、つまり水が絞れる状況にする為に湿し水として最大限のポテンシャルを発揮させる事。 特性には湿し水を給水ローラーで揚げていく過程での「水膜を薄く、ローラ全面で均質に保つ特性」、混練される過程での「インキタックを適正値まで下げ、 必要な含水率にする為、インキに水を取り込ませる特性」、版面での「インキから、水を吐き出させ、十分な非画線部の不感脂化性・整面性を発揮させる特性」があります。

  2. 湿し水はインキと水の界面(接触面)に結合して働くので、面で水分が残留する事を避けられません。よって、面が大きくなるほど=インキ中の水分が細かく分散されている程、 水分が多くなり、最終過程に乾燥が遅くなるという事になると思います。版面でのインキからの水の吐き出しにも大きく影響しますが、 混練中、インキ中に分散させる水滴の大きさを、前述した湿し水に要求される特性を維持し、且つ可能な限り大きくさせる事。一般には適正乳化という言葉が使われます。

  3. 水以外の原材料(溶剤・不感脂化剤、乳化剤、緩衝剤、殺菌剤)で乾燥の遅い材料はなるべく選択しない。選択しても最小量に止める事。


今月より速乾型の枚葉用湿し水「ロハス1QD」を上市していますが、1〜3のコンセプト(+αでインキドライヤーも配合している)で設計した商品です。 ぜひ一度、テストの機会を頂けたら幸いです。また、今後も湿し水の開発でも基本性能として1〜3のコンセプトは取り入れていく予定です。

 
筆者:
 
 

No.096 『 材料屋と上手に付き合う方法 前編 』
2014/06

印刷資材を購入する際、何を重視し、何を基準に選択していますか?
性能ですか?それとも価格ですか?
それ以前に、取引先(材料屋)をどのように選択していますか?

「とにかく安いところ」「対応の早い業者」「昔からの付き合い」「資材課が決めているので自分にはわからない」etc・・・答えは様々だと思います。

ところで、自分は印刷会社の機長職を経てASIAMIXへ入社しました。現在は営業マンとして印刷会社に訪問し資材のご提案をしていますが、過去の経歴から、材料屋と印刷現場の両方の目線で、印刷資材・資材購入について捉えているという自負があります。

資材の購入決定権は当然、お客様である印刷会社様がお持ちで、自分が口出しすることはないのですが、印刷現場と材料屋双方の目線で客観的に捉えた時、「もっと良い製品を探す方法があるのにな」とか「それでは材料屋から敬遠されてしまいますよ」などと思うこともしばしばあります。

せっかくなので、この場を借りて「材料屋と上手に付き合う方法」「どのような材料屋を選択すればメリットがあるのか」という内容を前・後編に分けてコッソリお伝えしたいと思います。ある意味、タブーに挑戦です。


その1 「直ぐに値段の話をするのはヤメましょう」

時代の流れと共に資材も進化し、その種類も多岐に及んでいますが、どんな資材でも、より安く購入したいと考えるのは、全ての印刷会社に共通することだと思います。資材課・購買課などの部署を置いている会社では、その傾向は特に顕著で、まず価格ありき。「○○○円以上はNG」などと最初から決まっていたりするので、製品の紹介すら出来ないこともあります。

私「新製品が出ましたのでご紹介させて下さい」

資材担当者「いくらなの?」

私「・・・定価○○○円です」

資材担当者「ダメダメ、話にならないよ」

〜終焉〜

なんていう場面にも頻繁に遭遇しますが、ちょっと待って下さい。単価は上がっても、現行品と比較し使用量を減らせるので、トータルでのコスト削減に繋がる製品もあります。購入価格が上がったとしても、作業効率アップに繋がったり、印刷品質向上によりヤレや刷り直しを減らせたりで、数字上には出てこないメリットが生じることも多々あります。それもこれも、先ずは詳しく話を聞き、試してみないことにはわかりません。我々は押し売りではないのですから、無理矢理、売りつけるような真似はしませんし、サンプルを試したいとお客様が希望されれば、製品によってはご用意することも可能です。「価格でNG」で話をシャットアウトしてしまうと、そういった有効な情報すらも入ってこないのです。

単価が上がると経理上で目立ち、ご担当者の立場上、あまり宜しくないことは理解していますが、デフレ化により、印刷資材、特にケミカル製品の単価はほぼ底となり、今後、更に下がることは考えにくい時代に突入しています。それならば、視点を変えたコストダウン方法を目指すべきだと思います。そのためには、毛色の違う製品についてもジックリと話を聞き、より多くの情報を仕入れることが得策だと思います。


その2 「合見積りはヤメましょう」

新しい資材を購入する際、数社の業者に見積り依頼をし、1番安いところから購入するという会社が最近、増えています。規模の大きい印刷会社になると「全ての製品を購入前に合見積もりすること」とルール化している場合もあります。資材の購入費用を抑えることは企業努力の1つなので、悪いことではないですが、やり過ぎると逆効果に繋がります。

例えば、こんな話があります。

印刷現場から印刷トラブルの相談を受けた営業マンが、改善するための資材を色々と探し歩き、良さそうな製品を見つけたので、その製品の資料を取り寄せ、価格を調べて見積書を提出し、サンプルを用意しました。そして、現場でのテスト結果も良好だったので、発注へと進んだのですが、ここで購買から「待った」が掛かります。「他の業者にも見積り依頼しなさい」ということです。結果、数百円安く見積書を提出した業者が棚ボタの発注を得ることになりました。

「そんなの当たり前。企業努力だ」と考える人もいるでしょう。確かに、より低価格で資材を購入することは可能になります。しかし、これを続けていると業者の足は確実に遠のきます。営業マンも人の子ですから、努力に見合った成果が得られなければ、その会社へ訪問することは減ってしまいます。そして、他の業者に対しても同様のことをしているということは、他の業者も同じく足が遠のくことになります。その結果、新しい情報が入ってこなくなります。印刷トラブルが起きて相談を持ち掛けても「うちでは無理なので他をあたって下さい」と言われることもあるかもしれません。様々な情報が飛び交い、業界事情も加速度的に変遷する今の時代に於いて、これは大いに不利なことだと思います。

以前、国内でも大手の印刷会社・購買部の方と話をする機会があったのですが、「うちの会社には何故か、材料業者さんが売り込みに来ないんだよね。だから、新しい製品の情報なんかも全然入ってこない」と嘆いていました。つまり、そういうことなのです。


その3 「業者を工場内へ招き入れましょう」

個人情報保護、Pマーク取得などの理由で、近年、部外者が工場内へ立ち入ることが出来なくなっています。これも時代の流れですから仕方がないとも思いますが、このことが、資材の選定や情報収集の足枷になっているケースもあります。

経験上、接客ルームでの打ち合わせだと、実態が良く見えず、的外れの製品案内で終わってしまうことも多いのです。しかし、工場内で機長さんから直接お話を伺うなどで、より的確なアドバイスが出来るようになります。

逆の立場での話になりますが、自分が機長をやっていた頃、いわゆる接客室だけの打ち合わせ(上司と業者だけの打ち合わせ)で資材が突然、変更になったことがありました。印刷してみると、色は出ないし水は上がるしで時間ばかり掛かり、あげくに刷り直しとなったことで自分が責められ、上司と業者に殺意を感じたものでした。資材の購入費用は確かに下がり、上司の株は上がったのかもしれませんが、刷り直し費用や現場のモチベーションダウンを考えると、トータルでは間違いなく損をしているはずです。接客ルームだけでの資材選択の落とし穴がここにあります。

目利きの効く業者であれば、現場で使用している資材や作業の進め方を見て、より効率の良くなる資材や作業方法などを提案してくれます。今まで考えもしなかったアイデアが飛び出してビックリすることもあるはずです。もし、許可証の提供や一筆書くことで入場が可能なのであれば、業者を工場内に招き入れることも検討してみてはいかがでしょうか?

勿論、その営業マンが信頼出来る人間であることが大前提ではありますが。

いかがでしたでしょうか?ちょっと辛口だったかなと不安に感じる部分もありますが、普段と逆目線での資材選択方法として、ご参考いただければ幸いです。

後編は「このような材料屋を選ぶと得」をお伝えする予定です。

 
筆者:
 
 

No.095 『 パッケージにおけるフレキソ印刷 』
2014/05

今回はフレキソ印刷についてご紹介致します。
フレキソ印刷はアメリカ・ヨーロッパでは様々な用途に幅広く普及しており、日本においてはまだまだシェアは少ないものの確実に伸びています。

日本では印刷品質や資材及び情報の不足などが原因で、フレキソ印刷には様々なメリットがあるにも関わらず、普及が大きく遅れました。資材及び情報については斜陽産業である印刷業界で伸び続けているフレキソ印刷なのでこれからどんどん増えていくことでしょう。では多くの印刷会社がフレキソ印刷機導入を検討するにあたり、マイナスの要因となっている印刷品質についてお話ししたいと思います。

今回は皆様にも馴染みのある商品であるレトルトカレーのパッケージを使ってご紹介致します。 下記写真はスーパーのカレー製品の売り場でよく見る光景だと思います。


写真1

この中に3つの異なる印刷方式で印刷されたものがあります。
では比較しやすいようにハウス食品のレトルトカレーを3種類選んでみましょう。


写真2


私はよく印刷現場で勉強会を行いますが、オフセット印刷の機長にこの3種類のレトルトカレーのパッケージを見せて、どれがオフセット印刷で刷られたか?どれがグラビア印刷か?どれがフレキソ印刷か?質問をさせて頂くことがあります。

結果は約半数の方が間違えます。もちろん、事前にグラビア印刷とフレキソ印刷については簡単に特徴を説明しています。 事前にお伝えしていることは下記になります。

  • グラビア印刷は文字や線の縁がギザギザ(ジャギー)になっています。
  • フレキソ印刷は樹脂凸版なのでふちに濃い輪郭が出来ます。(マージナル)
  • オフセット印刷は皆さんが一番よくご存知なのでノーヒントです。

答えは下記になります。

A:グラビア印刷
B:フレキソ印刷
C:オフセット印刷


200倍に拡大して見るとグラビア印刷にはジャギーがあります。フレキソ印刷にはマージナルが出ています。

答えを出してしまいましたが写真2の3種類のレトルトカレーのパッケージを見てどれがどの印刷方式で刷られたかわかりますでしょうか?オフセット印刷経験者の方に6倍のコの字ルーペを使って見て頂きましたが、半数の方が間違えました。

では、売り場でどれだけの主婦の方がこの印刷方式の違いに気付き、「オフセット印刷の網点は綺麗だから美味しそう」と思うのでしょうか?

フレキソ印刷で刷られた写真2の「 B 」はあるオフセット印刷会社様が新たな試みとしてフレキソ印刷機を導入し、印刷されています。オフセット印刷に比べ製造コストは1/3、納期も1/3で済むと言われていました。

では印刷品質はオフセット印刷の1/3でしょうか?
200倍の電子顕微鏡で見ると差は歴然ですが一般人が肉眼で見た場合はどうでしょうか?

フレキソ印刷機も資材も日々進化しています。冒頭で申し上げた日本においてフレキソ印刷がこれから確実に伸びるという理由がここにあるように思います。

弊社ではフレキソ印刷の品質に一番重要なアニロックスロールを中心にその周辺の資材を取り揃えております。特にお勧めします商品を以下にご紹介いたします。

  • アニロックスロールの根詰まり状態から完璧に回復させる「マイクロクリーンによるアニロックスロール洗浄サービス」
   
  • チャンバーシステムと循環装置を洗浄する「アニロックスクリーナー・グリーン」
   
  • アニロックスロールの日々のメンテナンスとして「アニロックスクリーナー・オレンジと専用ブラシ」
   
  • 摩耗が少なくアニロックスロールに対してダメージを与えない樹脂製のブレード「オレンジブレード」
   
  • ドイツ製の高品質な「アニロックスロール」


また、お客様のアニロックスロールがどれだけ根詰まりしているか診断サービスも行っており、ご好評を頂いております。是非ご利用下さい。

弊社ではフレキソ印刷にチャレンジされる印刷会社様を資材と技術情報でサポートさせて頂いております。パッケージングにおいてフレキソ印刷はこれから伸びます!オフセット印刷会社様がフレキソ印刷機を導入されるケースは増加傾向と言えますが、まだまだ少なく、産みの苦しみはありますが先行者利益があります!その苦労を少しでも軽減するために弊社がお手伝いを致します。
このタイミングをお見逃しなく!!

 
筆者:
 
 

No.094 『 時代の移り変わり 』
2014/04

世界4大印刷機材展のひとつであるIPEX2014を視察いたしました。イギリス・バーミンガムからロンドンのエクセルホールへ移された今回のIPEXは、3月24日〜29日の6日間にわたる開催で、来場者数は22,700人でした。私自身のIPEXの視察は今回で3回目となりますが、何とも寂しい展示会だったと言うのが率直な意見です。

詳細なレポートは各社から発表されていると思いますので、ここでは自分なりの感想を述べたいと思います。私は20年以上プレスマンとしての経験があり、このような展示会に足を運ぶことは大好きです。中でも世界一のドルッパは別格で、いつかは見学したいと願いつつ1995年のCTPドルッパを初めて訪れました。その時の圧倒的なスケールと新技術の数々から受けた感動と驚きは今でもはっきりと記憶しています。この時代のオフセット印刷機は高速化と自動化がメインで、印刷業界においてまさに花形的な存在でした。しかし、2000年のDigitalドルッパでは、ゼロックスが単独で1つのホールを独占したことでDigital印刷機が注目を浴びました。その際、10数年後にはDigital印刷がオフセット印刷を超える展示会となる!と強気な発言があり、私はその時、正直有り得ないだろう!と思っていました。しかし、そのような事が現実的なったのが今回のIPEX2014でした。

前回のドルッパ2012も確かにDigital分野の勢いが凄いことを体験し、ここまで明暗を分けたIPEX2014を体験出来たことはプレスマンとしては寂しい限りですが、印刷業界の現実を思い知らされたことも貴重な体験でした。今回の展示会でオフセット印刷機を実際に展示したのはエコブースに小森の菊全H-UV機が1台、そして中国資本のシノハラが小型機の3台のみです。最大のブースを確保したのがコニカミノルタですが、ゼロックスは代理店での出展はあるものの本体でのブースは無く、勢いのあるHP(ヒューレット・パッカード)や、前回のドルッパで大注目を浴びたランダ社の出展もありませんでした。こうしたことからも、印刷業界全体が世界的に本当に厳しいことをうかがい知ることができました。

イギリスの印刷会社は12年前には約14,000社あったそうですが、現在は10,000社減って4,000社程とのことです。特にロンドンの印刷会社の減り方が激しいそうで、その要因としては、ロンドンの地価高騰と、他国の印刷通販会社がイギリスの仕事を獲得したことが挙げられています。日本も例外では無いでしょう。日本国内でも印刷通販会社の飛躍は我々の仕事を通じても体験しています。仕事の関係で韓国の印刷会社へ訪問する機会がありますが、既に日本の仕事が海外に流れつつあります。

我々が関係するオフセット印刷に関しては少々暗い話しになってしまいましたが、現実を受け止める必要はあります。今後も印刷業界は厳しい時代が続くと思いますが、何らかの打開策は必ずあるはずです。印刷現場にとって新しく機械を更新して生産性を上げることも重要ですが、現在の印刷機で本当に最大限の能力を引き出しているか?効率の良い現場環境が作られているか?もう一度足元を見つめ直すことが重要だと思います。確かに印刷業界にも時代の移り変わりがあり、それはそれで素直に受け止める必要もあります。しかし、印刷という物作りへの拘りや信念は、いつの時代になっても変わって欲しく無いと思っています。

 
筆者:
 
 

No.093 『 問い合わせランキングTOP5 』
2014/03

営業として印刷現場に出入りしていると、様々な問い合わせを投げ掛けられます。一口に印刷現場と言っても業態は複数ありますので、問い合わせの内容も多種多用。 また、印刷業界の変化とともに印刷現場が抱える課題も変化してきているので、ここ数年間の問い合わせ内容を自分なりに振り返り、印刷現場ではどのような点で困っていることが多いのか?をランキング形式でまとめてみました。

第5位:数値管理
これは数年前から「標準化」として印刷会社の一つのテーマとなっています。数値管理の一番の目的としては印刷品質の安定化で、ジャパンカラーなどを目的とした印刷濃度の数値管理のように印刷物に直結した管理だけでなく、 湿し水・ローラーニップ・胴仕立てなどのように印刷機のコンディションを数値で管理し、印刷物の安定化を計るケースが増えているのが特徴です。

4位:現場環境の改善
これは主に食品・薬品・化粧品に関わる印刷現場から多く聞かれるケースです。仕事内容の性質上「衛生面」についてクライアントから指摘されることが多く、クライアントの要望に沿った改善の必要性が出てきています。 簡単な例で言えば、作業者は防止とマスク着用、外部からの入場者についても白衣や脚絆などの装着が義務付けられたり、現場に入場の際にはエアシャワーのような衣類に付着した埃を取り除くための設備を導入する印刷会社が増えてきています。 また、特にここ最近の傾向として多いのが、現場内の木製品の排除をクライアントから求められるケースです。つまりそれはパレットや板取用のボードを指し、木屑の混入や害虫などの発生を懸念してのことなのですが、 現場で使用するパレットをすべて切り替えるには多くの費用が掛かる為、印刷会社様の頭を痛める一つの原因になっています。

第3位:ローラー洗浄関係
ローラー洗浄については、細かく言うとキリがないほど多くの問い合わせを頂いておりますが、その中でも多いものはローラーストリッピングに関することを、UV印刷における洗浄性の問題です。
ローラーストリッピングはローラーはげとも言われますが、印刷中に突然ローラー上のインキが無くなり印刷濃度が極端に下がるという最悪のトラブルです。これについては今に始ったことではなく、再生紙や輸入紙の普及とともに 数年前から日常的なトラブルとして印刷現場を悩ませています。
二つ目のUV印刷における洗浄性というのはUV機の稼働台数増加とともに聞く機会が増えました。油性インキに比べてUVインキはローラーの洗浄性が悪く、何度か自動洗浄を掛けないと綺麗に洗浄出来ないことが多々あります。 その際に、様々な洗浄剤をテストしたり、助剤を用いるなどの工夫をして改善を狙います。

第2位:湿し水
湿し水についてはオフセット印刷とは切り離せない関係にあります。こちらもローラー洗浄と同様に、UV印刷における相談が増えてきています。同じオフセット印刷でも、UVインキと油性インキでは性質が異なる為、 UVインキでは湿し水のコントロールが非常にシビアになりトラブルを抱えやすいと言えます。それに加えノンアルコール化が進む現在では、UV印刷+ノンアルコールという非常に難易度の高い条件で印刷することが増えており、 問い合わせの大半を締めるのがこの条件で印刷をしています。これについては、弊社でも日々進化を重ねて厳しい条件にも対応出来るH液の開発に力を入れております。

第1位:環境対応品
これは一昨年前に話題となった胆管ガンの問題以降、急激に問い合わせ件数が増加しました。胆管ガンについては、ジクロロプロパンやジクロロメタンが原因の可能性として挙げられたので、それらを含む洗浄剤については各社一斉に使用が中止されました。 また、これを機に環境基準を見直す印刷会社が増えたことで、印刷会社の環境のレベルはそれ以前に比べて飛躍的に上がったように感じます。
人間にも地球にも優しい溶剤の使用は本来ならば歓迎すべきことなのですが、印刷現場にスポットを当てて考えてみると、材料コストの増加や作業性の低下に繋がってくるので、これまた悩ましい問題の一つとして取り上げられています。

以上のように、印刷現場では常に様々な課題と戦っています。我々ロハスプリントスタッフ一同は課題を乗り越える為に様々なノウハウを準備しております。今回ランキングで挙げられた内容以外でもお手伝い出来ることは多くありますので、 いつでもお声掛けお待ちしております。

 

 
筆者:
 
 

No.092 『 色を測定する話 』
2014/02

最近、いろいろなお客様から、色測定、色管理のシステムの相談を受けることが多くなってきています。一般商業印刷やパッケージ印刷など、現場は多種ですが、共通しているのは「色が合わない。測定機器の力を借りて、何とか改善出来ないか」ということです。

では、「色を合わせる」とは、どのようなことなのでしょうか?

印刷会社における色合わせは、大きくわけてふたつあります。
ひとつは、会社内での様々なデバイス間で同じ色を再現すること、もうひとつは、協力会社やクライアントの求める色を理解して再現することです。

では、印刷オペレーターは色合わせのために何をすれば良いのでしょうか?

前述のふたつの「色合わせ」ですが、ちょっと難しい言い方をすれば、前者は「品質管理」で、後者は「品質保証」となります。印刷の品質管理とはつまり「濃度」「膜厚」の把握であり、品質保証とは測色と色差の把握です。
通常、オフセット印刷機がその会社の色の基準となりますから、そのオペレーターのすべきことは品質管理、即ち濃度管理となります。品質がきちんとコントロールされた印刷機に、他のデバイス(プリンター出力、色校正、モニタなど)を測色して合わせ込むわけです。

「でもちょっと待って。色を合わせると言っても、同じ印刷機だって毎日色が変わってしまうのに、どうやって全社内の色を同じに出来るの?」

そう、まさにここがカラーマネージメントの一番難しいところであり、かつ最も重要なところでもあります。

よく言われるように、オフセット印刷機は変動要素が多く、それこそ毎日でも色が変わってしまう可能性があります。しかし、それは裏返せば、変動要因を掴んで、オペレーターが自ら改善する事が出来るとも言えます。日々のメンテナンスと適切な印刷方法で、 品質の変動をコントロールすることが可能という点は、他のデバイスにはない、オフセット印刷機ならではの特長と言えるでしょう。

オペレーターの皆さんは、印刷物全体の目視、濃度計による濃度チェック、25倍以上のルーペでコントロールストリップの各部チェックをまずは徹底させ、胴仕立てやローラー硬度、ニップの調整で毎日の変動を最小限に留め、色合わせの不備は印刷現場にはない! と断言出来る環境を作り上げていく事を目指していきましょう。

コントロールストリップの見方や活用方法、濃度計や分光光度計の使い方、あるいは測定器の新規導入や入れ替えなど、色彩管理の分野でもロハスプリントは皆様のお手伝いを致します。どうぞ分からない事はお気軽にご相談下さいませ。

 

 
筆者:
 
 

No.091 『 ロハスプリント イヤーブック 2013-2014 』
2014/01

皆様、明けましておめでとう御座います!
ASIAMIX株式会社、代表の東海林(しょうじ)です!

毎年恒例の「ロハスプリント イヤーブック」も早4年目、この月間コラムも7年目に突入することになりました。

昨年当社は50周年を迎え、次の100周年を目指す折り返し地点となりました。昨年はオフセット印刷ビジネスで長き間お付き合いを頂いているお客様に感謝をすると共に、次の半世紀も通用する新たなビジネスモデルを構築する為に奔走した1年となりました。 早速、当社の昨年の動きをご報告致します。

@印材ビジネス
昨年も弊社の東京、名古屋、大阪、金沢、福岡という5カ所の拠点を中心に、多くのお客様にご愛顧を頂けた1年となりました。当社は1964年に「エスケー液製造株式会社」を設立し、日本で初めて湿し水原液「エスケー液」を販売して、 元々はオフセット印刷資材メーカーとしてスタートしておりますが、 その後2代目社長、現在の会長である東海林信行が海外製品の輸入販売に舵を切り、商社的なビジネスがメインになりました。そして今から9年前の2005年に小生が3代目代表として就任しましたが、 社会のデジタル化が進み、印刷業界も毎年縮小傾向となり、当社が長年付き合ってきた海外の資材メーカーが買収にあったり、倒産するケースが出てきた為、「海外製品だけに頼るビジネスモデルは危険だ」と判断し、2009年に研究開発部を構え「メーカー回帰」 というプロジェクトをスタートさせました。そのプロジェクトも5年目を迎え、お陰様で、毎年自社製品の売上と比率が健全に伸びており、より良い体制が整いつつあります。また、昨年は当社の10人の営業スタッフが国家試験である印刷一級に挑戦し、 見事全員が合格するという嬉しいニュースもありました。これにより、当社の12人の営業スタッフ中、11人が印刷一級を保有しているというユニークな営業部へと成長出来ております。厳しい印刷業界ですが、これからもスタッフ一丸となって、 お客様と共に「健全で持続可能な印刷」を実践して行きたいと思います。宜しくお願い致します!

Aアジア展開
昨年は当社のアジア展開も5年目を迎え、香港のグループヘッドコーターであるAsiamix Hong Kongを筆頭に、Asiamix Japan(東京・大阪・名古屋・金沢・福岡)、Asiamix Korea(ソウル)、Asiamix China(上海・大連)という体制が大分定着してきた感があります。 中国市場では、近年日中間の政治的な緊張が高まり、日本から送った商品が中国の税関でブロックされてしまうことも増えて来たため、昨年は日本資本の外資系企業であったロハスプリント大連を、中国資本の内資系企業、Asiamix Chinaに移行することを行いました。 この5年間、文化や商風習の違いで、様々な問題に直面してきました。今後もこれは続くでしょうが、1つ1つ粘り強くクリアーしていき、そのノウハウを蓄積して、10年後、20年後にはアジア全域で当たり前のように商売をしている姿を目指して行きたいと思います。

Bコーヒービジネス
2年前にコーヒービジネスへの参入を決定してから、「印材会社が何故コーヒーなの?」と多くの人に聞かれてきました。その理由はとてもシンプルで、印刷資材もコーヒーも、共に毎日大量に消費される消耗品であると同時に、当社が50年間で培った、 海外とのビジネスのノウハウが活かせる、とても似たビジネスモデルという点が背景にあります。昨年は2月に香港で、コーヒービジネスの初の直営店となる、% Arabica Coffee Roaster & Farmをオープンして、小生もバリスタとして毎日ショップに立ち、 コーヒービジネスを体感した1年となりました。昨年1年でコーヒービジネスは大分前進することができ、世界最先端のエスプレッソマシン、スレイヤーの日本と香港の代理店、国産高性能焙煎機トルネードキングの海外発売元、ケメックスのアジアの代理店、 カリタの香港の代理店、そしてスペシャリティコーヒー生豆の日本への輸入元など、 ビジネスチャンスに恵まれた年となりました。今年は4月に香港のセントラルで% Arabica Coffee Roaster & Farmの2号店のオープンが既に決定済み。 そして日本でも京都に日本1号店を出店しようかと検討中です。今年もこの新しいコーヒービジネスで確実に前進する1年としたいと思います。宜しくお願い致します。

Cドメインビジネス
昨年は印刷とコーヒービジネスに加えて、今後の当社の核をなす3番目のビジネスにも着手した1年となりました。現在世界のインターネットの.comや.netといったトップレベルドメインは22種類存在しておりますが、これらのドメイン名がすでに満杯状態にあり、 .comや.netで取得したい名前を申請しても、既に世界の誰かが取得済みという状態になっております。この状況を打開する為に、世界のインターネットドメインを管理するカリフォルニアのICANNという団体が、 2012年に一気にトップレベルドメインを増やすという募集を全世界に向けて行いました。これは.comや.netといったドメインのオーナーになれる一世一代のチャンスですので、当社も香港でAsiamix Digitalというドメインビジネス専門の会社を設立し、 色々とニッチなドメイン名を考え、世界の様々な分野のファン向けのドメインとして、.fanと.fansという2つの取得に動き、2年間に渡る紆余曲折の結果、晴れてこのドメインのオーナーとなることに成功致しました。この2つのドメインは、世界各国で販売することができ、 例えば都市名だけをみても、tokyo.fan、newyork.fan、paris.fan、rome.fanと各国の自治体に向けて販売が可能。食事をとっても、ramen.fan、sushi.fan、pizza.fan、pasta.fanなどと世界の誰かが必ず購入するようなドメイン名となります。 また、歌手、俳優、スポーツ選手などの有名人をとっても、beatles.fan、tomcruse.fan、messi.fanなどと世界のタレント事務所や熱狂的ファンに向けて販売でき、ブランドで考えても、apple.fan、louisvuitton.fanと無限の可能性があり、 この新たなビジネスチャンスにスタッフ一同とても興奮しております。

D社名変更
このようにコーヒーやドメインという新たな活動が増えるにつれて、「ロハスプリントという名前でこれらの新ビジネスを展開するのはおかしいのでは?」という意見が出てきて、再度社名変更の必要性が浮上して来ました。しかし、当社は2010年にエスケー液製造株式会社から ロハスプリント株式会社へと社名を変えたばかりでしたので、こうも立て続けに変えて良いものか?と悩みましたが、昨年は丁度50周年で、次の100周年に向けてと考えると、やるべきだ!という考えが勝り、4月に再びロハスプリント株式会社からASIAMIX株式会社へと進化させました。 この4年間で2度も社名を変更することになり、お客様には大変なご迷惑をおかけ致しましたが、今後は「アジアをミックスする」というASIAMIX株式会社という社名で100周年を目指していく決意で御座います。印刷資材の販売は、引き続き、ロハスプリントというブランド名で活動を 続けて参ります。宜しくお願い致します。

E次の50年に向けて
本日1月6日から、当社の第51期がスタート致します。やるべきことはシンプルで、印刷ビジネスとコーヒービジネスにおいては、日本、香港、中国、韓国でより多くの売上げを目指し、ドメインビジネスにおいては、世界各国でより多くのドメイン名を売ることに尽きますので、毎日を大切に、 1歩1歩前進していきたいと思います。印刷業界においては、今年も全国の印刷会社様、印刷資材の代理店様に喜ばれる商品とサービスを追求していく所存で御座います。引き続き、ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します!

最後になりますが、昨年スタッフ間の投票により、年間MVPに選ばれた、営業部の山田と、ロジスティックス部の山下。今年から営業部全体を取りまとめるグループマネージャーに就任した当社の若き司令塔である桐生。そして、昨年から今年にかけて入社をした新入社員をご紹介致します。

皆様、今年もロハスプリント・イヤーブックをお読みになって下さり、有難うございました!

 
筆者:
 
No.090 『 湿し水の開発について 』
2013/12

湿し水原液(ロハス1シリーズ)の開発をスタートしてから丸5年が経とうとしております。
その間、様々なお客様の印刷環境に合わせて、日々試行錯誤を繰り返し、最適の処方を組み立てています。 1種類の湿し水で全てのお客様に満足して頂く事は難しいことから、カスタマイズを繰り返した結果、上市した製品も10種類以上のラインナップとなりました。

テストから採用に至った沢山の成功事例のほか、難しい事例もありましたが、どの事例からも次の処方改良に生かそうと多くの事を勉強させて頂いております。

湿し水の開発を進めるにあたっては、下記の5点の性能を重視しています。


特に1〜3のバランスがお客様の印刷環境によって異なる為、開発上、このマッチングに苦労します。また、単に4と5の性能が足りず、pHが酸性域から中性域に上昇し、 インキが湿し水に溶解して版の汚れを招いたり、バクテリアなどの菌類が増殖して湿し水の腐敗を招く事もあります。

処方上、4と5の性能を引き出す原材料は、 1〜3のバランスを崩さないように最大量を組み入れています。このため、湿し水1液でトラブルを招いた場合、湿し水とは別に4と5の材料を、湿し水タンクに添加して頂く事をお奨めする場合もあります。

湿し水のこうした処方の変更により、これまであった印刷トラブルの解決に繋がりますが、大きく分類しますと、現状の処方バランス@〜C(下記表)から、別のバランスへの変更により解決する場合があります。


表中の性能は大、中、小の3段階で表記しています。なお、稀にですが、それぞれの性能で小が最適と思われる事例もあります。一例として、ビジネスフォームの印刷においては、小の性能(乳化力と水揚がり量)を要求される事があります。 また、表中のインキ乳化力とは、化学業界で一般にエマルジョンと言われる乳化ではありません。静置状態では分離している水とインキが機械的に強制乳化(摺り乳化)している状態がありますがこれを指します。 3段階評価の大小は摺りの強弱により乳化し易いか、しにくいかを指します。

ロハス1シリーズでは処方バランス@〜C以外にも特殊な事例に対応したバージョンも揃っており、@とAの間などお客様のご要望によりカスタマイズも可能です。
現状入手できる材料でベストと思える処方を組んでいますが、更なる基本性能のアップを目指してこれからも鋭意開発を続けて参ります!

 
筆者:
 
No.089 『 拝啓、印刷現場から 〜その2〜 』
2013/11

「印刷現場の声を反映させたい」という思いから、実際に現場で働く人達の声を前回のコラムで紹介しました(バックナンバー084)。主には会社への要望等を紹介しましたが、 彼らは決して、不平・不満ばかりを述べているのではありません。「作業効率・生産性を上げたい」「働きやすい環境にしたい」と日頃から考えているのに、社の方針は全く逆の方向へ向かってしまい、常にジレンマを抱えているというような内容でした。 今回はその続編です。会社への要望は挙げてもらいました。では今後、自分達が出来ること、実行していくべきことは何か?若手に期待していること、伝えたいことはあるのか? そんな身近な内容を紹介していきたいと思います。前回同様に、印刷現場をまとめる課長職の方をメインに聞き取り調査を行ないました。数人〜30人以上の部下をお持ちで、いわゆる中間管理職と呼ばれる方々です。


「クレーム品を出したことより、その後の対策が重要」

万全のチェックをしているつもりでも、1分間で数百部もの印刷物が製造されるのですから、極稀に不良品が良品に混じって納品されてしまうこともあります。肝心なのはその後の対策で、 犯人探しや責任のなすり合いをするよりも「不良が生じた要因」を徹底的に追求し、「製品のチェック体制を整える」ことこそが最重要課題。 ・・・なのですが、ここまではよくある話。ある意味、建前的な意見です。

本音の部分では、「実際、クレームの直後は皆も真剣だが、しばらくすると意識が弛んでくる」のが現実のようです。つまり「その後の対策」というのは、不良要因の調査やチェック体制の強化ではなく、「それをいかに持続させるか」に尽きるようです。


「チェック体制をよりコアに」

時間の経過とともに現場の意識も弛むようですが、それには理由がないわけでもありません。現在、菊全カラー機であっても、担当者1人で作業している印刷会社は珍しくなく、それが意識の弛みに繋がっているという側面があります。 「エイヤッ」と1人で紙を積み、1人で汗をかきつつインキを練り、1人で色・見当が合わないと焦り、振り返ると、上司は時計に目をやりながらイライラしている・・・そんな忙しない状況の中、やれ作業報告書だ、 やれ品質検査チェック表だなどと記載しなくてはならず、要するに、やることが多過ぎて、逆に1つ1つの作業への集中力が低下しているという現実があります。

「ISOを取得したことにより、様々な記録を残し、様々な提出書類を作成する必要がある」といった事情で、肝心かなめの印刷作業が圧迫されているのもまた事実なのです。だからと言って、品質チェック作業を省くわけにはいかないので 「よりコアに、しかし簡単にチェック出来る体制を整えていきたい」と現場の人達は考えています。そのためには、品質チェックシートや作業報告書を良い意味で簡素化し、よりスムーズに動けるよう見本紙の収納棚や検品テーブルの配置を変更するなど、試してみるべきことは多々あると思います。


「アナログ感覚も身に着けよ!」

若手社員への要望を聞いた中で、最も多かった意見です。印刷機の進化、cip3などの導入により、現在は、誰でも簡単な操作のみで見本紙と遜色ない印刷を行なうことが可能になっています (※cip3・・・プリプレス、プレス、ポストプレスで共通のファイルフォーマットを用い行程を統一するシステム)。ただし、これには「何のトラブルも無ければ」という条件が付きます。 印刷結果というものは、温度・湿度・それに伴うインキの硬さ、ローラーの状態、etc・・・様々な要因により常に変化していきます。同じ絵柄のリピート印刷であっても、 刷る時の環境が異なれば印刷結果は変わります。入社時からデジタル感覚で印刷を行なってきた若手の社員は、このような状況に対応することがあまり上手ではないようです。 「タッチパネルは巧みに操作するが、印刷機の構造は全く理解していない」というケースもあり、トラブルが起きた際に自分の力で解決することが苦手なようです。これが熟練の機長であれば、 ローラーのタッチやインキの粘性を変えるなどして即座に対応しますが、若手の中には「前回と同じように(マニュアル通りに)作業したので自分の責任ではありません」という意味のことを言い出す輩もいるらしく、 上司は世代間ギャップに頭を抱えています。かと言って、親切丁寧に教える時間の確保が難しい昨今、若手自らが積極的に学ぶ姿勢がない限り、現状の打破はなかなか難しいのかもしれません。


「プレゼンするつもりで来てほしい」

ある程度、色・見当が出来上がったら上司に見せ、確認印をもらう体制を取っている会社がありますが(※OKシートと呼んだりします)、これを単なる通過儀式としてしか捉えていない若手が多いという意見もありました。 例えば、明らかな色ムラがあっても「データ通りに刷った結果なので」と、そのまま持ってきてしまいます。そこには「商品になるものを印刷している意識が欠如している」と言います。

「クワエ側と尻側で色が合わなかったのですが、クワエ側は広告面なので、そちらを重視しました」

「どうしても見当が合わないので、左右で均等に割ってみたのですが、それ以外に何か良い方法はありますか?」

上に立つ人間としては、若手のそういう声を聞きたいようです。

「印刷物を世に出る商品と捉え、その印刷内容についてプレゼンするつもりで持って来てほしい」非常に印象的な言葉でした。


「木を見て森を見よ」

例えば、「次の仕事のインキを入れておいて」と頼んだとします。すると、500部程度の仕事なのに1k缶丸々のインキを投入していたりします。インキというのは単に放り込めば良いというものではなく、経費の面から、 極力インキが余らないよう加減して入れる必要があり、作業効率の面から、極力、後の洗浄作業などに負担が掛からないよう量を調節する必要があります。そのためには、事前に版や見本紙で絵柄を確認し、 作業指示書で印刷枚数を確認しておく必要があります。場合によっては、その日の作業全体を把握した上で、先の先のインキを用意しておくこともあります。「機長じゃないから見本紙や指示書を見ちゃいけない」なんてルールはないのです。

予備紙の用意も同様で、指定枚数で足りる場合もあれば、印刷内容によって不足が予想されるなら、予めヤレ紙を準備したり上司に掛け合うことも必要になります。つまり「目の前の作業だけではなく、全体像を把握し、段取りを工夫する必要がある」ということです。 「木を見て森を見よ」とはこういうことで、「印刷は決して単純作業ではなく、いくつもの工程を組み合わせて完成するものです。組み合わせがスムーズに行なえるよう先の先まで考えながら作業して欲しい」と多くの上司は考えていますが、まだまだ指示待ちの人が多いようですね。


前回に引き続き、現場から多くの意見を聞くことが出来ました。本当にたくさんの話をお聞き出来たので、その全てを紹介することは出来ませんが、読んでみて耳が痛い人、反発したい人、色々と感じ方は違うと思います。 ただ、「現場を良くしたい」「今後を背負う若手に期待したい」という気持ちに、どれもブレはないと感じています。

今、印刷業界は苦しい状況です。それは間違いありません。そんな中、生き残りを賭け、必死に戦っている人達が存在しているのもまた事実です。この戦いが勝ち戦になるのか、負け戦になるのか、それとも勝ちも負けもないのか、 自分にはまだわかりません。ですが、同じ業界に身を置くものとして、印刷現場から聞こえる生の声を、こうして発信していくことにはとても意義を感じています。

これからも、もし印刷現場でASIAMIX(ロハスプリント)の人間を見掛けることがあったら、気軽に声を掛けて下さい。要望、疑問、愚痴、なんでも結構ですので話を聞かせ下さい。ついでにご注文をいただけると更に有り難い! ・・・のですが、無くても構いません。ちょっとした意見交換であっても、お互いにとって必ず糧になると信じています。

 
筆者:
 
No.088 『 印刷技能検定一級の結果ご報告と今後の豊富 』
2013/10

2013年10月4日に国家資格である印刷技能検定一級の合格発表がありました。
当社から10人受験し、なんと全員合格致しました!!

これで晴れて一級印刷技能士になることが出来ました。

きっかけは、2009年5月の桐生(ニックネーム:ビッグダディ)のコラムバックナンバーNo.040でした。印刷オペレーターの現役から離れ、当社には印刷機が無いが、この業界に携わるものとしてなんとしてでも取得したい一級印刷技能士!そんな思いが伝わるコラムでした。

その後、私、センチョーが2010年3月にロハスプリント(現 Asiamix)に入社しました。 入社して直ぐにそのことに気付き、希望者全員を合格させる方法を模索し始めました。

具体的には過去問の入手、その過去問の中から何年前の問題がよく出るのかの分析、実技試験のトレーニングの場と時間の確保、会社からの理解など、準備に2年以上を費やしました。その努力の甲斐あって、全員合格することが出来ました。

学科試験の過去問を提供してい頂いた印刷会社様、印刷機のことを色々とご指導頂きました機械メーカー様、試験のことを詳しく教えて頂いた一級印刷技能士である先輩オペレーターの皆様、実技試験中に補助員としてサポートして頂いた方にこの場を借りてお礼を申し上げます。本当に有難うございました!皆様のご指導とご協力無くして、この結果はあり得ませんでした。

一級印刷技能士になった我々の次なる課題は一級印刷技能士の名に恥じないように、印刷技術と深く関わり、印材メーカーとしてより印刷オペレーター様寄りに使用方法などの技術説明ができるようにすることです。

商品開発につきましても使い手の要望を把握し、コストダウン、作業効率改善、高付加価値、不良率削減をテーマに行い、皆様と共にこの厳しい印刷業界で力強く生き残れるように、さらにはこの業界を引っ張れるような存在になることを目指します。

当社では印刷現場の全体最適化を目指し、コンサルタントを行っております。これには印刷知識と経験はもちろんのこと、それを正確に印刷現場に伝えるスキルが必要となり、当社スタッフの中でも一部の者しか出来ません。


今後は、 一級技能士に受験資格が与えられる職業訓練指導員の資格にもチャレンジし、よりお客様のお役に立てるようなプロフェッショナル集団を目指します!

引き続きご指導御鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。
有難うございました。

 
筆者:
 
No.087 『 色彩感覚の違い 』
2013/09

私たちは普段の生活の中で、多くの印刷物を目にします。特に私共は印刷会社がお客様なので様々な印刷物と関わりを持っています。その殆どは4色(BL・C・M・Y)の掛け合わせによるカラー印刷とパッケージなどの特色印刷に大別されます。この印刷物は全員が同じように見えているのでしょうか?


私が印刷機を操作していた時代は、最終的には個人の判断でOKシートとしていました。特に厳しい印刷物に関してはクライアントの担当者が印刷立会いを行い、印刷見本と比べて最終判断を下していました。しかし、自分から見て見本と違うのではないか?というケースも度々有ったものです。同じ日本人で同じ色彩感覚を持ち合わせていても、人によって差が生じてしまうほど色彩と言うのは難しいものです。


現在でも最終判断が人間の目で行っているケースも有りますが、上記で述べたように個人で差が生じてしまう事で、最近は数値管理を取り入れ、人間が判断するのでは無く数値による判断が主流となってきています。その代表的なのはジャパンカラー基準です。詳しく説明すると今回のコラムでは説明仕切れないので省かせて頂きますが、簡単に言うと、例えばカラー印刷で4色のベタ濃度とドットゲイン数値を、このジャパンカラー基準内で印刷した場合、何処の印刷会社で印刷しても一定の色領域に入り、見た目にも殆ど差が無い印刷物が仕上がる事になる訳です。それでも、厳密に言うと色の差は有ると思いますが、このジャパンカラーの基準内に数値が入っていれば、一般的には統一された基準印刷と認定される訳です。


これは日本での基準であって世界基準では有りません。仕事柄、海外に出かける事が多々有りますが、海外(特に欧米)の印刷物を見ると、決して綺麗な印刷物とは思えない時が有るのは私だけでしょうか?これは日本人的な感覚であって、海外の人にとってはごく当たり前の色彩なのでしょう。日本人の多くの瞳は黒色で、欧米人はブルーやグリーンの瞳です。同じ色を見た時に果たして同じ色に見えているのでしょうか?正反対に見える程の違いはありませんが、色素による差はあるようです。日本の代表的なサクラの花びらを日本人は淡いピンク色と認識出来ますが、欧米人には白色と認識してしまうようです。また、大雑把に言えば、瞳の色が薄いほど、強い光に弱いと言われています。ごく薄い緑の瞳の人よりは、黒い瞳の人の方が眩しさに対して強くなっています。通常、日本では車のヘッドランプなどが強く白い光であるのに対して、欧米では比較的弱く黄色っぽい柔らかな色となっております。

このような事を考えると、世界基準の印刷機が作られる事は出来ても、世界基準の印刷物を作るのは難しいのでしょうか?日本人の色彩感覚は世界の中でも優れていると言われています。先ほども述べましたように、最近は数値管理による色管理が主流となってきています。これは基準印刷物を作り上げると言う点では素晴らしい事です。しかし、数値にばかり捕われて、本来の色を見る感覚だけは薄れないで欲しいと思います。

 
筆者:
 
No.086 『 夏場に多い印刷トラブルとその対策 』
2013/08

全国的に梅雨も明け、いよいよ夏本番となりました。今年の夏も異常な暑さで、肉体労働をともなうPMCの皆様にとっては、過ごしにくい日々を送っていることと思います。

今回のコラムでは、この時期ならではの印刷トラブルとその対策方法についてご紹介したいと思います。


1、温度管理

夏場の印刷トラブルと言えば第一に現場内の気温の上昇が挙げられます。印刷現場の適正温度は25℃前後と言われていますが、空調の整っていない環境では40℃を越えることもしばしば見受けられます。大幅に機械周りの温度が上昇してしまうと、浮き汚れなどの印刷トラブルを引き起こすだけでなく、元々熱を持ちやすい印刷機にも大きな負荷が掛かり、印刷機の故障を招くことにも繋がります。また、水舟からの結露は、現場内の温度と水温の差が大きくなるほど深刻なトラブルを招くことになります。

温度変化への対策については、「空調を整える」ということに尽きますが、それには多額の費用が発生するので、状況の改善がなかなか出来ないというのが実情です。そのような場合でも、現場内の温度を把握することである程度のトラブルを予測することは可能になり、トラブルを未然に防ぐことが出来ます。特に大型機の場合には操作側と駆動側、機械の上部と下部で温度が変わってくることがありますので、様々なポイントでの計測が望ましいです。

また、現場内の空調が整っていて年中同じ温度で保っている場合でも、夏場はエアコンの風が他の季節よりも多く出ているので、エアコンの風が直接機械に当たり、水上がりに影響が出てしまうケースもありますのでご注意下さい。


2、湿度管理

オフセット印刷において「湿度」と言えば、冬場の静電気によるトラブルがすぐに思い浮かびますが、湿度の高い夏場でも気付かないうちに問題は発生しています。湿度に対する影響は印刷用紙にダイレクトに反映されるので、高湿環境では「波内」や「カール」という症状が起こりやすくなり、これらはフィーダーストップ、見当不良、ダブリなどの印刷トラブルを引き起こします。

波内やカールは、紙(紙間)の湿度よりも外気(工場内)の湿度が高い時に起きる症状で、一般的には紙間湿度よりも外気湿度が10%〜15%以上になると発生する可能性が高くなると言われています。一般的な用紙の紙間湿度は55%〜65%で製造されていますが、今年の夏の平均湿度は74%ですので、これらのトラブルが発生する確率は非常に高いと言えます。

用紙の変化への対策も温度と同様に常に湿度変化を気に掛け、その日その日の湿度を把握しておくことが第一。さらに簡単かつ効果的な対策としては、使用する用紙はなるべく外気にさらさぬように、印刷前・後にはワンプやビニール袋を掛ける習慣を付けましょう。


3、インキ管理

夏場に起こるインキのトラブルは、温度の上昇によってインキが柔らかくなる(フロー値が下がる)ことが一番の問題です。インキが柔らかくなってしまうと、網点の再現不良(ドットゲインの増加)、トラッピング不良(逆トラッピング)、過乳化による汚れや乾燥不良、水元ローラーへの絡みなど、印刷品質に直結するトラブルの元となります。

主な対策としては、インキのタイプを硬いタイプに変更する、インキの保管は高温多湿を避ける、湿し水やチラー(ローラー恒温装置)の温度を下げる、などが挙げられます。保管については、インキ倉庫が空調の効いた部屋ならば問題ありませんが、一般的に倉庫は密室でとても暑いことが多いので、そのような場合にはその日に使用するインキを現場のなるべく機械熱の影響を受けない場所に運んでおくことがポイントです。また、水温を下げる方法が直接的で効果は高いのですが、1で触れたように水温を下げ過ぎると結露が悪化し、水垂れのトラブルにも繋がるので注意をして下さい。

インキや機械の性能の向上により、以前よりは夏場のインキによるトラブルは減っているようですが、夏場に限って上記のような印刷トラブルが多発する場合には、ここで挙げたポイントを確認してみて下さい。


4、水管理

夏場は腐敗菌(バクテリア・カビ・藻など)の発生率が非常に高まる時期です。湿し水が印刷適正温度の10℃前後の範囲ではあまり問題ありません。しかし、週末に機械が停止し現場の空調も切れ水温が上がっていくことで繁殖率が劇的に高まります。カビや藻類は25℃、バクテリアは30℃〜40℃で繁殖率が一番高まります。また、腐敗菌は水面の壁面で繁殖を行う習性があるので、水の流れが止まり、水温の上がる週末の湿し水タンク内は腐敗菌の繁殖に最も適した環境になってしまいます。腐敗菌が多く繁殖してしまうと、湿し水の性能を下げるだけでなく、酷い時にはカビそのものが印刷物に汚れとして発生することもあります。また、腐敗菌には激しい腐敗臭がともなうこともあり、印刷用紙にまで臭いが移るという話しも耳にします。

最良の対策は、週末の最終日に水を抜くことで、これにより腐敗菌の発生率を大幅に下げる事が出来ます。毎週末に水を抜く事が出来ない状況であれば、抗菌剤の添加をオススメします。すでに菌が発生しているような場合には、定期的に循環系の洗浄をすることで改善されますが、菌の繁殖状況によっては洗浄にかなりの根気を要することもあります。

以上、夏場に起こる主なトラブルとして4つのポイントを中心に書きましたが、最後に一番注意すべきはPMCの方々の体調管理です。どんなに良い環境や機械を使用しても、それを扱う人が不調であれば良い印刷物がは出来ません。近年では室内での熱中症の発生率も高まっているので、水分補給などを含めた体調管理をしっかりと行い、無事にこの夏を乗り越えられるよう願っております。

 
筆者:
 
 

No.085 『 技能検定受験します! 』
2013/07

暑い夏がやって来ました。PMC(印刷オペレーター)の皆様におかれましては、工場の温度管理、自己の体調管理に気を使っておられることと思います。くれぐれも体を壊したりしませんようご自愛ください。

さて、今年も夏の終わりには技能検定が開催されます。もうお持ちの方も、これから受ける予定の方もみえるのではないでしょうか。日本にはドイツのマイスター制度のような仕組みはありませんが、ものづくりに関わる分野で国がその技能、知識の統一基準を示す制度としてこの国家検定が設けられています。自分はPMC時代には結局受けることができませんでしたが、ずっと憧れの資格であり、過去問を取り寄せて勉強をしたり、受験した方にお話を伺ったりしていました。

1級の試験は筆記+実技。まずは筆記試験をクリアして、次に実技に望むことになります。筆記に合格できなかった場合には実技試験を受けることはできませんが、逆に実技のみ不合格だった場合には、次回の筆記試験はパスすることができます(出来れば一度で両方合格したいですけどね)。

筆記試験はマルバツ25問、4択が25問の計50問で、制限時間は100分です。これらの問題は印刷工程だけではなく、製版や後加工に関するもの、紙や電気の知識を問うものなど幅広い分野から出題されています。実技は2色機、または4色機を用いて、コート紙に4色刷りを行いますが、4色のうち1色は特色です。もちろん自分で調色することになりますので、特練の技術も要求されます。

以前は1級の習得条件として、10年の勤務が義務付けられていましたが、現在では多少緩和され、6年以上の経験で受験することができます。

さて、どうでしょうか。「そんなの簡単じゃん!」と思った方も、「筆記試験は辛いなぁ」という方も、あるいは「特練なんてやったことないよ〜」という方もいるかもしれませんね。なんといっても国家検定、総合的な知識、技能が要求されるのです。
また技能士をお持ちでない皆さんは、一度会社とも相談して、是非チャレンジしてみては如何でしょうか?

このコラムのバックナンバー No40で弊社桐生が習得への思いを綴っていましたが、ついに我々ロハスプリントセールスチームもそろって印刷技能検定を受けることになりました。

目指すはモチロン、1級全員合格!!

今年の7月には、ライプツィヒで世界技能五輪も開催されます。印刷職種では史上初の3連覇を目指し、トッパンコミュニケーションプロダクツの谷本まりの選手が参加します。前回大会では亜細亜印刷の伊藤真規子選手が女性初の金メダルを獲得、日本の印刷技術の高さを世界に示しました。谷本選手のご健闘をお祈りします。がんばってください。

 
筆者:
 
 

No.084 『 拝啓、印刷現場から 』
2013/06

今回、このコラムを執筆するにあたり、「さて、今回は何をテーマにしようかな」と考えた際、ふと思い当たったことがありました。それは「これまで印刷現場で働く方々の声が反映されていたのだろうか?」ということです。

振り返ってみれば、当コラムは、我々ロハスプリント(ASIAMIX)から印刷関係者様へ向けた提案やメッセージのような内容が主でした。勿論、それはそれで意味のあるものだったという自負はありますが、「実際の印刷現場で印刷に携わっている人々が、日頃どのようなことを考えながら仕事をしているのか?」ということを紹介する機会があっても良いのではないかと考えました。

そこで、今回は少し趣向を変え、印刷現場からの声をお届けしたいと思います。聞き取り調査は、印刷現場をまとめる課長職の方をメインに行ないました。数人〜30人以上の部下をお持ちで、いわゆる中間管理職と呼ばれる方々です。この立場ならではで、当然、上にも下にも要望等があり、現在の印刷会社の抱える問題点を最も的確に伝えているのではないかと思います。

会社への要望 」

・ 新台の導入を検討して欲しい

多かった意見です。勿論「予算の問題で厳しいことはわかっているが…」ということが大前提として存在するのは誰もが理解しているのですが「求められる品質レベルと印刷機の状況が一致しなくなっている」という現実があるようです。例えば「短納期の仕事が増えたが、完全に実現するには印刷機のUV化が必要」といったことです。


・ 印刷現場と営業/企画部門で印刷知識の差を感じる

「用紙の選択で乾燥時間に大きな差が出るが納期はどれも一緒」(油性印刷)、「インキ代が3倍以上する特色の仕事を通常の印刷料金で請けてしまっている」など具体的な意見もありました。これは、現場と営業・企画部門の間に、印刷に対する認識の違いがあるために生じたことだと思います。上記の点については「営業部門が用紙やインキの特性、印刷方法の違いをもっと詳しく知ることで、顧客に対し事前説明が可能なはず」という意見が大筋にあり、ただ不満を述べているだけではなく「現場と営業が意見交換する場をもっと持ちたい」「お互いの仕事内容を知る上での人事異動も必要」「印刷経験者を営業部門に配置した方が良い」という前向きな考え方も多く見られました。

・ 契約社員の制度を見直して欲しい

最近は人件費削減という観点から、契約社員でのスタートという採用基準が増えています。それ自体は、現場も経営サイドの目線で捉え理解しているようですが、「数年経過し、機長職に就いても正規雇用が為されず、せっかく育った若い機長が次々に辞めていってしまう」という現実があるようです。これは印刷会社というより日本経済全体が抱える問題と言えますが、印刷現場としても「その都度、1から教え直さなければならず手間が掛かる上、育ったとしてもいずれ辞めてしまう」というジレンマを常に抱えています。結果「作業の効率化・ミスの削減を目指すはずが、人手不足や技術の未熟さにより追いつかない」という問題に直面することもあるようです。

・ 内製化とコスト削減の矛盾

近年、作業の内製化という言葉をあちこちで聞くことが増えました。極力、外注は出さずに社内へ仕事を取り込み、より利益を上げていくという方針です。会社を健全に経営していくという点で至極真っ当な方針なのですが、それによる弊害も時に発生するようです。
例えば「普段は印刷しない大きい用紙サイズの仕事が突発的に入ることがあり、その度、ブランケットを全胴分交換しなければならない」というようなことです(※解説:ブランケットは同サイズ用紙の印刷を連続することで、表面が紙サイズにヘタってきます。時折、違うサイズの印刷をする場合、その表面の凹凸で着肉が不安定になるので、ブラケットの交換が必要な場合があります)。
「ブランケットを全胴交換した場合、数万〜10万円程度のコストが発生するが、内製化した(外注しなかった)ことに見合うだけの利益が得られるのか疑問」「型替えには作業時間も多大に発生するので、それを繰り返せば当然コスト高になる」という経営面的な意見も現場から出ていました。まとめると「何でもかんでも内製化するのではなく、社内生産の比率を上げつつも、作業効率・利益率との比較で時に外注も必要」ということになります。これを円滑に進めるために、前項でも出た「現場と営業部門の意見交換が必要」ということに繋がります。

 

機械メーカーへの要望

・ 修理・部品の手配等、対応をもっと早くして欲しい

今回、様々な人に意見を聞いたのですが、この質問に関しての回答は全員が一致していました。印刷物には当然納期が存在するので、機械の修理というのは本当に待ったなしです。しかし昨今は、機械メーカーも人員を削減している状況なので、以前に比べ対応が遅くなっているというのは事実です。実際に、修理依頼をしても、修理が数日後になったり、部品が届かなかったりするケースがあるようです。ただ、これに関して首都圏外の印刷会社の方から、こんな意見を聞くことも出来ました。
「ある程度の機械部品は社内でストックし、自分達で修理する腕を磨いておく必要がある」
地方の場合、メーカーの早急な対応が首都圏に比べ元々難しかったので、自然と自分達で修理する技術が培われていったのだと推測出来ます。今後、どの地域の印刷会社であっても、ある程度は自分達で修理対応するなど、考え方を変える時期が来ているのかもしれません。


今回、印刷現場の方に話を伺い、多くの意見を聞くことが出来ました。一見、現状に対する不満のように受け取れますが、よくよく聞けば、その内容はとてもポジティブだと感じます。現在抱えている問題・課題を打破するために何をするべきか。当然、現場だけでは限界があります。今回の意見には、多くのヒント(チャンス)が隠されていると思います。1つ1つをクリアーしていくには、部署の垣根を取り払い、会社全体でタッグを組み、以前にも増した協力体制で乗り越えていくことが重要だと改めて感じる結果になりました。

次回は、続編「若手への要望/現場の課題」をお伝えします。


 
筆者:
 
 

No.083 『 洗浄剤とその毒性 』
2013/03

昨年から原因調査が続いている胆管がんが集団的に発症した問題を機に、なるべく有機溶剤中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則(特化則)、がん原性指針、PRTR法に該当しない洗浄剤を使用していこうという印刷工場が増えました。

この際にクローズアップされたジクロロメタンと1,2-ジクロロプロパン以外にも、有機溶剤中毒予防規則、PRTR法に該当する化合物として、芳香族化合物というものがあります。 

芳香族化合物は、洗浄剤として利用される代表的な化合物で、狭義には「ベンゼン環を含む化合物」と定義されています。基本構造であるベンゼン(C6H6)は発ガン性(白血病を誘発する)があると結論づけられています。

ベンゼンの水素基がメチル其に置換したトルエン(シンナー)や、キシレンは麻酔作用があることは良く知られていますが、その他の芳香族化合物には毒性の疑いがあるという以上の結論には至っていません。

※ベンゼンは昔、化学の教科書で見た事あるような亀の甲記号で表されます。

印刷業界では芳香族化合物=有毒というイメージが先行してますが、薬学的には芳香族化合物の全てが毒というのは誤りで、有害か無害の判断は類似の化合物郡としてグループで判断されるものではなく、化合物単体によりまちまちであるという考えが一般的です。

人体を構成するたんぱく質(アミノ酸)の中には芳香族を基本化学構造に持つものもありますし、化学修飾を経て薬になる事もよくある事です。つまり人体を構成する成分以外の物質が人体に入る場合、それが芳香族化合物以外の脂肪族化合物、化学修飾されたグリコール化合物(洗浄剤の原料としてよく使用されます)であっても人体に対して有害になる可能性は同様にあるという事です。もちろん化合物単体で構造別に毒性の調査は進んでいますが、十分ではありません。

費用対効果の関係で化学業界全体で使用量の多い物質や、前記のようにクローズアップされたジクロロメタンと1,2-ジクロロプロパンなどの物質は調査が進み、法規制化しますが、調査が進まずとりあえず安全と評価される化合物もあります。

そう考えると化合物の害から体を守る上で、法規制を遵守し、法規制非該当の洗浄剤を探す事も一つの考えですが、印刷現場では「作業時間を短縮し、保護具や排気システムなどを用いて、いかに洗浄剤に含まれる化合物全般に接する量を減らすか」が最も有効な方法と考えられます。

原油から蒸留分離された石油ナフサの一部が精製され、印刷用の洗浄剤として利用されるわけですが、下の表の洗浄剤@〜Cがその一例です。組成に脂肪族化合物を含むもの、二環シクロパラフェンを含むもの、芳香族化合物を含むものの順に洗浄力、臭気が強くなることがお解かりになると思います。

有機溶剤中毒予防規則、PRTR法のいずれかに該当するのは洗浄剤A、Bになりますが、人体に対しての有害性は、「洗浄剤に含まれる化合物全般に接する量を減らすこと」が有効という観点から考えると洗浄剤@、Cは安全といえるのでしょうか?

「洗浄剤@はBに比べて洗浄力が弱い分、洗浄に時間が掛かり、結果として人体へ接する量が増える」、「洗浄剤CはBに比べて揮発性が高い分(引火点より)、人体へ接する量が増える」という見方も出来ると思います。又、臭気も家庭で使用するガスと同じで、ある程度、感知できたほうが危険を察知し易いという考え方もあります。

今回の話が推測の域を出ない事は筆者も理解していますが、より安全でパフォーマンスに優れ、低コストな製品をお客様に提供させて頂くという我々の目的は変わりませんので、これからもいろいろな方向性で考え目的を達成していきたいと考えています。

 
筆者:
 
No.082 『 元気な印刷会社 』
2013/02

昔の経営リソースは「人、モノ、金」でした。
印刷業界で言うと「職人、印刷機、金」になります。

そして以前は印刷機械メーカーが主導でこの業界を引っ張って来ました。最新鋭の印刷機を導入すると新しい仕事が舞い込んできて、売り上げが伸びるので経営者はどのタイミングでどの印刷機を買えば良いかの判断をするだけで済んでいた時代がありました。

今は「最新鋭の印刷機でないとこの仕事は出来ない」というほどの技術革新は少なく、設備の差別化で売り上げを伸ばすことが困難になりました。つまり新台を買えば自動的に売り上げが伸びるという時代は終わったと言えます。

設備投資をするのが無駄と言うわけではなく、競争力のある設備は当然必要でそれにプラス「自分たちで考えて新しいビジネスを作る」ということが必要になっているのです。

新しいビジネスを始めようということで少し視線を上げたところ「ワンストップサービス」があります。

ある経営者は倉庫を作って、クライアントの商品の在庫管理、カタログや宛名の印刷、発送業務まで代行しようというビジネスを始めました。ところが倉庫代行の仕事は競合他社が多く、価格競争が激しいため利益が増えませんでした。少ない利益では優秀なスタッフを確保することが出来ず、クレームが増え、改善のアイデアも無く、失敗に終わりました。

ある別の印刷会社は顧客の困っていること、こうなったら良いなという要望を拾い集め次のようなビジネスを始めました。ある製造業の工場の中に自分たちの印刷機を置かせてもらい、その工場で必要とする印刷物をその場で印刷することにしました。 そのクライアントにとっては印刷物の在庫量は少なく済み、運送費は工場内をフォークリフトで運ぶ程度となり短納期・低コストで大喜びです。印刷会社にとっても価格的に競合他社に取られる心配が無く、御客様のニーズを一番近いところで聞くことが出来、強い信頼関係で結ばれ浮気をされる心配がありません。また、自社で建物を作るなどの設備投資も無く、印刷機の移動のみで済みました。

では前者と後者の違いは何だったのでしょう?
それは情報量の違いです。

前者は「ワンストップサービス」という言葉を聞いて経営陣が「えい、やー」で大きな投資をしました。そのスピードは良かったのですが「こんな筈ではなかったのに」という残念な結果になりました。後者は普段から社員全員がアンテナを張り、様々な情報を持ち、そこから大きな設備投資をせずに、堅実に収益を出す方法を考えました。

よって今の経営リソースは「人、モノ、金、情報」です。
※ 最近では「時間」を入れることもあるようです

自社の印刷営業マンから情報を集めたり、インターネットで検索するのは当然のことですが、印刷の技術を一番熟知している印刷現場からの提案がもっとあっても良いのではと私は感じています。

古い話しですが圧着はがきにしても擬似エンボスにしても印刷技術者と資材メーカーと印刷機械メーカーとの情報交換と協力関係が無ければ生まれなかった技術です。

ある印刷現場の課長さんは印刷技術が高いことに加え、アイデアマンなので様々なメーカーの営業や技術者が面談に来られます。 ただ世の中ギブ・アンド・テイクなので情報をもらうだけでは会ってくれません。そのため手土産としてこちらからも相手が欲しがっている情報を準備して訪問します。 結果、その課長さんは外に出なくても同業他社の情報に詳しく、印刷機、資材の最新情報も多く持っておられます。 そうなるとまたその情報を求め、人が集まり好循環が生まれます。

このような印刷会社の商談ルームには絶えず来客が多く、活気に溢れています。 皆、新しい情報を得て、次のビジネスにつなげようと懸命なのです。 皆様の会社の商談スペースはどうでしょうか。

ロハスプリントは御客様からの相談・要望に応えている内に気がつけば3,000点もの商品を取り扱うようになりました。 また、我々はロハス1というH液や洗浄溶剤の開発・製造をしているメーカーであり、海外から良いものを見つけ日本の市場に紹介する商社的な動きに加え、スタッフは皆、様々な経歴を持ち、知識・経験豊富なスタッフが多く在籍しています。 その中でも営業部・営業技術部の営業活動エリアは日本全国をカバーしており、多くの情報を持っています。 是非ご利用下さい!

当社のスタッフは全員facebookを利用しています。
下記の似顔絵が目印です。上手に情報交換をしてみて下さい。
元気な印刷会社を目指す御客様の一助になれれば幸いです。


 
筆者:
 
No.081 『 ロハスプリント イヤーブック 2012-2013 』
2013/01

皆様、明けましておめでとう御座います!

時の流れは早いもので、年頭のイヤーブックを書く時期となりました。このコラムをスタートしたのは6年前の2007年、イヤーブックも今回で3年目となります。今年も「継続は力なり」で印刷業界の生の声を発信していこうと思います。ご愛読の程、宜しくお願い致します!

早速、当社の昨年2012年の動きをご報告致します。

@国内市場
昨年は6月に北陸支店を金沢にオープンさせました。これで当社の国内の拠点は、東京、名古屋、大阪、福岡、金沢と5ヵ所となり、より多くのお客様に対して、ロハスプリントのサービスを提供出来ることとなりました。北陸支店長のセンチョーこと、山田も張り切って働いております。是非ともご愛顧のほど、宜しくお願い致します!

A海外市場
また9月には2010年に設立した、当社の韓国支店を法人に位上げして、Asiamix Korea Limitedという会社を設立致しました。韓国市場の担当営業に、日本から韓国人スタッフのカルビー(当社ではスタッフをニックネームで呼んでおります)を送り込み、韓国の印刷会社様に向けて営業活動を開始致しております。

B自社製品
自社製品では、2009年にリリースした、湿し水「ロハス1」が4シーズン目を迎え、より多くの印刷会社様にご愛用頂けるようになりました。今期もシェア拡大に向けて、営業部、営業技術部、研究開発部がタッグを組んで臨んで参ります。宜しくお願い致します。

C海外製品
海外製品では、時短ブレードZが大きくシェアを伸ばした1年となりました。時短ブレードZは従来のブレードよりもかきが良く、洗浄時間を短縮し、同時に洗浄剤の量も減らせるというユニークな製品で、春の販売開始以降、一気に売上を伸ばし、秋には使用印刷機も100台を突破致しました。今期も時短ブレードZをより多くのお客様にご紹介すると共に、同様のユニークな製品を販売出来るよう、日々の努力を続けて参りたいと思います。

Dアジアミックス
私事になりますが、昨年はほとんどの時間を香港で過ごし、2011年に設立した香港の関連会社、Asiamix Limitedから、日本、中国、韓国の経営を行った1年となりました。香港では、現地スタッフの採用も行い、毎日英語で仕事を行った1年でした。日本語が喋れないスタッフも増えてきたことにより、毎週の朝礼も1部を英語で行うことにし、より国際化を意識した会社運営を行いました。

E新規ビジネス
昨年度は印刷資材のビジネスに加えて、新規のビジネスをスタートさせるという大きな目標を掲げて臨んだ1年でした。色々と悩んだ結果、3月にコーヒービジネスへの参入を決定し、香港でコーヒーの焙煎ビジネスを始めると共に、若者に人気のコーヒー器具、ケメックスのアジア代理店となったほか、シアトル発のエスプレッソマシン、スレイヤー・エスプレッソの日本と香港の代理店契約を結ぶに至りました。

次に今年2013年の動きをご紹介致します。

@印材ビジネス
印材ビジネスでは、夏前にロハスプリントカタログAを発行する準備を進めております。前回のカタログに掲載されていない新製品も大分増えてきましたので、内容を大幅にアップデートしたカタログをお届けしたいと思います。

Aコーヒービジネス
コーヒービジネスでは、昨年から準備を進めてきたコーヒー焙煎ショップ、アラビカが香港で2月初めにオープン致します。このショップでは、世界中から仕入れたコーヒー豆を店舗で焙煎し、お客様に販売すると共に、コーヒー教室や、料理教室、ケメックスの販売や、スレイヤー・エスプレッソのショールームも兼ねることになります。今期は同様の店舗を韓国でもオープンさせるかの機会を探る1年でもあります。

Bアジア展開
当社は2009年にアジア展開として、日本、中国、韓国、台湾、香港の頭文字を取った「JACKTH(ジャックス)展開」をスタートしましたが、まだ台湾支社だけが実現しておりません。今年も引き続き、台湾進出のチャンスを伺う1年となります。

C社名変更
当社は2010年に社名を「エスケー液製造株式会社」から「ロハスプリント株式会社」に変更致しましたが、今期から力を入れるコーヒービジネスに、現在の社名が適していないという理由から、夏前に再び社名を変更することを予定しております。新しい社名は、香港と韓国で既に使用をしている「アジアミックス」を使用し、「アジアミックス・ジャパン株式会社」を考えております。ロハスプリントという名前は、ブランドとして残し、印刷業界では引き続きロハスプリントとして活動し、コーヒー業界ではアジアミックスという社名で活動をしようと考えております。お取引を頂いておりますお客様にはご迷惑をお掛けしますが、宜しくお願い致します。

D次の50年に向けて
当社は今期で第50期を迎えます。この企業としての節目となる年に、従来の印材ビジネスに加えて、コーヒービジネスをスタートさせたり、社名を再び変更することには万感の思いがあります。今後も100周年を目指して、全国の印刷会社様、印刷資材の代理店様に喜ばれるサービスを追求していく所存で御座います。引き続き、ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。

最後になりますが、今期から専務取締役に就任した小山と、昨年から今年にかけて入社をした新入社員をご紹介致します。ロハスプリント・イヤーブックをお読みになって下さり、有難うございました!

 

 
筆者:
 
No.080 『 2012年を振り返って 』
2012/12>

早いもので2012年も残すところあと僅かとなり師走に突入となりました。

景気低迷の中、印刷業界も厳しい1年だったのではないでしょうか。振り返ってみますと厳しい状況下の中、今夏、相次いで発覚した胆管がんの発症問題に揺れた印刷業界。全国1万8,000社の印刷事業所を対象に、厚生労働省が8月に行った調査により、新たな発症疑義事例も見つかりました。需要の先細り・過当競争・低収益の三重苦が続く全国各地の印刷業者の経営は本当に厳しい状況に直面しました。

しかし、今回の件で環境面に対する意識が一気に広まった事も事実です。私共ロハスプリントは1990年代から低VOC、ノンVOCを意識した製品を取り揃え全国の印刷会社様へご提案して参りました。今回の胆管がんの件は、我々印刷業界で従事している上でショッキングな出来事では有りましたが、今まで決して環境面での取り組み意識が高いとは言えませんでしたので、これを機に更なる印刷現場改善に繋がる事を期待したいと思います。

印刷業界の動向としては、日本製紙連合が発表した10月の紙・板紙需要速報によりますと、紙・板紙の国内出荷は前年同月比2.4%減で、落ち幅は縮小するも5か月連続の減少。うち、紙は3.7%減で7か月連続の減少、板紙は0.8%減で3か月連続の減少という結果が出ています。暗い話題ばかりで申し訳ありませんが、やはり現実は受け入れなければなりません。
 
最近、様々な印刷会社から勉強会の開催依頼や、印刷現場改善の相談をされる事が多いのですが、私は常々2つの事を申し上げています。1つは安定した高品質の印刷実現。2つめは作業改善による効率(稼動率)のアップです。

安定した高品質の印刷実現によりクライアントからの信頼を得る事は大きな武器となります。また、稼動率のアップにより会社の利益アップにも繋がります。この2つを実現するためには色々な手法が有ると思いますが、実行するのは印刷現場ですので現場スタッフの意識改革も重要な要素であることを付け加えておきます。

来年も何かと厳しい業界になるかも知れませんが、ロハスプリントと致しましては、皆様に喜んで頂けるような印刷資材を提供出来るように努力を続けて参ります。新年には、また元気な姿で皆様とお会いできる事を楽しみにしております。

まだ、2012年も僅かに残っていますが、1年間有難うございました。心から御礼申し上げます。

 
筆者:
 
No.079 『 数値管理 』
2012/11

印刷業界では以前から数値管理が重要視されています。数値管理とは、これまでは人の感覚で管理していたことを数字で明確に管理することです。印刷業界で数値管理の必要な部分は、印刷濃度・温湿度・湿し水・胴仕立て・ローラーニップ・ゴム硬度など様々です。

すでに数値管理に取り組まれている会社は多くあると思いますが、今回のコラムは、これから取り組むことを検討している会社や、数値管理がどんなものなのか知りたい会社に向けて、わかりやすい説明をしたいと思います。

例えば、皆さんが朝起きてなんとなく体調不良を感じた時、まず始めに何をするでしょうか?

多くの方の答えは「体温を測る」ことではないでしょうか?そして、その数字に応じて、薬を飲むか、病院に行くか、会社を休んで自宅で休むかを決めると思います。これが正に数値管理なのです。

体温というのは人間の体の状態を簡易的に数値化したものです。体調不良を感じるという感覚はとても曖昧なものですが、そこに体温を測るという数値管理を加えることで体の状態をより正確に把握することが出来ます。また、体調不良という自覚症状がなくても熱があることはあります。このような場合でも、数値による状態確認と適切な処置を行うことで、症状の悪化を未然に防ぐことが出来ます。

それでは、これを印刷に置き換えて考えてみましょう。

地汚れのトラブルが発生した場合、一番に疑うのは湿し水の状態になると思います。この時、数値管理をしていないと、「何となく湿し水が怪しい」という感覚に頼った曖昧な判断になります。しかし、数値管理を行うことでPH値や伝導率の数値から水の状態を正確に把握することが可能となり、本当に湿し水が悪いかどうかの判断が明確になります。湿し水の劣化が確認出来れば、水の入れ替えや添加剤の投入などの適切な処置により、トラブルの改善に繋がります。それとは逆に、湿し水の状態に問題が無ければ、早い段階で次の要因に目を向けることになり、問題の悪化やロスタイムの減少に繋がります。さらに、定期的な計測を行うことで、未来のトラブルを未然に防ぐことが可能になります。これこそが数値管理を行う最大のメリットだと言えるでしょう。

このように数値管理は簡単な作業でありながら、とても重要な役割を果たしていることが分かります。ただ、一点だけ注意事項があるのでそちらにも触れておきたいと思います。

それは、状態の良し悪しを判断する基準をどこに設定するか?ということです。これもまた体温に例えますが、一般的体温は37℃を基準に考えられますが、これはあくまでも目安であり、実際には人それぞれ違いがあります。37℃で寝込む人がいれば、38℃でも平気な人もいます。男女でも平熱は変わってきます。このような個人差の中、ほとんどの人は自分がどれ位の熱に耐えられるかを知っています。それは何故かと言うと、私達は、幼い時から体温を数値管理してきたからです。幼少から成人までの間に何回体温を測るかはわかりませんが、過去に測った体温の1つ1つが貴重なデータとなり、回数をこなすことで精度の高い基準を割り出すことが可能となります。

同様に、印刷の場合でも、各会社・各機械ごとに違いがありますので、1社1社、印刷機1台1台の基準値を見極める必要があります。基準値を割り出すには、多くのデータを集める必要がありますので、かなりの時間と労力を費やすことでしょう。しかし、その基準値さえ明確になれば、後は定期的な測定で状態を判断することが出来ますので、印刷トラブルの軽減に繋がることは確実です。


最後になりますが、体温を測る為には体温計が必要な様に、印刷で数値管理を行う場合にもそれに見合った計測器が必要になります。弊社では様々な計測器を提供しておりますが、まずは御社のスタイルに合った管理方法のご提案を致しますので、数値管理に興味を持たれましたら、お気軽にロハスプリントまでお問い合わせ下さい!

 
筆者:
 
No.078 「事後保全から事前保全へ」
2012/10

最近の印刷機は、デジタル化が進みスキルレスや前準備時間に特化した機械が販売され、UV印刷機もLEDやハイブリッドなどの新しいUV装置が搭載されている物が多く感じます。以前は、どの印刷機メーカーも付加価値、小ロット対応、ラージフォーマットなどを全面に打ち出し、販売されていました。そういった華やかな謳い文句で販売していた印刷機もここ数年は販売台数が減っている傾向にあります。

多くの印刷会社様は機械の更新時期が近づいて来てもオーバーホールであったり一時的な延命修理をされているのだと思います。この背景の1つは各機械メーカーが独自に販売されている保守保全プログラムがあるからだと考えられます。

例えば

・小森コーポレーション様は「 KPM 」 ( Komori Preventive Maintenance )
・ハイデルベルグ・ジャパン様は「 パートナープログラム 」
・マンローランドジャパン様は「 プロサーブ 」

といったものがあります。

各メーカーで内容や費用、コース選択などバラつきはありますが、全てマシンストップにならないよう定期点検して、常に安定した稼動を目指すプログラムです。

小生が日頃、訪問しているお客様の中には機械メーカーばかりに頼るのではなく、「 自分たちの機械は自分たちでメンテナンスしないといけない !! 」という考えのお客様がおられ、相談される事があります。

その時は「 TPM 」を薦めます。

TPMというのはトータル・プロダクティブ・メンテナンスの略でTQCと言ったりするのと同じです。製造現場などでよく使われます。

メンテナンスというのは、故障したら治すという事後保全( アフター・メンテナンス )が主だったのですが、製造が止まるという事態を避けようと、予防保全( プリベンティブ・メンテナンス )と言う技法が取り入れられるようになって来ました。さらに予知保全( プリディクティブ・メンテナンス )という技術体系へと進化してきています。これは生産活動の中で計画的にやることから、計画保全と呼ばれたりします。それらをすべて統合的に経営の中で位置づけて活動することをトータル・プロダクティブ・メンテナンスと言うようになりました。

印刷会社様でメンテナンスの日を週に1度とか月に1度と決めて、予め時間を設けるのも一つのTPMです。印刷機の安定は、日々のメンテナンスと、定期的なメンテナンスの両方が大事だと考えます。

ロハスプリントにも印刷のメンテナンス用商品が、数多くございます。TPMへのご相談は、弊社営業スタッフにお気軽にお問い合わせ下さい。

 
筆者:
赤澤賢一
 
No.077 「印刷用語」
2012/09

PMC(印刷オペレーター)の皆様におかれましては、残暑厳しい中、日々印刷品質の向上に努めておられることと思います。

自分がPMCから転職し、ロハスプリントに入社して各印刷現場に足を運ぶようになってから1年がたちました。毎日、様々なことを発見し、驚きの連続です。今回はそんな中から、基本中の基本である「印刷用語」についてお話ししたいと思います。

……とはいっても、難しくて堅苦しい話ではありません。皆さんが普段使っている「スラング(?)」についてです。これが結構、地域差というか、印刷工場ごとに違っているものが多いんです。

例えば、印刷機のフィーダー部分にあり、紙を一枚ずつ分離するためのアレ。皆さんはなんと呼んでいますか? 紙押さえ、吹き足、アヒル、長靴……いろいろな呼び方があります。どれも見た目から付けられているようです。 ちなみに英語では……?ガバナーフット( Governorfoot )といいます。調速足とでも訳せば良いでしょうか。

それに続くフィーダーボード。日本語だと差し板と言いますが、バイタ(場板?)と呼ぶ地域もあるそうです。

圧胴、英語で言えばインプレッションシリンダーですが、ベテランの方は押し胴と呼んだりもします。下胴と言う方もみえますが、BB方式だと下もブランケットになってしまい、ちょっとややこしそうです。これは見た目ではなく、機能が呼び名になっていますね。そもそも、なぜ Cylinder を胴と呼ぶのかが不思議ですね。

不思議な呼び方としては、インキのことを肉と呼ぶのもそうでしょう。調肉、残肉、肉板なんて言い方もあるそうです。インキをインクと呼ぶことはあまりないですね。

遣り水、鉄砲水なんて言い方は最近めっきり聞かなくなりました。モルトンを使用していた頃は、印刷中にラッパ(洗浄瓶ですね)で水棒(給水ローラーです)に直接水をかけてたんです。このコラムをお読みの若いPMCの皆さんですと、もう知らない方の方が多いかもしれませんね。これが連続給水方式になると、水膜を調整するローラーの名称が各メーカーによって違います。調量ローラー、絞りローラー、水切りローラー……。これらは使用用途で名前が決まっているみたいですね。水元ローラーのあるのは水舟、水皿、あるいはウォーターベイジンとも呼ばれています。

その他、印刷機周りですと、ヤリ紙、ヤレ紙はいずれも損紙のこと。ドンデンはドンテンと言う方もみえますし、製版現場だと毛抜き合わせのことをトラッピングと言いますね。(これは講習会でも使う言葉なので、デザインの現場では正式な呼び名なんでしょうけど)

印刷スラング?


さて、自分としては、統一が取れていた方がわかりやすくて歓迎なのですが、その一方で、各印刷会社さんで独自に発展してきた用語がなくなるのも惜しいとも思います。エアコロになっても針は針だし、印刷機は運転ではなくて回すものですよね。

では、最後にクイズです。皆さんはこんな言葉、知っていますか?
(1)ゲタ
(2)スクラム
(3)兵隊(さん)

そういえば、まだまだ使用されている所も多いですが、遂にダンプニングスリーブが販売終了となります。弊社では代替となる製品の紹介もしておりますので、是非お問い合わせ下さい。昔はモルトンを一本ずつ糸で縫っていましたよね。

 
筆者:
 

 

 


クイズの答え
(1) 伏せ字。組み版で活字がない時に代わりに入れます。
(2) 投げ込み。中綴じで糊無しのページです。
(3) ペーパーストッパー。今は一枚板ですが、昔は1cmぐらいの板が並んでいました。

No.076 「有機則・PRTRって何?」
2012/07

「西日本の印刷会社で、少なくとも5人が胆管ガンを発生し亡くなっていた」というショッキングなニュースが、今年5月に印刷業界を駆け巡りました。因果関係がハッキリと証明されたわけではありませんが、印刷現場で頻繁に使用していたジクロロメタンに原因があると推測されています。
このニュースをきっかけにして、日本全国の印刷会社で、ジクロロメタンの使用を取り止める動きが活発になり、さらには有機則・PRTRに該当する製品一切を排除する方向に動いている会社も増えました。

では、有機則・PRTRとは何でしょうか?
印刷現場を廻っていて「有機則該当製品はNG」という声をよく聞くようにはなりましたが、詳細について把握している人は、実際のところまだまだ少ないようです。中には「有機則該当製品の使用は法律に違反する」というような誤った認識もあるようなので、このコラムで改めてご説明させていただきたいと思います。
過去のコラム(バックナンバー010063)で専門的なお話はさせてもらっていますが、今回は、より噛み砕いてお伝えしたいと思います。

  • 有機則とは
    正式には「有機溶剤中毒予防法」と呼ばれる厚生労働省令です。人体に悪影響を及ぼすとされる54種の物質が指定されており、中毒性の強い順に、第一種有機溶剤、第二種有機溶剤、第三種有機溶剤と区分されています。指定物質が使用禁止ということではなく、使用する場合、排気・換気装置の設置や年2回の健康診断などが義務付けられています。

  • PRTRとは
    正式には「Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度」です。有害性のある化学物質(435種)が、どのような発生源から、どれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握し、集計し、公表する仕組みです。リストアップされた化学物質を製造したり使用したりしている事業者は、環境中に排出した量と、廃棄物や下水として事業所の外へ移動させた量とを自ら把握し、行政機関に年に1回届け出る必要がありますが、使用の可否・量の制限をするものではありません。あくまでも環境保全のための監視システムです。


という風に書くと、まだまだお堅い感じですね。もっとわかりやすくザックリと区別しましょう。

有機則 人体への影響のある物質が指定されており、主には中毒性のある物質です。中毒とは、体内に吸収された有機溶剤が神経などへ作用して、急性または慢性的な健康障害(眩暈、吐き気、肌荒れ、内臓疾患、眼への刺激・障害)を発生させることを指します。
PRTR 環境中に排出され、環境中の経路を通じて生態系・人の健康に有害な影響を及ぼす可能性がある化学物質が指定されています。従って有機則よりも対象物質は多くなります。


更ににわかりやすく言うと「使用すると気持ち悪くなったり眩暈を起こしたりする可能性があるので、使用する場合は換気設備等を整え、年に2回は健康診断を受けましょう」というのが有機則、「生態系・人体に影響を与える化学物質がどのくらい排出されているのか、みんなで報告しあいましょう。そして使用を抑制し、より良い環境を築きましょう」というのがPRTRになります。

『 MSDS 』
印刷現場で使用されている材料に、有機則やPRTRに該当する成分が含まれているかどうかは、MSDS(Material Safety Data Sheet:製品安全データシート)を読めば把握出来ます。材料メーカーは、事業所(印刷会社)に対しMSDSを提供する義務がありますので、もし手元にMSDSが見当たらない時は、取引業者に問い合わせれば直ぐに入手出来ます。また、最近はインターネットでMSDSをダウンロードしたり、メールで請求することも可能になっているので、それらを活用しても良いと思います。

『 最も大切なこと 』
有機則・PRTR該当製品は「使用してはいけない」というものではありません。使用する場合には、適切な使用方法や環境、通知義務を遵守する必要があるという制度です。
「毒性は強いが作業が短時間で済む溶剤」と「毒性は弱いが作業時間を要する溶剤」のどちらの方が悪影響を及ぼすのか?などは意見の分かれるところであり、最終的な判断は使用する印刷会社に委ねられます。
最も大切なことは、現場で働く人々が使用材料の詳細を把握した上で選択することです。「何だかわからないけど、インキがよく落ちるし価格も安いからイイや」というような考え方で健康を害するようなことがあってはなりません。そのために有機則やPRTRについて知る必要があると思います。そして、このコラムがその一助になればと願います。

最後になりましたが、有機溶剤等について疑問点などありましたら、弊社スタッフまでお気軽にお問い合わせ下さい。製品の選択・正しい使用方法など、専門的な内容も含め、わかり易くご説明させていただきます。

 
筆者:
 
No.075 「ドルッパ2012報告」
2012/06

世界最大規模を誇る国際印刷・メディア総合展「ドルッパ2012」が5月3日(木)〜16日(水)までの2週間の期間で、ドイツのデュッセルドルフで開催されました。

そして、我がロハススタッフも4名を派遣し更なる見聞を広めて来ました。

まず一言で感想を述べると、これが世界最大の印刷展示会ドルッパか?と思う程来場者が少なく驚いてしまいました。前回のドルッパ2008の来場者は約39万人に対して、今回の来場者は主催者側の発表では31万4,500人と7万人、率にして20%の減少です。

我々が会場を訪れたのは後半の4日間で、来場者の殆どは前半に集中した事で数字以上に来場者が少なく感じたのかも知れません。しかし、我々にとっては逆に好都合であり、人並みまばらな点を利用して、じっくりと各社のブースを視察したと共に、各国の取引先とも十分なミーティングの時間を取れた展示会となりました。

今回のドルッパ2012は「All Digital Drupa」と呼ばれ、オフセット印刷機メーカーによるデジタル印刷機市場への本格的な参入が注目され、長年オフセット印刷業界に携わっている自分としては驚きと共に寂しさも感じました。

ドルッパ2008はInkjet Drupaと呼ばれましたが、今回のドルッパは、個人的には「第2次Inkjet Drupa」と感じる程、デジタル印刷の進化が著しいものでした。中でも今回最大の注目を浴びていたのはイスラエルのデジタル印刷機、ランダ社のブースで、唯一最終日まで賑わいを見せていました。ランダ社代表のベニー・ランダ氏はインディゴ社の創立者で、2001年にインディゴ社をヒューレット・パッカードに売却。そこで得た巨額な資金を利用して、新たなデジタル印刷技術「ランダ・ナノグラフィ印刷」を開発し、今回のドルッパでの大々的なお披露目となったそうです。

その印刷技術ですが、印刷用紙にデジタルインク画像を形成するためのインク・イジェクターを採用。そのプロセスにおいて、非常に高速に動作して画像を形成し、高い耐磨耗性や耐スクラッチ性を持つと同時に、コート紙、非コート紙からリサイクルされた厚紙までの幅広い用紙に対応可能で、新聞印刷からプラスチックパッケージフィルム印刷まで、いかなる事前処理やコーティングも不要で、印刷後の乾燥も必要としないという数多くの特長をアピールしていました。また、ナノグラフィの画像は、オフセット画像のインク膜厚の半分である500ナノメーターの厚みしかないことから、ランダ・ナノインクはデジタル画像形成においてページ単価を大幅に低減することが可能。その上、このインクは全て水性ベースで、環境に優しい全く新しい印刷プロセスだと説明されていました。

ドルッパでは、この「ランダ・ナノグラフィ印刷」の技術に関して戦略的合意を小森、ハイデルベルグ、ローランドと締結したそうで、これも大きく取り上げられていました。

このようなデジタル印刷の進化は目を見張るものがありましたが、我々ロハスプリントの本当の目的は新たな印刷資材の発掘にあり、冒頭にも述べた通り、今回のドルッパは人込みを避けつつ、十分な商談が出来たことにより、前回以上の数多くの新商材を発掘することが出来ました。今後社内で十分な検討を実施し、秋頃には皆様に対して新製品としてご紹介が出来ると思います。

印刷技術はどんどん進化しており、今後も大きな変革は間違いなく訪れることでしょう。しかし、現在世界のデジタル印刷は、ランダ社のプレゼンによると、印刷全体のたった2%とのことです。残り98%のオフセット印刷市場で活動する我々は、今置かれた現状の中で、全国の印刷会社様の品質UP・効率UPなどの手助けとなるようなご提案を、今後も継続して実施して参ります!

 
筆者:
 
No.074 「印刷資材と石油情勢」
2012/05

私たちが皆様に提供させて頂いている製品群は、湿し水、洗浄剤、印刷機パーツにしても多くが石油から作られた原材料を使って製造されています。

日本の石油元売り会社は原油の9割前後を中東から輸入していますが、ここ1年間の原油価格推移を見ますと、2011年3月には1バレル100ドルを超え、9〜10月には85〜86ドルまで下がりましたが。その後、2012年に入って再度100ドルを超えています。15年間の推移で見ますと 1990年代には1バレル20ドル前後だった原油価格が5倍強となり、それに連動して印刷資材原材料の元であるナフサ価格も上昇を続けてきました。(原油の単位としてはバレルと言う単位が良く使われますが、これは昔、原油を入れていた容器の名前(樽の事)から来ており、1バレルは159000立方センチメートルとなります。)

石油やナフサについて説明しますと、石油は、炭化水素を主成分として、ほかに少量の硫黄・酸素・窒素などさまざまな物質を含む液状の油のことで、太古の植物や動物の死骸がバクテリアなどによって分解されて長い月日をかけて形成され蓄積したものです。油田から掘り出したままの油から水分、異物などを大まかに除去した精製前のものを特に原油と言い、ナフサとは、原油を常圧蒸留装置によって蒸留分離して得られる製品のうち沸点範囲がおおむね35 - 180℃程度のものを指します。

ナフサのうち沸点範囲が35 - 80℃程度のものを軽質ナフサといい、日本では石油化学工業でエチレン、プロピレン、ブタジエンといったオレフィンに精製され、オレフィンを基礎原料として様々な化学製品が作られています。湿し水、洗浄剤、インキの原料として使用される溶剤、界面活性剤、各種合成ポリマーなども軽質ナフサが大本の材料です。

沸点範囲が80 - 180℃程度のものを重質ナフサといい、ガソリン、芳香族炭化水素製造の原料としての使用が中心です。一般に洗い油と呼ばれる洗浄剤は重質ナフサを加工したものです。
原油から精製されるナフサ、ガソリン、軽油、重油などの内、化学製品の原料として使用されるものは僅かで、80%以上が燃料として使用されています。長い月日をかけて蓄積されたものを極短時間で使用してしまうわけです。石油が蓄積される時間と消費される時間を比較するとかなり早いペースで枯渇の方向に進んでいることは明らかです。

今後、石油に依存しない社会を構築することが求められる時代です。その中で、私たちはより良い印刷資材を開発して皆様に提供させて頂いくという立場で、石油を原料とする製品群をどう維持、発展させていくかと同時に、いかに再生可能な植物を利用した原料に置き換えていくか、溶剤などのリユース、材料の機能性をUPし石油原料の使用を減らしていく事を考えなければならないと思っております。

 
筆者:
 
No.073 「電気料金削減」
2012/04

弊社では運営管理費を極力見える化し、経費削減に努めていますが、4月1日より実行された、東京電力による企業向け電気料金の値上げでも対応を検討しています。

ニュース等で何度も取り上げられた今回の電気料金の値上げは、工場やオフィスビルなど、契約電力が50キロワット以上の「自由化部門」と称される24万件の事業所が対象となっています。自由化部門は、契約内容により特別高圧(標準電圧2万ボルト以上)と高圧(標準電圧6千ボルト以上)という項目で分類され、ロハスプリントの本社は後者の「高圧」に類しますが、弊社の値上げ率は実に10.7%と看過できない数値でした。

値上げ対象の「自由化部門」は年間契約が基本のため、今回の4月1日の値上げに関して、この日が契約期間内である契約者の値上げについては、東京電力の、あくまで“お願い”であり、電話1本で断れるというものでした。しかし、東京電力はこの告知を徹底せず、契約期間中でも値上げは強制と思わせる節があったとして、契約者の顰蹙を買ってしまい、震災から続く不信感に拍車をかけてしまったことは周知のとおりです。

弊社でも早速連絡し、契約期間終了までの値上げを回避していますが、現在は一連の批判を受けた東京電力が、公式の発表としてウェブサイトに配置のPDF(※1)内に「4月1日が期間途中の場合は、了承の無い一方的な値上げは行いません」と明記されるに至っています。

しかし、そもそも「自由化部門」とはどういう意味でしょう?

改めて調べたところ、電力の契約者は、一般家庭など電気事業法で保護される「規制部門」と、契約者が交渉を行い自由に供給相手選ぶことができる「自由化部門」に分類されており、今回の自由化部門もこれを示していました。つまり「自由化部門」とは本質的に、「大量の電気消費者は自由に購入先を選べる」ということです。

自由化部門には、電気の供給側に「特定規模電気事業者」の参入が認められています。「特定規模電気事業者」は、電気事業法で『電気の小売』を認められた「電力会社が有する電線路を通じて供給を行う」新規参入の事業者です。PPS(Power Producer&Supplier)と呼ばれ、電気の小売自由化で撤廃された参入規制の改訂により、2000年度より参入し、数%の電気料金削減を謳っています。PPSは複数の業者があり、この情報は資源エネルギー庁のウェブサイト(※2)にも記載されています。

現在は、東京電力管内の業務用電力において、1割以上がPPSから供給となり、民間企業のほか、学校や官公庁関係なども導入し、年間数百万の歳出削減を実現させる自治体もあるようです。

なお、PPSは、各事業者のシェア(※3)も大きく異なり、契約はワット数で条件を設けるなど様々ですので申込みには注意が必要です。今回の値上げ発表以降、PPSには依頼が殺到し、短期間のうちに供給可能な電力量が不足してしまい、新規の受付は秋口以降という業者も存在しています。

弊社でも今回の件を機に問い合わせ、過去1年間の電気料金の情報を提出し、見込み削減予算を算出中です。業者は多数あり、申込みから3ヶ月ほどを要する業者もあるとのことで、複数を検討し経費削減に努めていきたいと考えています。

電力の自由化においては、市場におけるPPSの全国シェアは数%と小さく、加えて、震災以降の発電量不足により、電力の絶対量におけるPPS事業者分へ分配比率が減少するなど、需要に対してパイが少ない問題点も存在します。また、そもそも自由化とはいうものの、電力会社が管轄内への販売をほぼ独占し、「自由化」を定めた2000年3月の施行以降も、ほとんど管轄地域を越えた販売に発展していないようで、これについては先頃、公正取引委員会が独占の現状を調査に乗り出すというニュースもありました。更には、自由化をより促進させるために、かつての通信自由化を促進した「新電電」の威を借り、名称をPPSから「新電力」に変更するとつい先頃、経産相からの発表もありました。単なる経費削減への期待だけでなく、資源分配の適正化に繋がる自由化の促進は、今後も期待したいと思っています。

 

※1 東京電力ウェブサイト
「自由化部門のお客さまへの料金値上げ対応について」(PDF)
http://www.tepco.co.jp/e-rates/corporate/charge/images/20120327_1.pdf
※2 資源エネルギー庁「特定規模電気事業者連絡先一覧」
http://www.enecho.meti.go.jp/denkihp/genjo/pps/pps_list.html
※3 エネルギー情報局「PPSシェア(市場占有率)」参照
http://j-energy.info/?t=pps_ranking

筆者:
 
No.072 「輸入紙」
2012/03

皆様の会社では輸入紙を使用していますか?

個人的には輸入紙の使用はここ数ヶ月間で劇的に増えている印象があります。営業訪問を通して、多くの印刷会社で輸入紙について尋ねられる機会が増えてきました。ですので、今回のコラムでは輸入紙について触れてみたいと思います。

日本製紙連合会によると、2011年の印刷・情報用紙の輸入量は前年比30%増の158万トン。特に塗工(コート)紙は93万トンと同36%増えています。国内の印刷用紙需要における輸入紙のシェアは初の2桁となる10.5に増加し、また、需要全体における塗工紙のシェアは前年比4.3%アップの16.6%に達しました。輸入紙の使用は2009年から急激に増えており、これは大手の通販メーカーが国産紙から輸入紙にシフトしていったことが一番の要因と言われています。


輸入紙の生産国は中国・韓国・インドネシアなどのアジアが主力ですが、最近ではユーロ安の影響でヨーロッパからの輸入も増えているそうです。

輸入紙の一番の魅力はなんと言ってもコストが安い点です。国内用紙の相次ぐ値上げに円高の影響が手伝って、輸入紙の割安感が以前よりも増しています。

印刷会社にとって、印刷用紙のコストが印刷物全体の大部分を占める以上は、用紙のコスト削減を第一に考えるのは当然のことです。特に東日本大震災以降は、印刷物の自粛や印刷資材の値上げなどにより、印刷会社の利益がさらに圧迫されています。そこで、国内紙よりも安価な輸入紙に目を向ける印刷会社が急激に増えたのだと言えます。

しかし、日本の印刷会社の輸入紙の使用が増えるにつれ、印刷現場では輸入紙から発生していると思われるトラブルも増えているようです。

例:
1. 紙粉
2. ローラーへのカルシウムの付着
3. 静電気
4. シワ
5. ブロッキング

もちろん、これら全ての原因が輸入紙にあるとは言い切れませんが、上記のトラブルが輸入紙の使用と共に増える傾向は確かで、現場としては輸入紙の使用には消極的です。しかし、輸入紙を使用することによるコスト面の恩恵は無視する事が出来ず、時にはクライアント側から輸入紙を指定されることもありますので、日本の印刷会社の輸入紙の使用、そして、輸入紙にまつわる印刷トラブルと向き合って行く事は必要不可欠と言えるでしょう。

弊社ロハスプリントでは、上記のトラブルを解決、または改善するノウハウを蓄積しております。輸入紙の使用に備え、何か手を打っておきたいと考える印刷会社様や、すでにトラブルでお悩みの印刷会社様がいましたら、お気軽に弊社営業スタッフにお声をかけて下さい。御社の条件に合った一番良い改善方法を提案させて頂きます。

筆者:
 
No.071 今年はdrupa2012の開催年です
2012/02

昨年はプリントメディア業界における、世界4大展示会とされるIGAS2011が日本で開催されましたが、今年はいよいよ業界最大の展示会であるdrupa2012が5月3日から16日までの2週間、ドイツのデュッセルドルフで開催されます。

前回のdrupa2008は1,971社の出展規模で来場者数が39万人でしたが、今回も同規模での開催が予想されているそうです。

このコラムのバックナンバーNo.22とNo.26に過去のレポートが掲載されていますが、内容を少しだけ振り返ってみましょう。

1995年のdrupaは「CTP-drupa」と呼ばれ、2000年は「デジタル-drupa」、2004年は「JDF-drupa」、そして前回の2008年は「インクジェット-drupa」と呼ばれました。さて、今回のdrupaはどんな内容になるのでしょうか?今から本当に楽しみにしています。一部の情報では「エレクトロニクス印刷」や「高機能印刷」と言われていますが、いずれにせよ来場者にとっては新たな発見が満載の展示会になることは間違いないでしょう。

ロハスプリントもこのような海外展示会の場で、最先端の印刷資材やユニークな製品を発掘して、日本の印刷会社様にご紹介してきました。今回も同様に訪問しますが、近い将来はロハスオリジナル製品を引っさげて出展する夢も抱いています。

ところで、日本で初めて湿し水原液(H液)を開発市販したのがロハスプリント(旧SK液製造)だって知っていますか?

なぬっ!知らない?お主、印刷業界のモグリじゃな!

そうなんですよ!実は弊社が今から約半世紀前の1961年に、日本で初めて湿し水原液(H液)を開発市販したという歴史を持っているのです。そんな長い歴史を持つ弊社ですが、今後も時代にマッチした、新しい印刷資材をどんどん提供出来るよう、努力をしていきたいと思います!

話が少しずれてしまいましたが、今回のdrupaはプリントメディア産業にとって、新たな起爆剤になると言われております。SNSの浸透などコミュニケーションの有り方が劇的に変化する中で、プリントメディアの成長の方向性を確認させる絶好のチャンスです。我々も皆様に新たな情報が提供出来るように致しますので、6月のコラムを今から楽しみにお待ち下さい!

筆者:
 
No.070 ロハスプリント イヤーブック 2011-2012
2012/01

皆様、明けましておめでとう御座います。

時の流れは早いもので、2007年にスタートしたこのコラムも5年目に突入となりました。コラムを書くスタッフも毎年少しづつ増えて、現在では10名になっております。今年も印刷業界の生の声を発信していこうと、スタッフ一同、張り切っております。ご愛読の程、宜しくお願い致します!

さて、今年初のコラムですが、昨年に引き続き 『 ロハスプリント イヤーブック 2011-2012』として当社の昨年の動きと今年の動きを皆様にご報告する場とさせて頂こうと思います。

先ずは、昨年の2011年の動きから。

@国内市場
国内市場では1月に福岡に九州支店を設立し、営業副部長である阿世賀が常駐し、九州のお客様のフォローを開始致しました。これで当社の国内営業拠点は、東京、名古屋、大阪、福岡の4か所となり、より多くの印刷会社様とのお付き合いが出来るようになりました。今年もロハスプリントのユニークなサービスをより多くのお客様にお届け出来るよう、活動していきたいと思います。宜しくお願い致します。

A海外市場
中国市場では、大連支社の売上が大幅に伸び、成長市場でのビジネスの可能性を感じさせてくれた1年となりました。また、秋にはアジアミックス・リミテッドというグループ会社を香港に設立し、現在進行中の東アジア展開と、将来の東南アジア展開、更には印刷以外の新たなビジネスの拠点として、活動をスタート致しました!

B新製品
昨年は一昨年に引き続き、当社開発の湿し水「ロハス1」や、給水ローラー洗浄剤「ウェットウオッシュNeo/Eco」が大きく売上を伸ばした1年となりました。

CIGAS2011への出展
秋には4年に1度の世界4大印刷展示会であるIGAS2011に出展し、国内外の多くのお客様から案件を頂きました。この新しい出会いを大切に、今後のビジネスを構築していきたいと思います。

そして、今年の動きは以下の通りとなります。

@国内市場
当社の東京、名古屋、大阪、福岡の営業拠点を中心に、より多くの全国のお客様への販売を目指すと同時に、機会があれば、新たな拠点も検討する1年となります。また、秋には新しい製品カタログのリリースを予定しております。

A海外市場
まだまだ伸ばせる中国市場、韓国市場、そして昨年支店を作れなかった台湾市場。それに、香港を拠点とした東南アジア市場を睨みつつ、前進する1年となります。

B新製品
昨年に引き続き、湿し水関連の新製品や、洗浄剤の新製品を開発&リリースしていく予定でおります。印刷会社様により使いやすい製品開発を心がけ、前進する1年にしたいと思います!

C新ビジネス
香港のグループ会社アジアミックス・リミテッド発の新規ビジネスで、グループ全体に弾みをつける1年となります。

D企業文化
ロハスプリントは今期から、企業文化を「見聞カンパニー」として、社員全員で当社のコアにある「見聞を広め、人生の目標を設定し、ワークライフバランスを整え、一度きりの人生を謳歌する」というDNAを実践するために、様々な活動を開始する1年となります。活動の詳細は、ホームページ上の「ロハスプリント見聞カンパニー」で随時ご報告致します!

最後に、今期から取締役に就任した、中村と、昨年入社した新入社員をご紹介いたします。当社はスタッフ全員をニックネームで呼び合っておりますので、今回もニックネームでご紹介致します。

 

筆者:
 
No.069 「 オフセット VS デジタル その2 」
2011/12

前回(2011年3月)のコラムにて、デジタル印刷機の普及率が急速に拡大しているという話を書きました。今回はデジタル印刷・オフセット印刷の長短所を比較しながら、オフセット印刷の生き残りを探っていきたいと思います。

デジタル印刷のメリット/デメリットを大まかに挙げるとすると、以下にようになると思います。

デジタル印刷は、フィルムやCTP製版等の中間工程を省き、データからダイレクトで印刷作業に進めます。その結果、中間コストの削減に繋がり、納期も大幅に短縮可能です。その反面、印刷そのもののスピードはまだまだ遅く、A3カラー印刷の場合ですと、毎時2000〜3000部というのが一般的なところでしょうか。オフセット印刷では、サイズが更に大きくなっても毎時1万部以上が印刷可能ですので、単純な印刷スピードではまだまだ大きな開きがあります。デジタル印刷では1万部を超えるようなロングラン印刷は不向きと言えるでしょう。
印刷品質に関しては、賛否あるところですが、これはまた後ほど述べさせていただきます。

続いて、オフセット印刷のメリット/デメリットです。単純にデジタルとは間逆と捉えて良いかと思います。


オフセット印刷の場合、データの受け渡し後に製版作業があります。CTP化に伴い、以前のフィルム製版よりは大きく時間短縮が可能となりましたが、それでもWeb to Print が可能なデジタル印刷とは差があります。また、製版費用・版の代金等が発生するので、デジタルと比較した場合はどうしてもコスト高になります。
印刷には版を使用するので、印刷作業前の準備時間(版交換等)も発生します。データからダイレクトに印刷へ取り掛かれるデジタルと比較すると、トータルの作業時間はどうしても多くなります。ただし、一旦印刷を開始してしまえば、毎時1万部以上の高速印刷が可能ですので(オフ輪の場合は3万部以上)、大ロット印刷の場合は、オフセット印刷の方が短納期可能になるケースもあります。

 

さて、先程、印刷品質の優劣には賛否あると書きました。ひと昔前はデジタルの品質面はオフセットに到底及ばないという考え方が一般的でした。しかし、デジタル印刷も年々進化を遂げ、今ではオフセットに肩を並べたと言う人もいます。実際にはどうでしょうか?

 

そこで、デジタルとオフセットの両方を所有する印刷会社の方に率直な意見を聞いたみたところ、まだまだオフセットに分があるという意見が圧倒的に多かったです。確かにデジタル印刷の品質は猛スピードで進化し、一旦はオフセットに追いつきそうな勢いではあったようです。ただしそれはフィルム製版時代のオフセットと比較した場合の話で、CTPの登場・進化により、また差が開いたという現象があるようです。

 

オフセット印刷では近年、CTPの普及により、見当精度が上がり、200線を越すような高細線印刷も可能になりました。更にはFMスクリーンという従来とは異なるアミ点パターンも導入され、特に写真表現において、より高精細な再現を実現しています。このような高品質オフセット印刷と比較した場合、デジタルはまだ及ばないというのは、自分も同意見です。そういったことから、デジタル印刷機をオフセット印刷の代替にするという考え方は、日本ではまだまだ少ないのではないかと思われます。Fuji XeroxやHPから印刷会社仕様の優れたオンデマンド機も登場していますが、印刷会社としては、あくまでもオフセットの補助という位置付けの方が強いように思えます。

 

ところで、現場目線で両者を比較した場合に、決定的に違う点があります。

 

それは「印刷作業中、横に技術者が付くか付かないか」という違いです。

 

デジタルでは、データを送り込んだ後は、基本的に自動で印刷作業が進みます。勿論、多少の調整等は必要ですが、ほとんどは自動で印刷が進み、データを入力するところまでが人間の大きな役割になります。

 

一方、オフセットは、印刷を進行させながら人間が手を加えていきます。何となく色味がぼやけていれば墨濃度を上げてメリハリをつけたり、インキツボの中でインキを練りながら特色を調整したり、校正紙よりも良い仕上がりに持っていきクライアントに喜ばれる・・ということだってあり得ます。それは印刷現場の人間の経験やセンスが物を言う世界で、オフセット印刷最大の特徴と言って良いかもしれません。

 

もっとも、デジタル印刷機とオフセット印刷機では、そもそもの設計思想が違うので、どちらが優れている・優れていないということではありません。「人員(コスト)の削減を目指すデジタル」「品質を徹底的に追求するオフセット」という違いはあれ、ともにクライアントの要望に応えようとした結果であることに変わりはありません。
ただ、オフセット印刷の将来を見据えた場合、先に述べたような人間の技術、経験、センスといったことが、今後もオフセット印刷の土台を力強く支えていくだろうと自分は思っています。

日本の印刷技術は世界に誇れるものです。世界一であると言っても過言ではありません。そこに至ったのは、印刷設備の進歩とともに、現場の人間達が切磋琢磨し印刷技術の向上に努めた歴史があるからこそです。
不況の波が押し寄せ、印刷業界の未来にも暗雲が立ち込めています。しかし、そんな時だからこそ、これまで培って来た自分達の技術力に自信を持って欲しいと思います。それは世界にも誇れる技術力なのです。そして、それに満足することなく、更なる技術向上を目指していければ、日本の印刷業界もまだまだ道は開けるのではないかと期待しています。

筆者:
 
No.068 「 IGAS2011レポート 」
2011/11

IGAS2011(International Graphic Arts Show)は9月16日(金)から9月21日(水)まで東京ビッグサイトで開催されました。 テーマは「Print your Future!」〜 印刷は環境と共に進化する 〜。まさにロハスプリントにピッタリなテーマで行われました。

今回のIGAS2011は東日本大震災の影響もあり出展者数327社(海外32社)、小間数2,740小間と前回の約60%の規模での開催となりました。しかし、6日間で73,554人もの来場があり、そのうち海外からは5,825人の方が来場されました。特に会期最終日は台風15号の襲来にも関わらず、6,000以上の方がご来場されました。

また今回の開催は節電への対応として常電力使用量の15%削減を目標に取り組み行われました。

共用部では

  • 共用部分の天井灯の一部、消灯。
  • 共用部の空調は、設営時及び撤去時はオフにし、開催期間中は28℃設定。
  • 動く歩道の停止。
  • エスカレーターの一部停止。

展示会場内では

  • 展示会場内の天井灯は、設営時及び撤去時は50%程度、開催期間中は75%の稼働。
  • 展示会場内の空調は、設営時及び撤去時はオフにし、開催期間中は通常通り稼働。
  • 主催者展示については、消費電力の低い器具を使用するなどの節電のお願い。


この他に出展社に対して、服装はクールビズの励行にご協力お願いという項目がありました。ロハスプリントでは開催期間中、スーツにネクタイというドレスコードを卒業し全社員3色の(白・黒・ピンクを日替わりで)ポロシャッツでお客様を迎えました。正直、会場は快適よりやや暑い感じで「あーぁポロシャッツで良かった」と心の中で思い、ロハスプリントオリジナルうちわを配布し、節電に協力できているという達成感がありました。

ロハスプリントブースでは各営業がiPad2を持ち、製品情報を提供し、アンケート入力、ウェルカムドリンクの注文をiPad2だけで行い、まさにIGAS2011のテーマ「Print your Future!」〜 印刷は環境と共に進化する 〜 にピッタリの近未来を予感するデジタルとの融合を実現しました。なかでも製品動画は好評を頂きました。

IGAS2011にご来場、またロハスプリントブースに立ち寄って頂いた皆様本当にありがとうございました。またIGAS2011にご来場できなかった、またはご来場されロハスプリントブース立ち寄れなかった皆様も全国のロハスプリント営業マンがIGAS2011ロハスプリントブース・ダイジェストをデジタル動画などを屈指しご説明いたしますのでお気軽にお問い合わせください。

筆者:
赤澤賢一
 
No.067 「 シノハラユーザーの皆さまへ 」
2011/10

1919年に創業し、名機フジ8や国産初の反転機構付きフジ65IIPなど、数々の印刷機を世に送り出してきた株式会社シノハラ。今年に入って民事再生法の適用を申請し経営再建を目指してきたが、中国のスポンサーと破談、破産手続きが開始された。

長年国内の小型オフセット印刷を支え続けてきた同社の倒産は、業界全体にとっても大変ショッキングな出来事だった。

一時的にサービス対応とパーツの供給がストップしてしまったので、シノハラ機を所有している印刷会社様の不安は大きいことと思うが、8月にはそれらに対応した新会社「シノハラテクノサービス」が立ち上がり、サポートの体制は徐々に回復しつつある。

筆者はこれまで、同社のモルトン給水式菊四裁機や連続給水式B半裁機を使用してきた。国内で唯一自社鋳造工場を持っていたシノハラの機械の特長を一言で言えば、「質実剛健」である。 目を見張るような先進機能は付かないが、とにかく頑丈で扱いやすいというイメージだ。ここでは、そんなシノハラの印刷機を、なるべくトラブルを起こさずに長く使い続けるためのTipsを少しではあるが紹介したいと思う。

周知の様に、給水装置はオフセット印刷の品質を決める重要な要素のひとつである。 「必要最小限の水を版面に安定して供給する」連続給水機構として、アルカラーやコモリマチックなどと比べると、いささかシンプルなシノハラマチックであるが、適切な湿し水の管理と、定期的なメンテナンスをすることで、ノンアルコール印刷、高精細印刷にも十分対応できる。

シンプルであるがゆえに、少しの工夫で随分と刷りやすくもなる。例えば、作業の初めには、給水ライダーローラーでインキ着けローラーと水着けローラーをブリッジさせ、少量のインキを給水ローラーにも巻くと、一日の水上がりが安定する。特に冬場、極小絵柄を印刷する際には有効だが、インキを過乳化させないように資材を選定する必要がある。

また、ローラー圧をニップ幅で見るのは印刷機メンテナンスの基本だが、第1インキ着けローラーと振りローラーとのニップを、第2インキ着けローラーよりも少し細くするのも意外と効果的。浮き汚れで悩んでいるPMCの皆さんは、第4着けローラーの圧を弱くすると同時に、振りローラーとのニップも再調整してみると良い結果が得られる可能性がある。

自分は銀塩版で油性カラー印刷を印刷することが多かったが、最新のプロセスインキに、弊社ロハス1を組み合わせることで、完全なノンアルコール環境を実現出来ていた。
IPA無添加ならローラー硬度も安定し、PMCもストレスなく印刷できる。機械の寿命を延ばすことにも繋がるので、ぜひチャレンジしてみて欲しい。

ロハスプリントでは、シノハラ印刷機専用のパーツカタログを用意。また、ローラー交換や印刷トラブル対策などの技術サポートを受け付けています。

小型オフセットから多色機まで、幅広く決め細やかな対応を目指しておりますので、ぜひ1度ご相談下さい!

筆者:
 
No.066 「 盛り上げよう!IGAS2011 」
2011/09

いよいよ、今月16日から6日間東京ビックサイトにおいてIGAS2011が開催されます。4年に1度開催されるIGASは、日本最大の印刷機材展というだけでなく、drupa(ドイツ)・print(アメリカ)・IPEX(イギリス)に並ぶ世界4大印刷機材展です。

新機種などの発表はこれらの展示会で大々的に行われることが多いので、出展企業にとっては自社製品のPRに一番力を注ぐ場であり、来場者にとっては最新の技術を学ぶ場となります。印刷に興味がある者にとっては、まさにお祭りと言えるイベントでしょう。

しかし、今回のIGASの前評判は決して高いものではありません。その理由は、景気の悪化・印刷業界の低迷・オフセット印刷技術の頭打ちなどに加え、3月に起きた東日本大震災による影響で、前回の2007年のIGASに比べて出展企業が半数近くに減っており、IGASの華である印刷機械メーカーが出展を控える傾向にあるからと考えられます。

また、前回のIGASでの総入場者数が13万164人でしたが、その内の1割は海外からの来場者でした。今年は福島第一原発の問題により、海外からの来場者は大幅に減少すると予測され、国際展示会としての存在意義にも不安が感じられます。

しかし、このような向かい風の状況でも、IGASを盛り上げていくことが、日本の印刷業界に携わる者の使命ではないでしょうか?

展示会を盛り上げる為には、1人でも多くの方に来場して頂くこと、出展企業は来場された方に有益な情報を提供し、満足して帰ってもらうことだと思います。過去に行われたIGASのデータでは、出展社数のピークは90年代で600社を超えており、その時の来場者は20万人前後でした。80年代以前になると出展社の数は200社〜300社と、90年代の半分以下なのにも関わらず、20万人近くの来場者がありました。有益な情報さえ提供出来れば、出展規模に関わらず、多くの来場者が訪れるということです。

ちなみに、今回のIGAS2011の出展社数は6月時点で、305社となっております。今年はどれだけの方に足を運んでもらえるのでしょうか?

我々ロハスプリントとしても、来場して下さった方に満足して頂けるような情報と企画を準備して皆様のご来場をお待ちしております。IGASに行くか行かないかで悩んでいる方も、是非ビックサイトに足を運んでいただき、ロハスプリントのブースに遊びに来て下さい。

「来て良かった」と思って頂けるように精一杯努めます!!

筆者:
 
No.065 「注目されているハイブリッドUV」
2011/08

今回のコラムは、現在注目されている小森ハイブリッドUVシステムについて書きたいと思います。

そもそも一般的なオフセット印刷での乾燥方式はどんな種類があるのでしょうか。

  1. 酸化重合による自然乾燥
  2. 紫外線ランプによるUV乾燥
  3. 赤外線ランプによるIR乾燥(水性ニス)
  4. ガスバーナーによる熱乾燥(輪転機)

この4つが従来の主な乾燥方式ですが、新たな乾燥システムとしてLEDランプによるLED-UVシステムが、パナソニック電工とリョービで発表されて数年が経過しています。発表当初は非常に注目を浴びましたが、イニシャルコストが非常に高価という理由で、飛躍的な販売の伸びには至っていないのが現状ではないでしょうか。

その後に登場したのが2009年のJGASで発表された、小森ハイブリッドUVシステムです。後に三菱重工からもエコUVと言う名称で発表されましたが、基本的な乾燥システムは同じと考えて良いでしょう。

まずは、最大の特徴であるUVランプの波長について説明しましょう。従来のUVランプの波長域は200〜600nmとなっていますが、今回のハイブリッドUV用のランプ波長は、オゾンを発生させる短い波長及び、熱を発生させる長い波長部分をカットしたのが最大の特徴で、結果的に排気ダクトが不要となっています。

波長域をカットしてインキが乾くの?と思われますが、350〜365nmで反応する光重合開始剤を使用するため問題有りません。

さて、一般的に言われているハイブリッドUVシステムのメリットとデメリットは以下の通りとなります。

【メリット】

  1. 油性機と比べると導入コストは上がりますが、上記の通り、ダクト工事が不要で、ランプの量も従来の4灯から1灯で乾燥を可能としているので、従来のUVシステムより導入コストを抑えつつ、速乾印刷が可能となります。
  2. 従来のUV印刷の課題であった、印刷品質の仕上がりですが、油性印刷と遜色が無い仕上がりを実現しています。
  3. 発熱を抑えた設計となっているため、原反(用紙やフィルム等)に与える影響が少なく、伸縮によるトラブルを回避出来ます。
  4. 当然、従来の油性印刷と比べて、ノンスプレーや棒積みが可能となり、品質管理面やオペレーターの作業負担軽減に繋がります。

【デメリット】

  1. 高感度インキを使用するため、ランンングコストが上昇します。
  2. 副資材の選定が難しい上、資材代が上がる傾向にあります。
  3. 除々に解消していると聞いているものの、まだまだ特色のバリエーションが少ないのが現状です。
  4. 油性機と比較すると、オペレーションが難しいです。特に湿し水の管理は重要です。

発売開始以来、約80台の販売実績と60台以上の稼動実績が有るようですが、その殆どが初めてUV印刷機を導入する印刷会社様のようです。現在、印刷単価が下落している状況下で、このような高価な機械を導入する背景には、高品質・短納期・小ロット化が更に望まれ、従来の印刷機では難しかった事が可能となった事が大きいのでしょうか。

タイミング的にも、先にLED-UVが発表され、速乾印刷が注目されたタイミングで、LED-UVのデメリットを解消できた事が今日、販売台数を伸ばす要因になっているのだと思います。

最後に、小森ハイブリッドUV機を導入して、初めてUV印刷に取り組む印刷会社様も多いようですが、正直、導入時には色々な問題点が発生して戸惑う事もあろうかと思います。そのような時は、是非ロハスプリントの営業スタッフに相談なさって下さい。必ずお役に立つご提案をさせて頂きます!

筆者:
 
No.064 「時代は流れる」
2011/07

インターネットが発明されたのは1995年。その後世界に急激な変化が訪れた。1995年の最速のコミュニケーションツールはファックスだったが、それがEメールによって取って代われて、今ではスカイプ、ツイッター、フェイスブックで全世界の人達と無料で繋がる世の中になった。昔の海外出張ではホテルから高い通話料を払って国際電話をかけたり、コレクトコールをかけたりしたものだったが、今ではホテルの部屋にはWiFiが完備されており、スカイプで無料通話が出来てしまう。

アップルのiPhoneを使って数年が経つが、これ一台でネットは出来るわ、skypeは出来るわ、ツイッター、フェイスブック、ニュースと何でも出来てしまうので、自分は一日中iPhoneを握りしめている生活を送っている。

昨年の夏から、電子出版を始めた。「住んでみた」という世界の幸福度ランキングの高い国に、実際に住んでみて日本との違いを調べ、日本人の幸福度がなぜ低いのかを見える化するという企画だが、先日その取材で幸福度ランキング世界3位のノルウェーを訪れていた。ある日、ノルウェーで有名なリーセフィヨルドにあるプレイスケトーレンという600mの断崖絶壁を登りに行ったが、その頂上でiPhoneを起動させてみると、3Gで東京の会社のグループウェアに入り込んで、仕事をする事が出来た。

凄い世の中になったものだ。

アップルの宣伝乙になってしまうが、数ヶ月前に、MacBook Airを購入した。軽さ、薄さに驚く以上に、このPCはフラッシュメモリを使っているので、ラップトップを開くだけで、瞬時にコンピューターが起動する。ウィンドウズ系のコンピューターでは、起動時間は2分はかかるだろう。それを毎日会社で1回、家で1回起動させていると、1日4分はPCの起動を待っている計算となる。しかし、MacBook Airを使うと、その4分の時間が削減出来る。毎日4分 x 365日=年間1460分。時間にすると24.33時間である。MacBook Airを使うと、年間1日分の時間を得する事になる。素晴らしい発明だと思う。

このように、時代は進化を続けている。情報は無料になり、新聞やテレビニュースも必要とされない時代が訪れている。我々印刷業界に身を置く者達は、このインターネットの時代に身を投じ、自らを変化させ、新しいビジネスを創造していく必要がある。

ノルウェーからの帰りの飛行機。フィンランドエアーのスチュワーデスさんは金髪で青い目で笑顔を絶やさないとても可愛い子だった。搭乗する各国の男性客は、「おおっ可愛い!」とその子とすれ違う時に、2度見、3度見、中には4度見までする人がいて、「我ら男性は万国共通で単純だなー」とニタニタしてしまった。

そんなスチュワーデスさんに、「機内の映画情報が載っている雑誌がないけど?」と聞くと、「もうタッチパネルのモニターで映画がリストアップされるので、印刷をするのはやめたのです」と言われた。「ああ、こんな時代になったのだな」としみじみと感じた。

時代は流れる。技術は進化する。印刷はデジタルに取って代われる。国の国境はなくなっていく。

さて、時代に乗って会社をどう変化させ、成長させようか?どんなビジネスをやろうか?

こんな事を考える毎日である。

筆者:
 
No.063 「有機則」について
2011/06

以前のコラムで、弊社研究開発部の小林からPRTRについての紹介( ※No.010 「PRTR」について )したことがありますが、印刷業界に関わる法規制にはPRTR以外にも様々な法律があります。その中でも基本と言っても過言ではない労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則を今回のコラムで取り上げたいと思います。各印刷会社様、資材を販売している会社様には新人の方々が多数入社されていると思います。本コラムが少しでも教育の一環としてお役立て出来れば幸いです。

有機溶剤は化学物質をよく溶かす性質を持っており、塗装、洗浄等の作業に広く使用されていますが、揮発しやすく、脂肪を溶かす側面を持ち、呼吸器や皮膚から人体に吸収されてしまいます。体内に吸収された有機溶剤は中枢神経等に作用して、急性中毒や慢性中毒等の健康障害を発生させる可能性があることから、印刷現場では製品(有機溶剤)の取り扱いには充分注意する必要があります。急性中毒であれば、直ぐに気づきますが、慢性的な中毒は、10年後、20年後に体に支障をきたす恐れがあるので、しっかりと注意をしたいところです。

早速ですが、有機溶剤中毒予防規則(以下有機則という)の最低限抑えておきたい部分を紹介したいと思います。

有機則で指定されている物質は54種類あります。この54種類は第一種有機溶剤、第二種有機溶剤、第三種有機溶剤に区分され、毒性が強い順に第一種、第二種、第三種と分類されています。我々の印刷業界(特にオフセット印刷業)で見かける溶剤を例に取ると、

  • 第一種有機溶剤 : トリクロルエチレン
  • 第二種有機溶剤 : イソプロピルアルコール(IPA)、テトラクロルエチレン(パークロルエチレン)
  • 第三種有機溶剤 : ガソリン、洗い油

等が使われています。

 

有機溶剤を使用するにあたり、設備面にも気をつかう必要があります。第五条で規定されている通り、第一種有機溶剤・第二種有機溶剤等に関わる有機溶剤業務に労働者を従事させるときには、有機溶剤の揮発を防ぐ設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設ける必要があります。弊社では発散源を密閉する設備として、有機溶剤を入れる密閉容器「ジャストライト・プランジャー缶」「ジャストライト・セイフティー缶」、有機溶剤を使用後のウエス専用密閉容器「ジャストライト・ウエス缶」を提供しています。

有機則の第二十五条においては、有機溶剤等の区分を作業中の労働者が容易に知ることが出来るよう、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示することが定められています。また、色分けによる表示は、有機溶剤等の区分に応じ、当該各号に定める色によらなければならない、とされています。

1. 第一種有機溶剤 赤
2. 第二種有機溶剤 黄
3. 第三種有機溶剤 青

この色分けをすると、作業者の意識も高まりますので、是非実行なさってください。

 

最後に健康診断についても触れたいと思います。有機則は第一種有機溶剤、第二種有機溶剤を使用する作業者に対して、半年に1度、指定項目について医師による健康診断を行わなければならないというルールですが、 印刷会社様へ訪問すると、まだまだ第二種有機溶剤を使用している現場も多く見かけます。印刷現場のコストダウンを考えると、単に資材のコストダウンだけではなく、現場の有機溶剤を第三種有機溶剤もしくは非該当の製品にして、作業者の健康診断のコストを抑えるという方法もありますので、是非参考になさってください。

ロハスプリントでは、環境対策製品を多数取り揃え、個々の製品にあった使用方法などを印刷現場で、直接PMCの方々にデモンストレーションをして説明する活動をしております。作業効率を低下せずに、環境対策溶剤を導入したい印刷会社様がありましたら、ぜひお気軽に弊社スタッフにご相談ください。

筆者:
 
No.062 ブランケットとゴムローラーの膨潤と収縮について
2011/05

「次のような経験はありますでしょうか。

ブランケットが絵柄の部分だけ膨れた。新しいゴムローラーのニップを4mmに設定した筈なのに2mmに減っていた。印刷機が温まると調子が良くなってくる。

これらはブランケットやゴムローラーなどが太ったり痩せたりすることによって起こる現象です。※これから太ることを膨潤、痩せることを収縮と呼びます。

ゴム製品の膨潤や収縮の原因には次のようなことが考えられます。
1. 熱によるもの:温まると膨潤し冷えると収縮します。
2. 溶剤やインキの成分が浸透:ゴムの中に浸透するのでその分膨潤します。
3. ゴムの中の成分が抽出:ゴムの成分が抜けるので収縮します。
4. 物理的な力:紙のエッジ部分によるブランの段差、紙を2枚突っ込んだ時の衝撃による凹みなどです。

今回は上記の2と3に注目することにします。

ゴムの中にある物質が出たり入ったりして膨潤や収縮する原因の1つに次のことが挙げられます。
一般的に使われるゴムローラーはNBRが多く油性印刷に向いていますがUV印刷をするとインキの成分が浸透して膨潤し洗浄に時間がかかるなどの問題が生じます。またUV印刷でよく使われているゴムは樹脂と呼ばれているもので、ブランケットもインキローラーもEPDMという材質が一般的(一部日本ではウレタンという材質が使われている)です。UVインキに対して膨潤や収縮が少なく、ニップ幅や印圧が一定のため印刷品質が安定します。さらに浸透が少ないので色替えが速いというメリットもあります。デメリットは油に対して膨潤するので油性インキや強い洗油に弱いことです。また、原料がNBRに比べて高価なので単純にイニシャルだけを見るとコストアップになります。

「インキの成分が浸透して膨潤」や「UVインキに対して膨潤しません」という言葉が出てきました。これには極性というものが大きく関わっています。極性とは簡単に言うと分子の偏りです。極性はものが混ざり合うことを考える上でとても重要です。極性の数値が似ているもの同士は混ざり合い膨潤し、その成分が抜けると収縮します。全く違う数値だと反発するので混ざり合うことがなく膨潤や収縮が少なくなります。

極性の数値が大きいものにはNBR、UVインキ、ケトン、エーテル、エステルなどがあり、
極性の数値が小さいものにはEPDM、油性インキ、石油系溶剤などがあります。また、ゴムの特徴としてゴムには可塑剤(かそざい)というものが入っています。簡単に言うと油のようなものですがこの可塑剤(油)が多く入っていると軟らかいゴム、少ないと硬いゴムになります。

膨潤と収縮を「極性が似ているもの同士は混ざり合う」という例を使って説明します。極性が大きいNBRに同じく極性の大きいUVインキは混ざるので膨潤します。そこに極性の大きい溶剤で洗浄すると溶けこみさらに膨潤します。その溶剤が揮発などによりNBRから抜ける時に染み込んだUVインキだけを洗い落としてくれれば良いのですがNBRを軟らかくするための可塑剤(油)までも抜けてしまうので細くなってしまいます。使い古したゴムローラーを思い出して下さい。新品の時よりも細く硬くなっている筈です。それはゴムを軟らかくするための可塑剤(油)が抜かれて硬くなりその分体積も小さくなったためです。

可塑剤を抜かれないようにするためには極性の数値の差が大きくなるように組み合わせる必要があります。あの溶剤とは相性が良いとか悪いと先輩方が言われていたのはこういうことだったのですね!

往々にして溶剤メーカーは「価格」「洗浄効果」「環境対応」をメインに設計しゴムの膨潤と収縮に関しては二の次になることが多いのでゴムメーカーはいつも泣かされています。

ゴムメーカーも溶剤メーカーもお互い情報交換をしながら設計し印刷機を回されるPMCが困らない商品作りをして欲しいものですね。とは言ってもゴムや溶剤の配合はその企業にとって生命線とも言える大切なもの。企業秘密の壁が大きく立ちはばかります。

当社には経験豊かな技術スタッフが多く在籍しております。お気軽にご相談下さい。最適な組み合わせをご提案いたします!

最後になりましたが東北地方太平洋沖地震で被災された方に心よりお見舞い申し上げます。
直接被災された印刷会社様はもとより未曾有の災害により企業のキャンペーンの自粛や中止のため印刷受注量が減少し被災されていない印刷会社様にも深刻なダメージがあります。当社に出来ることは印刷工場でのコストダウンや不良率の低下、品質向上の一助になれるようにスタッフ全員でお客様の下支えとなり頑張ることです。私自身東北地方の担当営業を10年程させて頂き東北の方からは多くのことを学び育てて頂きました。少しでも恩返しをさせて頂きたい思いでおります。

筆者:
 
No.061 湿し水とインキの乳化について
2011/04

「過乳化」「適正乳化」という言葉をよく耳にしますが、これは印刷業界特有の表現で、印刷以外の化学業界では使いません。この「過乳化」「適正乳化」とはどのような状態なのでしょうか?まずは乳化という状態について説明したいと思います。

乳化という状態は一般的に「水と油のように互いに混ざり合わない液体の一方を微粒子にして他方に分散させること」とされています。例えば、コップにサラダ油を入れ、水を垂らしながら、ハンドミキサーで攪拌すると白濁しますが、これが乳化状態です。放っておくと水が浮いてきて、最終的には水と油は2層分離しますが、これは油と水の界面(互いが接している面)の面積をなるべく小さくしようとする働きが作用する為です。油に微粒子で分散している水と油の界面の面積より、2層の方が界面の面積は小さくなります。

印刷の場合、版面上もしくはインキローラーのニップを通過する時の機械的手法(せん断力とズリ応力)によりインキ中に水(湿し水)が分散する型をとりますが、機械的手法だけでは、インキの粘度・温度条件によってはなかなか均質に分散しなかったりします。前記のコップにサラダ油の場合は水と一緒の石鹸を少量加えると、分散した状態で安定して分離しなかったり、分離する時間を遅らせたりしますが、この石鹸のように水と油を繋ぎとめる物質を界面活性剤といいます。この界面活性剤は、印刷中にインキの中に取り込まれる水の粒子を安定させる為に湿し水に配合されます。ただ安定して分離しない状態では版面で水は非画線部、インキは画線部に別れなくなってしまいますので、配合される界面活性剤にはインキと水を繋ぎとめ、すぐに分離するような弱い繋ぎ手をもつもので、使用インキ(油性・UV・ハイブリッド)が溶解しないものが選択されます。界面活性剤の選択及び、湿し水原液への配合量については湿し水メーカーのノウハウですが、湿し水原液の希釈濃度をどのように設定するか、給水ローラー上での水揚がり量、特にローラー表面の均一性を維持できるか(これは湿し水の性能の一つですが、不均一の場合、版面・インキローラー上でインキと水が部分的に乳化する個所が出来てしまいます。)など運転時の界面活性剤の量=湿し水の量のコントロールも重要です。

「過乳化」とは、全体的、又は部分的に湿し水の選択や使用量によってインキと湿し水が乳化して、分離しないで安定してしまっている状態が存在する(→乳化トラブル)という事を示し、「適正乳化」とは、印刷中にインキが湿し水を取り込み、乳化、分離していくプロセスが安定して、インキおよび湿し水の版面へ供給量と紙へのインキ転移量のバランスが良い状態(→印刷品質の安定)、という事を示しています。

溶剤の一部には界面活性剤としての働きがあるものがあり、湿し水原液に配合される事もあります。IPAもその働きを有しています。(著者がデータをとった訳ではありませんがIPAは乳化したインキと水を分離させる作用が強いといわれています。乳化トラブル時にIPAを添加すると改善する傾向になるのもその為かもしれません。)界面活性剤については乳化促進剤、安定化剤として役割の他、湿し水の水揚がりのコントロール剤としても働いています。その説明については別の機会に述べたいと思います。

筆者:
 
No.060 『 オフセット VS デジタル 』
2011/03

今21世紀になり、印刷業界にもデジタル化の波が押し寄せています。まずはプリプレスのCTPから始まり、プレスの自動学習機能(色味の変化等を自動で補正する機能)が登場して、近年ではデジタル印刷機 (POD)が普及し始めています。今回のコラムでは、デジタル印刷機の普及について探っていきたいと思います。

まずは、デジタル印刷機はどの程度普及しているのでしょうか?産業分野別の市場調査を得意とする矢野経済研究所のレポートでは、2009年のデジタル印刷機の国内出荷台数は4,590台で前年比103.4%とあります。一方、オフセット印刷機の出荷台数については、OA機器・周辺機器等のマーケティング調査会社である株式会社データサプライのレポートで、2008年のオフセット印刷機出荷台数は約750台という報告があります。印刷機価格や機械寿命に違いがあるので、ひと括りでは比較出来ませんが、単純に台数の普及スピードだけを見れば、デジタル印刷機が圧倒しています。

同じデータサプライの2008年の情報では、印刷物の出荷金額は、オフセット印刷のシェアが95%で、デジタルが5%となっており、オフセットでの印刷がまだまだ圧倒的です。ただし、印刷物全体の出荷額は、バブル期までGDPに比例した伸びを見せていましたが、その後はGDPの成長率を大きく下回っている状況です。これはオフセット印刷の落ち込みが大きな要因となっているわけですが、そんな中でデジタル印刷物の出荷額は堅調に推移していますので、どちらに分があるかというのは判断が分かれるところだと思います。

デジタル印刷機の伸びが最も分かりやすいのが、IGASやDRUPAなどの展示会の状況です。いずれの展示会でも、デジタル印刷機の展示スペースは年々拡大傾向にあり、自分は一昨年、シカゴの印刷展示会 「Print」 を視察してきましたが、オフセットでは、多くの印刷機メーカーが機械機の展示を控える中、デジタル印刷機のブースは華やかで、展示会全体の半分近いスペースがデジタル印刷機で占められていました。実際に、集客力もデジタルの方が勝っているように見え、少なくともアメリカ市場では、オフセットからデジタルへのシフトが加速しているのは間違いないと感じました。

この展示会で、海外のデジタル印刷機メーカーの営業マンから興味深い話が聞けました。米国では印刷ジャンルに関わらす、5,000部以下の小ロット印刷は、ほぼデジタルに移行しているということです。(5,000部が小ロットなのかは判断しにくいのですが)。日本から見ると信じられない話ですが、パッケージや美術系の印刷物であっても5,000部以下はデジタル、それ以上はオフセットという仕分けの方法は、いかにもアメリカ人らしい合理主義だなと苦笑しました。自分が「日本ではまだ500部でもオフセットで印刷しますよ」と話すと、とても驚いた表情をしていたのが印象的でした。

とにかく、海外ではデジタル印刷機への移行が、日本よりも急スピードで進んでいるようです。この流れは国内にも波及するのでしょうか?勿論、その傾向に進むのは、現在の状況から言ってほぼ間違いないとは思われます。しかし自分は、米国のように何でもかんでもオンデマンドといった風にはならないとも確信しています。 何故なら、日本には、海外にはない高品質への追求と、それを可能にする職人魂があるからです。

次号では、デジタル印刷機の利点やウィークポイントを考察しながら、オフセット印刷生き残りの可能性を探っていきたいと思います。

筆者:
 
No.059 『 胴間でのコスレについて 』
2011/02

今回のコラムでは、印刷現場の慢性的な悩みである、胴間コスレについて書きたいと思います。

胴間コスレ(以下コスレ)とは、印刷用紙が送り胴を通過する際に、印刷絵柄が送り胴に接触することで発生します。送り胴が綺麗な状態であれば大きなコスレは発生しませんが、印刷をしていうちに送り胴にはインキが付着し、次第に乾燥していきます。その乾燥したインキこそがコスレの原因となるわけです。

印刷用紙は薄紙よりも厚紙、そしてマット系や上質系よりもコート系の方がコスレが起きやすく、インキの盛り量や色数(ユニット数)が増えれば増えるほどコスレに繋がります。機械の仕様では、倍胴よりもシングル胴の方がコスレやすい特徴があります。

このコスレがPMCを悩ませる理由は2つあります。

1つ目は発見の難しさで、コスレの起きた印刷物のほとんどは不良品になるので、印刷中は注意してチェックをする必要がありますが、コスレは徐々に発生しますので、程度の軽い内は見落としがちになり、コスレを発見した時には、過去を遡って再確認を行い、不良分を捨てる必要があります。また、送り胴が倍胴の機械ではコスレは2枚に1枚の周期で発生しますので、さらに発見が遅れる可能性があります。

2つ目の理由は、コスレの発生箇所が掴みにくいという点があります。例えば、4色機(KCMY)の印刷を行っている最中に墨の絵柄にコスレが起きた場合、4色機では送り胴が6胴ありますので、発生箇所を掴むには6胴すべてをチェックする必要があります。これはユニット数が増えれば増えるほど発生箇所の判定に時間が掛かります。余談ではありますが、僕もPMC時代に反転タイプの8色機を扱っていましたので、コスレには散々苦労させられた苦い思い出があります。

コスレの発生箇所

上記の理由から、コスレはPMCを悩ませる大きな原因となっています。現在、厚紙仕様の一部印刷機を除く大半の印刷機にはコスレ防止の対策品が送り胴に装着されています。この対策品には様々な種類があり、主に、ペーパー、フィルム、ネット(布)、ジャケット(機械メーカー純正)の4種類に分ける事が出来ます。これらの対策品の性能の違いを、コスレへの対応力、耐久性、コスト、日常的な手入れ、装着のし易さ、の視点から自分なりに採点を行ってみると、以下の通りになりました。

コスレ対策品比較表

結果を見ると、コスレへの対応力ではネットタイプが1番となりましたが、総合的に見ると自分はフィルムタイプが一番優れていると思います。

ロハスプリントでは、上記4種類すべてのコスレ対策品をラインナップとして用意しており、これまでにお客様の数々のコスレにまつわる問題を解決してきました。これからも、この豊富なラインアップと、培ってきたノウハウを活かして、コスレの問題を抱える印刷会社様、そしてPMCの皆様のお手伝いをして行きたいと思います。御社でコスレの問題がある場合は、お気軽にお声をかけて下さい!

筆者:
 
No.058 ロハスプリント イヤーブック 2010-2011
2011/01

皆様、明けましておめでとう御座います。

2007年にスタートしたこのコラムも4回目のお正月を迎えることになりました。今年も印刷業界の生の声を発信していこうと、スタッフ一同、張り切っております。ご愛読の程、宜しくお願い致します。

さて、今年初のコラムですが、 『 ロハスプリント イヤーブック 2010-2011 』 として当社の昨年の動きと今年の動きを皆様にご報告する場とさせて頂こうと思います。

さっそく、昨年の動きから。

@社名変更
昨年の1月にエスケー液製造株式会社という社名をロハスプリント株式会社に変更致しました。ロハスとはアメリカ発祥の言葉で 『Lifestyle Of Health And Sustainability=健全で持続可能なライフスタイル』 という意味を持ちます。このロハスという言葉と、プリント(印刷)という言葉を重ねることで、『健全で持続可能な印刷』 という意味を込めております。変更当初はこの名前よりも 「エスケーさん」 と呼ばれることが多かったですが、日を追うごとに 「ロハスさん」 と呼んで頂けるようになり、無事に新社名が定着して喜んでおります。有難うございました。

A中国大連に製造工場を設立
当社は埼玉県の東松山市に製造工場を保有しておりますが、より安い運営経費と今後のアジア展開の基点を持つという狙いで、中国の大連に製造工場を設立して、東松山工場で行っていた業務を移動致しました。中国は色々と規制があり、なかなか厄介ですが、1つ1つクリアーして、軌道に乗せつつあります。今後は大連で製造された製品もお客様の元にも届くようになると思います。日本品質を最低条件に日本人スタッフと中国人スタッフが協力して頑張っております。宜しくお願い致します。

B韓国支店の設立
現在当社はアジア展開を行っており、日本・中国・韓国・台湾・香港に拠点を持つ計画を進めております。昨年7月に韓国支店を無事設立して、日本、中国に続いて韓国での販売もスタート致しました。本社にも韓国人スタッフが入社し、韓国からの問い合わせにも迅速に対応しております。韓国でロハスプリント製品が必要となった場合は、お気軽にお問い合わせください。

C新製品
昨年は当社製品であるIPAを必要としない湿し水「SK-1」シリーズが大きく売上を伸ばした1年となりました。その他、コスレ防止のオレンジシリーズ、UVランプ等の新製品が全国のお客様からのご支持を頂きました。有難うございました。

D電子出版
電子出版元年となった昨年。当社もiPhone/iPadのブックアプリで、オリジナルの電子ブック, 旅する電子マガジン 『住んでみた』 を秋に出版致しました。11月には有料ブックアプリ部門で、国内トップ10に3週間もランクインされ、電子出版ビジネスの可能性を実感する事が出来ました。今年は 『住んでみた』 の続編を出版すると共に、その他の電子ブックも出版していき、電子出版業に本格参入致します。

そして今年の動きは以下の通りとなります。

@九州支店設立
1月から九州の福岡に支店を設立し、営業副部長である阿世賀が常駐し、九州のお客様のフォローを開始致します。これで当社の国内営業拠点は、東京、名古屋、大阪、福岡の4か所となりました。ロハスプリントのユニークなサービスをより多くのお客様にお届けする事を目標に、1つ1つの出会いを大切に活動して行きます。宜しくお願い致します。

A台湾支店の設立
韓国支店に続き、台湾支店の設立も目指して行きたいと思います。

BIGAS 2011
9月16日〜21日の6日間、東京ビックサイトで開催される、世界の4大展示会の1つであるIGASに出展し、最新製品の展示を行います。全国のお客様、PMCの皆様と直にお会いできる機会。スタッフ一同しっかりと準備をして臨みたいと思います。

Cロハスプリントカタログ
IGASに合わせて、新たなロハスカタログを作成致します。前回以上の製品数で、印刷資材を網羅するカタログになる予定です。より見やすいカタログ。より使いやすいカタログを目指して制作を進めます。

D中国新ビジネス
大連では印刷業以外の新ビジネスにも挑戦する1年となります。私は大連に拠点を移し、月の半分を日本、半分を中国で活動する1年となります。

最後に、昨年入社した新入社員をご紹介いたします。当社はスタッフ全員をニックネームで呼び合っておりますので、今回もニックネームでご紹介致します。

 


ロハスプリントスタッフ一同、今年もお客様に必要とされるサービスをご提供できるよう精一杯努力をして参ります。

今年もご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願い致します!

筆者:
 
No.057 『 変化 』
2010/12

印刷業界も着実に変化を遂げています。そこで今回は『変化』について書いてみようと思います。

世の中で一番古い印刷は、紀元前4000年頃のバビロニアの押圧印刷とされています。その後、現在の印刷原型とされている1445年頃のグーテンベルクの印刷技術革新は皆さんもご存知かと思います。

そのグーテンベルクの印刷技術革新から550年強が経過している今日、印刷機は勿論、用紙や印刷資材も様々な変化を遂げています。そんな歴史有る業界に携わる事が出来て嬉しく思いますが、最近思う事は、これだけ劇的に変化を遂げている印刷業界の中で、1番変化をしなければならないのは私たち人間ではないか?と言うことです。

どれだけ印刷技術や印刷資材が変化を遂げても、それを扱い印刷物として仕上げる私たちが変化をしなければ、業界自体が衰退してしまうのではないでしょうか?たとえ最新の印刷機と最新の印刷資材で印刷物を仕上げても、それに対して印刷現場が順応出来なければ最良の印刷物は作り上げられません。最近ある印刷会社で現場が著しく成長をしたのを垣間見ましたが、その変化は確かに最新の設備や最新の印刷資材の影響もありましたが、1番の要因は携わっている人たちの意識変化でした。

言葉で言うと簡単ですが、全員が同じ方向(目標)に向かって意識を変えるのは簡単では有りません。しかし現場のベクトルが合うと、素晴らしい結果をもたらします。

2010年も残すところ1ヶ月となりました、皆さん、今年1年間を振り返り、反省すべき所は反省し、良かった所は更に来年も進化させ、どんどん変化してみては如何でしょうか?
勿論、そんな事は解っていると思う方も多いでしょうが、変化に終わりは有りません。

来年も印刷業界の変化と共に私たち1人1人も大きな変化を遂げましょう!

筆者:
 
No.056 出版会社を始めましょう
2010/11

ご存知の通り、今年は春にアップルからiPadが発売され、「電子出版元年」とも、「グーテンベルグ以来最大の出版革命」とも呼ばれる年になりました。我々印刷業界もこのニュースを大きな危機感を持って受け入れ、大手印刷会社では一斉に電子出版への対応を開始しています。

出版印刷をメインとする印刷会社は、常々出版会社から雑誌や書籍の仕事を受注し、DTPから印刷を行っています。しかし、電子出版が増えてくると、DTPからそのまま電子書籍になってしまうので、印刷が中抜きされてしまいます。

これは印刷会社にとっては大きなダメージですが、逆に「印刷会社が電子出版ビジネスを開始してしまう」という発想の転換もありだと思います。

電子出版の時代の到来は、書籍や雑誌のDTPのノウハウを持つ印刷会社が、コンテンツさえ手に入れれば、そのまま電子出版をして、売上に繋げられる時代が到来したという事です。

「印刷業界はアウトプットビジネスからコンテンツビジネスへ」

こんな時代の転換期に我々印刷業界はあるのだと思います。

ロハスプリントも率先してこの時代の波を捉えて行こうと決め、夏前からプロジェクトをスタートさせて、今週から晴れてiPhone/iPadのアプリストアで販売が開始となりました。

題して

『 旅する電子マガジン 【住んでみた】 』

コンセプトは自分の長年の疑問点である 「経済大国である日本が何故世界の幸福度ランキングで落ち込んでしまうのか?」 の答えを見つける為に、幸福度ランキングの上位国に実際に住んでみるという単純明快な内容です。

今回の取材は7月に、スタッフの 「社長、何遊んでんだよー」 という無言のプレッシャーに対して、可能な限りの知らんぷりを決め込んで、2週間コペンハーゲンに滞在して、毎日デンマーク人にインタビューをしたり、企業を訪問したり、デンマークの仕組みをインターネットで悶々と調べたりして書きあげた物です。

幸福度ランキング世界1であるデンマークと、幸福度ランキング82位の日本の違いを見える化して、国民を幸せに出来ない 「経済大国・日本」 のこれからの道を探る内容です。

iPhone/iPadユーザーの皆様、115円ですので、是非ダウンロードをお願いします!

筆者:
 
No.055 上海レポート 「生産性の向上」
2010/09

昨年の秋からの上海勤務も8月末で終わり、9月からは日本復帰となりました。自分の上海レポートは今回が最終回です。

この夏、上海一番の話題はやはり上海万博でした。公式ホームページによると8月末時点での来場者は4,363万人で、上海の地下鉄などでは車内のTVモニターで毎日の入場者数の速報が入る程の力の入れようでした。

自由経済の進んだ上海に住んでいると、中国が社会主義国家であることを忘れがちですが、最近「やはり社会主義なんだなー」と実感する事が2つありました。

1つは、日本でもニュースになった舟曲土石流の災害後の政府の対応。この災害の追悼が行われた日には、ケーブルTVを含む全てのテレビ番組が一斉に同じ追悼番組になり、中国のインターネットの検索サイト等も全て白黒になり、中国全土で娯楽が控えられていたのには驚かされました。中国政府の号令が一斉に伝わる社会を垣間見ました。

2つ目は、この夏に中国の新幹線の乗車料金が名称の変更と最高速度向上による移動時間短縮との理由で、突然60%強も値上げになった事です。私が利用する区間では最高速度350Kmを出すエリアはないので、全く条件は変わらないのですが、いきなり大幅な値上げが実施され、社会主義国家の凄まじさを感じました。

さて、中国の印刷業界に目を向けてみると、この1年、興味深いことが沢山ありました。例えば、中国のPMCやアシスタントの雇用形態ですが、日本では紙積みから修業が始まり、知識や技術を身につけて機長へと昇進して行く事が当たり前ですが、中国では機長で入社した人は退職するまで機長、紙積みで入社にした人は退職するまで紙積み。掃除専門で入社した人は退職するまで掃除作業員といったように、昇進することが極まれのようです。そのような会社のスタッフは自分の仕事以外の仕事を全くしようとしませんし、覚えようともしません。与えられた仕事以外のことをすると、逆に仕事を捕ったということで注意の対象となるそうです。

そのような組織が主流の中、日本の印刷工場を見ているような印刷会社様にも出会いました。中国ではまだまだH液にIPAを添加して印刷するのが当たり前ですが、是非ノンIPAにチャレンジしたいとの事で、当社のSK-1を中国に輸出して、ノンIPA印刷の導入を行いました。

この印刷工場は全て中国人で運営されていますが、非常に教育が行き届いており、従業員も与えられた仕事だけを行うのではなく、向上心があり将来は機長になってやるという意気込みで、印刷物の網点や色、汚れなどを確認していました。工場内を見渡すと、社内資格制度のような方法で従業員のレベルアップ、教育システムを確立されているようでした。このような教育されたPMCの協力もあり、SK-1の中国市場ノンIPA印刷の1つの事例を作ることができました。

この印刷会社の他にも、給料制度と勤務体制に工夫を加え、生産性の向上に成功した会社にも出会いました。印刷現場といえば、残業をして給料を稼ぐという図式が日本にも存在していたと思いますが、中国のPMCの中にも同様の考えが存在しています。この会社では従来、慢性的な残業と休日出勤での生産をしていましたが、「生産性を上げ残業時間が減っても、PMCの給料所得を下げない」と従業員に約束をして、結果的に従業員のモチベーションが上がり、印刷品質の安定化が実現し、その結果会社の利益率が向上したそうです。 従来中国市場では安い人件費を利用したビジネスモデルのみでも通用していましたが、この1年で中国の人件費が高騰し、生産性の向上という言葉をよく耳にするようになりました。従業員のモチベーションを上げる仕組みを作り、スタッフが一丸となって生産性の向上と利益率の向上を目指すという図式は、日本でも中国でも変わらない時代になりつつあります。

筆者:
 
No.054 湿し水の腐敗対策について
2010/08

湿し水の腐敗によるトラブルはよく耳にしますが、腐敗とは生物学用語で『有機物質が微生物の作用によって分解され、悪臭を放つようになったり有毒物質を生じたりすること』と定義されています。腐敗の進行段階、微生物の種類(大きく分けると細菌類、黴類)によって様々な印刷障害を引き起こします。例として以下のような事があります。

  1. 湿し水に元から存在している細菌類、黴類が増殖して、湿し水の変色、濁りが見られるようになり、腐敗が進むと悪臭を放つようになり、湿し水物性(pH変化、粘度低下)をも変化させ、水揚がりが安定しなくなる。
  2. 腐敗が進み、増殖した細菌類、黴類とインキかす、紙粉など混ざり合って集合体であるスライムを形成し、湿し水タンク、印刷機への配管 、印刷機の水舟に付着し、給水ロールを経て版面やロールに付着して、汚れとなってしまう。


湿し水原液には版面の非画像部を保護するための不感脂化剤(アラビアゴムに代表される各種水溶性高分子化合物、糖類)などの必須成分が配合されていますが、それら成分は微生物の栄養源となるので、湿し水は通常の水に較べて細菌類、黴類が増殖し腐敗しやすいという短所も併せ持っています。対策として、細菌類、黴類の増殖を抑える為に抗菌成分を湿し水原液に配合するのが一般的ですが、腐敗の進行状況、腐敗菌の種類によっては湿し水に配合される抗菌成分だけではトラブルの解決に至らない事も多々あります。特に一度、スライムを形成し壁面に付着してしまうと、抗菌成分をスライム内部に浸透させる事が難しくなってしまいます。

弊社では腐敗状況により下記の2種類の成分の複合的な使用方法を提案させて頂いております。

  1. 殺菌成分 : 細菌類、黴類を殺滅させる成分。消毒剤の様に非常に強力な活性があり、湿し水原液に配合すると配合されている他の成分の印刷特性と拮抗してしまう為、配合出来ません。殺菌成分単体で湿し水全量交換時のタンク、配管用の洗浄剤と合わせて用います。使用後はすすぎ水とともに回収します。
  2. 抗菌成分 : 細菌類、黴類にとって増殖できない、又は住みにくい状態にする成分。湿し水に配合することが出来る。細菌類、黴類の両方にバランス良く効果が発揮できるような抗菌成分の選択がなされ、必要な量を配合していることが重要。抗菌成分の選択を間違えたり、必要以上の量が配合されていると殺菌成分と同様に配合されている他の成分の印刷特性と拮抗したり、インキの成分に悪い影響を与えてしまう事がある。

1.の殺菌成分の投下と配管用の洗浄剤でタンク内、配管に菌類の生育、菌類の生育の温床になりやすいインキ滓、紙粉の塊の無い状態にして、その後は湿し水の抗菌成分でその状態を維持するという場合ですが、印刷環境によっては、このコンビネーションだけで湿し水の腐敗を防げる場合もありますし、それでもスライム等が発生してしまう場合もあります。スライムの形成が頻繁に起こる工場では、半年に1度など定期的に殺菌成分と洗浄剤によるリセットが必要と言えます。スライムを形成する菌類は抗菌成分に対して抵抗性を持つ種類が多いので、スライムを形成する前のほぐれた状態であっても菌類に対する作用機構の異なる殺菌成分を用いる事が有効になります。

弊社では湿し水のノンIPA化を推奨しておりますが、IPA自体に殺菌作用がありますので、湿し水の腐敗でどうしてもお困りの場合は、IPAを数%添加するという解決方法もあります。また、菌の生育の温床になりやすいインキ滓、紙粉を除くという意味で、湿し水濾過装置を使用する事も非常に有効です。

筆者:
 
No.053 ローラーのメンテナンスの重要性について
2010/07

印刷機のローラーは車に例えるとタイヤの部分になります。車と違うところは印刷機本体を走らせるのではなく、インキと水を運んでいるという事です。ローラーのメンテナンスを怠ると次のようなトラブルが考えられます。

1.ローラー表面がツルツルになりインキ保有量が下がるといくら壷キーを開いても上手くインキが転移していかない → 濃度不安定

2.ニップ調整がしっかりとされていなければインキの練られ具合が不安定になる練り不足の場合はインキがキスチョコのように立ち、レベリング(平滑)が起きない → 発色が悪い
ニップが強く、インキが練られ過ぎるとインキが軟らかくなりドットゲイン量(網点太り量)が大きくなる。

3.インキの転移性(運ぶ力)が下がると、供給が追いつかずゴーストが出やすくなる。

4.給水ローラーでは親水処理をされていないと、水を絞った時(水膜を薄くする)にインキ負けを起こしローラーに油性分が付着し水が絞れなくなる。水が絞れないため刷り込んでいくとインキが過乳化となり濃度が落ちる。さらにインキーキーを開いてインキを呼び出す → 汚れる → 水を上げる → 濃度落ちる → インキを呼び出す の繰り返しで無駄にインキと水を使うことになる。

という事で、ローラーのメンテナンスを怠ると、カラーマネージメントが成り立たなくなります。高い費用を掛けて作ったプロファイルのデーターは毎回調子が違う印刷機により意味がなくなってしまいます。

印刷機がこのような状態では、PMCは安心してアクセルが踏み込めません。低速回転で商品事故を起こさないように恐る恐る運転するか、超ベテランのPMCでないと運転出来ない印刷機となります。これでは品質もそうですが生産性に大きく影響します。

状態の悪い印刷機をPMCの腕頼りで操るのではなく、しっかりとメンテナンスをすることにより新人のPMCでも高速で良品が安定して印刷出来るようにするべきだと思います。

ではどのようにしてローラーをメンテナンスすれば良いのか?

例えば弊社のベストセラーであるABCウォッシュはインキを溶解する成分が強くグレイズ落としには最適ですが、刷版から来るガム成分がローラー表面にグレイジングしていたらどうでしょうか?・・・答えは全く落ちません。乾いたガム成分を落とすには水またはお湯が有効です。また、紙から来る炭酸カルシウムがCaがグレイジングした場合はどうでしょうか。これには弊社のデカルシファイヤーが有効です。

このようにローラーのメンテナンスには、良い諸材料を、正しい知識で行うことが重要です。

弊社では印刷機の持っているパフォーマンスを最大限に引き出す為、PMCが楽に印刷出来る為、そして弊社の製品を正しく使って頂き生産性を上げ、コストダウンをして頂く為に勉強会を開催しております。

勉強会をご希望の方は担当営業までお問い合わせ下さい。

『全てはお客様の為、PMCの為に』

ロハスプリントは全力で応援いたします!

筆者:
 
No.052 オフ輪業界の今後 〜そのA〜
2010/06

前回、日本国内のオフ輪台数が減少傾向にあり、さらに、オフ輪会社の倒産・閉鎖が相次いでいるという暗い話を書きました。
今回は、世界のオフ輪業界が現在どのように移行しているか、また、その比較から、今後、日本がどう進むべきかを明るく考察していきたいと思います。

世界のオフ輪業界は、「大型化」への道を進んでいます。
世界を代表するオフ輪印刷機メーカーに「GOSS インターナショナル」がありますが、GOSSのラインナップの中心になるのは「サンデープレス」と呼ばれる大型オフ輪機です。
サンデープレスには「サンデー2000」「サンデー3000」「サンデー4000」などの機種があり、1番小さい「サンデー2000」でも紙幅965mm〜という仕様になっています。「サンデー4000」になると紙幅が最大で2060mmあり、80頁までの面付けが可能です。さらに、2009年にはイタリアで、紙幅2860mm・96頁印刷が可能な「サンデー5000」を据え付けたという情報もあります。国内で主流のBT機の場合、紙幅が最大で880mmですから、日本のオフ輪オペレーターにはちょっと信じられないような話かもしれませんが、これが世界のトレンドであるのは間違いありません。

サンデープレスと日本で主流のBT機とのサイズ比較

話は少しそれますが、中国有数の企業である「上海電気グループ(SEG)」が昨年の6月にGOSSインターナショナルに資本参加し、先月のIPEXでは完全子会社化を発表しました。SEGは4万人以上の従業員を抱える中国最大の機械製造複合企業で、日本でも、枚葉印刷機製造で有名な「アキヤマインターナショナル」がSEGの子会社にあたります。著名な機械メーカーに対し、中国企業が資本投入するという流れも、今後のトレンドになるのかもしれません。

さて、サンデープレスですが、実際にはどのような印刷方法が取られているのでしょうか?
1度に80頁の印刷が可能なのですから、当然、製本工程での簡略化に繋がります。しかし、実際には毎回80頁クラスの仕事が入るわけではないと思います。そこで「複数の仕事を1度にこなす」という手法が取られているようです。つまり、異なる仕事を複数面付けして、1パスで終わらせてしまうわけです。その際に、部数が違う場合はどうしているのか?などの疑問も生じるのですが、正直なところ細かい話まではわかりません。しかし、米国等では、このような方法で実際に作業が進められているそうです。米国的合理主義で、印刷作業のスピード化・簡略化を突き詰めて行ったら、ここに到達したというところでしょうか。

実はこのサンデープレス、日本にも導入されています。自分は実際に見たことがありますが、とにかく大きい!上段の印刷ユニットには梯子を登って行くのですが、建物の2階に上がっていくような、そんな錯覚を起こすくらい巨大な印刷機です。
欧米の例もあり、日本でも広く普及していきそうな感じもしたのですが、実際のところ、国内には数台しか導入されていないようです。そして、今後導入を検討しているという話は、まず聞いたことがありません。これは何故なのでしょうか?個人的には以下のような理由があると思います。

@ 敷地の問題
A 諸材料のコスト
B 印刷品質

@については、やはり日本の工場は狭いということです。機械だけでなく巻取用紙も巨大になりますから、それらを収納する為に今以上のスペースが必要になります。高額な投資で敷地を確保したとしても、ペイ出来るだけの仕事が集められるのか?といったところでしょう。諸外国に比べ土地代の高い日本特有の問題かもしれません。
Aは主にブランケットの問題です。サンデープレスのブランケットは、専用の「スリーブブラン」を使用します。スリーブブランは円筒形のギャップレスタイプで、とても高額です。需要が増えれば価格も少しは下がる可能性はありますが、現時点では通常のブランの数倍します。この他にも専用の材料(洗浄布など)も必要になってくるので、やはりランニングコストの増大は否めません。
Bが実は1番大きなポイントだと思っています。紙サイズが大きくなればなるほど、見当精度は落ち、色ムラ等の問題も生じる可能性が高まります。折り精度も然りです。勿論、世界を代表する印刷機メーカーの機械ですから、性能が悪いなどということは決してありません。しかし、現在国内で主流のBT半裁機・AY機と比較した場合、同等以上の結果が出せるのか?といった点で、導入に二の足を踏むことは充分有り得ると思います。
実はここに、日本のオフ輪業界の未来、可能性があると思っています。

海外と日本の印刷には、決して埋まらない大きなギャップがあります。それは、顧客が求める印刷品質の高さであり、日本の印刷会社がその結果を出して来たことです。
世界の印刷関係者に言わせると、日本の印刷品質要求レベルは「Crazy」だそうです。我々がこれまで、当たり前と思ってやってきたことは、世界から見ると「何故そこまでうるさく言うのか?」と逆に呆れられる材料にもなっているのです。
しかし、自分はこれを悪くは捉えていません。寧ろ「誇るべきこと」とさえ考えています。世界の印刷が合理化への道を進む一方で、日本の印刷会社は不況に喘ぎながらも、合理化だけを良しとはせず、高品質・小ロット、特殊な用紙等にも細かく対応する方法を模索しています。日本のオフ輪が欧米のような大型化に進まないのも、これまでの印刷品質を守るために模索した結果の1つと捉えることも出来ます。
この「模索する姿勢」がある限り、日本の印刷技術は今後もまだまだ伸びるはずです。そして、印刷技術が向上すれば、印刷物の需要がなくなることはないと考えています。

次号で、海外のオンデマンド化と比較しながら、日本のオフ輪業界の今後を、更に考察していきたいと思います。

筆者:
 
No.051 「PMC」 2010/05

最近、青山ブックセンターに足しげく通っている。

ご存知の方も多いと思うが、青山ブックセンターは写真・デザイン・建築関連書物の取扱は 日本一とも言われる青山や六本木に展開する本屋さん。ニックネームもAoyama Book Centerの頭文字を取って「ABC」と、とてもクリエイティブでお洒落。

そんな店内は、デザイン系の本で溢れている。先日、そんな店内を見て「これを創っているのが日本の印刷会社なんだなー。 全国のオペレーターさん達なんだなー」と印刷業界にいる自分がとても誇らしくなった。

しかし、オペレーターという名前がちょっと気に入らない。実はこの数年、より良いネーミングはないものか?と悩み続けている。

オペレーターには毎日疲れた感じで印刷機を操り、仕事をこなすイメージがついてしまっている。訪問してくる人はデザイナー。それに対応するのはオペレーターでは、関係がイーブンではない!

世界に誇るべき品質で、日本の印刷文化を支えているのは日本の印刷会社であり、印刷オペレーターである!

ドイツのマイスターのようなプロフェッショナルな名前があっても良いのではないか?合コンでもモテるような名称を付けようではないか!

という感じで、深夜に悶々とネットでアイデアを探っていたら、アメリカのサイトで印刷の事を
「プリントメディア」、インターネットの事を「デジタルメディア」と表現している事を発見!

そこで閃きました。

プリントメディア・クリエイター。略して PMC(ピーエムシー)。

ここで想像は膨らむ。数年後の広辞苑の改定版に、プリントメディア・クリエイターが載っている。

プリントメディア・クリエイター (PMC)
@プリントメディアを創っている、クリエイトしている職業。
A印刷オペレーターのこと。
B印刷文化を守っているカッコ良い職業。
Cこの広辞苑を印刷した人たち。

早速、ロハスプリントではオペレーターさんの事をPMCと呼ぶ事にしました。

そして、全国の印刷会社の皆様にもご提案です。

御社のオペレーターさんの名称を、プリントメディア・クリエイターに変えませんか?

このPMCというネーミングに賛同して下さる印刷会社様が全国に広まり、「日本の印刷文化を創っているのは俺たちだ!これから守っていくのも俺たちだ!」というプライドを持ったクリエイター達が印刷現場からどんどん生まれてくる。こんな相乗効果が生まれれば、印刷新時代へのエネルギーやアイデアが生まれてくるのでは?

なにせ沢尻エリカ様と結婚出来そうなネーミング!合コンでモテること間違いなしです!

筆者:
 
No.050 「CLUB✈683」 2010/04

僕がロハスプリントに入社してから、4月で丸4年になります。ロハスプリント入社前は印刷オペレーターをしていましたので、印刷の基礎知識に関しては自信を持っているつもりでした。
しかし、日々の営業活動を通して印刷業界の広さと印刷の奥深さを目の当たりにして、自分の知識の足りなさで自己嫌悪に陥ったりもしました。それから4年が経過し、今の僕は以前とは比べ物にならない程の印刷知識を身につけました。このほとんどの知識は、お客様から学び教えて頂いたと言っても過言ではありません。オペレーターさんの様々な質問に応えられるように勉強したり、オペレーターさんから直接話しを聞くことで、僕は成長できたのだと思います。

しかし、個人情報保護の関係から、ここ数年間で印刷現場への入室が不可となってしまい、従来のようなオペレーターさんと近い関係を築くことが難しくなってしまいました。

これは仕方のないことなのですが、僕個人的にはとても残念でなりません。これからもオペレーターさんから色々学びたいと思っていますし、逆に僕の可能な範囲で色々なアドバイスを差し上げたいのですが、現場に入れない以上は直接言葉を交わすことは困難です。

また、僕が過去に書いた「色」というタイトルのコラムで、今後はオペレーターさんの技術向上や情報交換が必要、という点を指摘したのですが、現在は情報交換以前に外部状況すら入ってこないという印刷現場も多々あることだと思います。

そこでロハスプリントは、オペレーターさん同士の情報交換や横の繋がり持つ機会を増やすべく 「CLUB✈683」 (クラブ・ロクハチサン) というコミュニティーサイトを開設する事にしました。

コミュニティーサイトとは、わかりやすく言えばネット上で情報交換をする場であり、現在ではmixiなどを始めとする様々なサイトが存在しています。しかし、そういったサイトでは印刷を語り会える仲間はそう簡単には見つかりません。ロハスプリントが提供する 「CLUB✈683」 はオフセット印刷に特化したコミュニティーサイトですので、現場の仲間と話すような感覚で全国の印刷オペレーターさん達と情報交換が出来るようになります。

「CLUB✈683」では、印刷の技術だけにとどまらず、日常の様々な情報を共有する、言わば 「オペレーターの憩いの場」 というイメージを描いています。現在は今年の夏前の開設に向けて最終調整の段階に入っているところ。また、パソコンを持っていない方でも参加出来るように、携帯電話からでもアクセスが可能ですので、全国のオペレーターさんが集まり、ネットワークを増やし、お昼休みに 「CLUB✈683」 をチェックする。印刷トラブルの時は、解決方法を教え合う。そんなコミュニティーになってくれる事を願っています。

筆者:
 
No.049 「全てはお客様の為に」 2010/03

私は現在印刷資材を販売していますが、元々は印刷オペレーター出身です。今でも印刷資材の導入テストやお客様からトラブル解決に呼ばれた際には、印刷機を操作する機会があり、毎回のように「印刷って楽しい!」と感じています。オペレーター時代を振り返ると、長時間労働が続き体力的に辛かったり、仕事で失敗をして嫌になる時も多々ありましたが、立会いでご来社されたデザイナーさんに「良い仕上がりですね!」と褒めていただいたり、自分が印刷をした出版物が店頭に並んでいると、充実感と満足感で心が一杯になったものです。
印刷物も様々で製品によっては非常に厳しい品質を求められましたが、だからこそ、「お客様に満足して頂ける製品を作り続けよう!そしてお客様の笑顔を見たい!」と心掛け、印刷に取り組んでいました。今振り返ってみると、そのような経験を重ねられたことにより、「印刷って楽しい!」と思えるようになった気がします。

現在は、あらゆる印刷資材を販売しており、当然、売り上げも確保しなければなりませんが、今までの印刷経験を活かして、常にお客様の問題解決者でありたいと心がけながら仕事に取り組んでいます。どの印刷会社様でも何らかの問題を抱えているものです。それらの問題が、自分の助言や指導で解決した際は、お客様と心底喜びを分かち合える。それが弊社製品で解決する事が出来たら最高です。

そのような感動を今後もお客様と分かち合えるように、これからも日々努力を続けて行きたいと思います。そして、弊社としても、常にお客様の事を考えた製品開発や提案が出来るように心掛けていきたいと思います。

「全てはお客様の為に」

これは弊社のミッションであり、弊社が存在する意義であります。全社員がこのミッションを心に刻み、同じ方向に突き進む事によって、全国の印刷会社様の問題解決者的立場になれれば幸いです。

筆者:
 
No.048 上海レポート 2010/02

自分が上海に赴任して3カ月が経ちました。自分にとっては初めての異文化での生活。驚きと発見の連続の中、毎日を過ごしています。

横浜の中華街に行った時などは少々耳障りに感じた中国語も、今では自分が勉強する側に回り、中国語の音調がそうさせているのだなと学んだり、成田空港で大量の家電を持ちかえる中国の人達は、中国国内の家電が日本と同じくらい高いのにも関わらず、品質ではだいぶ劣るので、日本で調達している事などが分かり、色々と学ばせて貰っております。

さて、中国の印刷会社ですが、規模的には印刷機1台のみの会社から、数十台所有する会社まで、日本と同じく様々な規模の会社が存在しています。中でも凹版印刷であるグラビア印刷の会社数は世界一の規模との事。最近中国でも有数な印刷都市に営業訪問しましたがとても衝撃を受けました。今回はその時のエピソードをご紹介しようと思います。

日本では主にオフセット業界で活動をしている為、グラビア印刷会社には数社にしか訪問したことがありませんが、自分が知っている食品パッケージや生活用品のパッケージを製造するグラビア印刷工場は空調がしっかりと管理され、外部の人間も工場内に入ることが許されない管理の徹底された工場がほとんどでした。しかし、この印刷都市の印刷会社はシャッターが開け放たれ、チリや埃、虫さえも容易に入り込めるような環境。出入りのチェックもなく、自分も社員の1人のように自由に中に入れてしまいました。他の印刷会社も様子は同じで、印刷工場というよりは、単なる倉庫に印刷機を置いて、あけっぴろげの環境で印刷をしている感じ。日本との差に唖然としてしまいました。

そしてもっと驚いた事は、このような環境で印刷をしている印刷物の多くが日本向けであったという事。「従来日本で行われていた印刷がこのような会社に流れてしまっているのか!」と衝撃を受けましたし、品質や環境で日々努力を続けている日本の印刷会社の事を考えると、少々悲しくなりました。

しかし、これも時代の流れという事でしょうか。

ここ上海では今年も経済を刺激するイベントは続き、上海万博が5月〜10月末に開催され、2014年の開業に向けて上海ディズニーランドの建設も開始されました。上海の地下鉄の総距離数も東京を抜き、ロンドン、ニューヨークの次いで世界3位になったそうです。そして中国のGDPは今年2010年に日本を抜いて世界第2位になる事もほぼ確実と報道されています。

世界が注目する中国。人口13億のこの国が、どこまで成長していくのか、自分も上海から見守っていきたいと思います。

上海

筆者:
 
No.047 社名を変更致しました 2010/01

皆様、明けましておめでとうございます。

2007年に始めたこのコラムも3度目の正月を迎えることになりました。これからも印刷業界の生の声を発信出来るよう努力をして参ります。ご愛読の程、宜しくお願い致します。

さて、当社エスケー液製造株式会社は2010年元日をもって社名を「ロハスプリント株式会社」に変更致しました。

ロハスとはアメリカ発祥の言葉で、Lifestyle of Health and Sustanabilityの略語であり、「健康的で持続可能なライフスタイル」という意味を持ちます。

私がこの言葉を知ったのは今から4年前の2006年の事です。その年の夏に業界新聞の1社から「夏に環境特集号を出すので、現在の環境対策をまとめたエッセイを書いてくれないか」との依頼を受け、前々から感じていた「環境に特化した北欧やドイツに比べて、日本の印刷会社の環境に対する意識は高いとは言えない。価格が安い、という理由だけで人体と環境に害のある溶剤がまかり通っているし、印刷業界全体を見渡しても低価格競争が主流で、これでは将来に繋がらない。もっと業界全体で次世代に繋がるようなコンセプトを掲げて動くべきなのではないだろうか?」という主旨の文章を書き上げましたが、その時点では「次世代に繋がるコンセプト」というのが具体的に見つかっておらず、文章をどう締めくくるべきか悩んでいました。

そのような時に出会ったのがロハスという考え方です。

ロハス、健康的で持続可能なライフスタイル、というコンセプトを目の前にして、

今の印刷業界は健康的か?

今の印刷業界は持続可能か?

今の印刷人のライフスタイルはどうか?

と自問自答を繰り返す中で、これからの時代のキーワードがたった3文字に集約されている、ロハスというコンセプトに感銘を受けると共に、自分が目標としたい会社の姿はこれだ!と実感致しました。

その後2007年に制作した自社カタログをロハスプリントと名付け、会社運営もロハス志向に舵を切って行きました。

そして昨年、「ロハスプリント」の名前とロゴマークで商標登録が認可されましたので、今年からの社名変更を決断致しました。

エスケー液製造株式会社という名前には我々社員一同、多大な愛着を持っておりますが、社名が少々古くなっており、新規分野のお客様に電話をする際などは、どう漢字で書くのですか?どんな液体ですか?と毎回のように聞かれ、もっと簡単に覚えて頂ける、分りやすい社名を持ちたいなと考えておりました。

今回の社名変更はこのような背景が基となっております。

2010年。時代は変わり、印刷業界も社会のデジタル化や国際化といった流れに沿ってビジネス形態を変えて行く必要があります。

私達、ロハスプリント株式会社は、この時代の潮流の中、お客様と共に「ロハスプリント」、すなわち「健全で持続可能な印刷」を追求して参りたいと思います。

今年もご指導ご鞭撻のほど、宜しくお願い致します。

筆者:
 
No.046 湿し水の選択について(2) 2009/12
前回(No.41)コラムでは、どの湿し水を使うかという選択基準として、
  1. 使用している印刷機の給水機構に合った給湿液効率(FSE)(充分かつ、制御可能な水揚がりの実現)
  2. 使用インキと湿し水の適性な乳化(インキが湿し水に溶解することの無く、初期乳化が早く版面に転移後、インキから水滴が排出しやすいズリ乳化状態の実現)
  3. 非画線部の不感脂化修復性能(より薄い水膜で必要な不感脂化修復性能の実現)

の3点を挙ましたが、今回はこの3点の特性を維持させる為の複合、補助的な特性の1つとして『pH緩衝性能』について説明したいと思います。

pH緩衝作用とは『一部中和された弱酸と弱塩基(アルカリ)が水溶液中にあるとき、外部から酸・塩基を加えてもpHが僅かしか変化しない状態』と定義されています。

新聞印刷などを除く、一般の平板印刷用の湿し水原液には、弱酸と弱塩基を配合し、使用濃度でpHが3.5〜5.0位になるように調製されます。そのpH領域で緩衝作用を発揮しますが、配合される弱酸と弱塩基の量が多ければ多いほど緩衝作用は強くなります。

弱酸性のpH域を逸脱しないようにする理由として、下記の3点が考えられます。

  1. 選択される酸自体に版面非画線部の不感脂化修復効果があり、その酸の効果と緩衝作用を同時に発揮させようと塩基と組み合わせると必然的に弱酸性になる。外的要因で湿し水のpHがアルカリ域にシフトすると、不感脂修復効果が弱まる
  2. 不感脂化剤として配合されるアラビアガムなどの水溶性ポリマーの機能が発揮すのが弱酸性の一定領域に限られる為
  3. 外的要因で湿し水のpHが適した領域外(アルカリ域、pH=3以下のより強い酸性域)にシフトするとインキとの乳化バランスがくずれる。

pH域をアルカリ側にシフトさせる要因として、使用水の硬度、炭酸カルシウムなどの印刷紙成分によるもの、インキの成分によるものが挙げられます。

特に使用濃度での湿し水成分の95〜99%は使用水ですので、その硬度の影響は大で、比較的硬度の高い地域(※総硬度100〜150)では、pHの変動を抑える為、pH緩衝性能の高い湿し水が必要になります。

※硬度とは
水の中に溶けているカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量のことで、炭酸カルシウム(COCO3)が1L中に含まれているmg数で表します。WHO(World Health Organization:世界保健機構)の飲料水水質ガイドラインでは以下のように分類されています。

湿し水のpH緩衝性能はより高いほうが良いのですが、最初に挙げた湿し水選択基準3点の特性がバランス良く発揮させることを考えると、配合できる緩衝成分の量にも限界があり、pHをアルカリ側にシフトさせる要因が重なった場合、湿し水に緩衝剤を別添加したり、湿し水濾過装置(No.44 濾過装置導入のメリット 参照)によって、循環している湿し水よりインキ滓、紙粉などを除き、溶出するアルカリ成分の量を減らすことも有効な手段です。

また、水道水の硬度は、四季を通じて大なり小なり変化しますので、より安定的な印刷を実現する為に、使用水をイオン交換処理(純水装置)で水の硬度をゼロにして、常に一定の硬度で印刷をしている会社や、純水に硬度保証剤を硬度20〜50になるように添加して印刷をしている会社もあります。

筆者:
 
No.045 オフ輪の今後 2009/11

〜その1〜

印刷会社の倒産が相次いでいます。

冒頭からネガティブな内容で申し訳ないのですが、これが印刷業界の現状です。
東京商況リサーチによると、2009年上半期(1月〜6月)の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は8,169件、負債総額が4兆6,853億 3,600万円。倒産件数は、前年同期比625件増(8.2%増)、負債総額は前年同期3,179,677百万円(+47.3%)とあります。印刷業の 2009年上半期の倒産(こちらは帝国データバンク調べ)は89件。前年同期比61.8%の大幅増加で2001年以降最多となるそうです。国内企業全体が不況の只中にありますが、印刷業界は倒産件数の増加率を見ても深刻な状況です。特にオフ輪会社の厳しい現状が自分の耳にも届いています。今年に入り、倒産、或いはオフ輪部門のみ閉鎖した会社は多くあります。

しかし、そこで悲観ばかりはしていられません。現実は現実として受け止め、何故そうなったのか?今後どうしてくべきなのか?ということも真剣に考えなくてならないでしょう。数回に分け、オフ輪業界の現状・今後について書いていきたいと思います。

まず、はじめにオフ輪機台数の推移です。尚、これは商業・出版用オフ輪機のみのデータで、新聞輪転機は含まれません(日本印刷新聞社調べ)

1999年 1461台 
2005年 1327台
2007年 1402台
2008年 1289台

内訳はB2版が約62%、A1版が約18%で、残り20%がB3機などです。A1機のシェアは拡大傾向にあります。

この調査は回答制で、中には回答を辞退した会社もあるようなので、実態と完全に一致してはいませんが、概ねの傾向は表れていると思います。

近年では1999年がピークで、オフ輪業界に不況の兆しが見え始めたのはこの頃です。1999年当時、自分はまだオフ輪機のオペレーターを務めており、ちょうどこの頃から、社内でも経費削減対策などが増え始めました。自分もまだ気楽に構えていた時期なので「いちいちうるさいなぁ」などと感じていた記憶があります。

新台設置の理由には、以下のようなことが挙げられます。

  1. 従来機が老朽化したため
    オフ輪機が新聞折込チラシの一般的生産設備として使われ始めたのは、1970年代に入ってからで、この時期から1980年代にオフ輪機は一気に増加しました。この期間に導入されたオフ輪機の入れ替え(引退)時期が、2005年前後に重なったためと予想できます。
  2. 印刷品質の向上
    従来、短納期・大ロッドが主目的だったオフ輪印刷に、枚葉水準の品質が求められるようになりました。印刷機械の進化により、それに近い精度も実現可能になっています。オフ輪各社が品質で他社に負けないためには、新台の導入に踏み切る必要がありました。@はこの理由とも重複します。
  3. 付加価値印刷
    国内経済が悪化し、印刷業界にもデフレの波が押し寄せました。単価の値下げ合戦が続き、これ以上の値下げは厳しい状況まで達した結果、価格以外で他社との差を付けるため、様々な折加工やシート印刷が可能な新台に注目が集まります。それまで主流だったB2機からA1機にシフトチェンジする会社が増えたのも同様の理由です。

推測も含みますが、上記のような理由で、オフ輪機は一時的に増加しました。しかし、景気悪化の波には逆らえず、倒産・閉鎖に至るオフ輪会社が増加していきます。

また、印刷機台数のデータだけでは読み取れない事実が1つあります。それは印刷機械の高速化です。

インターネットやデジタル印刷の普及により、オフセットでの印刷物総数は減少傾向にあります。それに反比例するように、オフ輪機の回転速度は高速化していきました。自分がオフ輪オペレーターだった1990年代後半は、BT半裁機で毎時30,000〜35,000部程度が平均的な印刷速度でした。ところが最近は、毎時48,000部程度の印刷が可能になっています。これを人間の100m走に例えると、10秒フラットで走っていた人が6秒25で走ることになるのですから恐るべき進化です。ボルトでも到底不可能でしょう。この結果、印刷作業がさらに短時間で済むようになり、全国的に機械余りの状況を生み出してしまいました。

各社は他社との差別化を図るために新しい印刷機を導入したのですが、皮肉にも、それが印刷機械をダブつかせることに繋がり、倒産・閉鎖に至る企業が増えてしまいました。

これが、現在のオフ輪業界の現状です。

しかし、ネガティブにばかり捉えているわけにはいきません。これまでの状況を的確に把握し、現状を打破する方針を今後も考えていくべきでしょう。

次回は、諸外国のオフ輪業界との比較から、日本のオフ輪業界の今後を考察していきたいと思います。

筆者:
 
No.044 濾過装置導入のメリット 2009/10

湿し水は、別名「印刷の血液」と呼ばれるほど、印刷において非常に重要な役割を担っています。湿し水が不安定な状態になれば印刷品質も不安定になりますので、高品質な印刷を維持するためには、湿し水の管理を最優先に行う必要があります。

湿し水は時間の経過とともに、インキ・用紙・パウダー等の成分が混入し、徐々に劣化をしていきます。特に最近では、用紙から受ける影響がとても大きくなっており、湿し水の劣化は従来よりも激しいものとなっています。湿し水が劣化していくと水上がりが不安定になり、汚れや過乳化、さらにはローラーに対するカルシウム付着等の悪影響を及ぼします。

湿し水の劣化を防ぐことは不可能ですが、濾過装置を使用して劣化を遅らせることは可能です。従来は湿し水が劣化した場合は水交換をすることで解決していましたが、濾過装置を使用すれば湿し水の交換頻度を以前よりも減らすことが可能になります。

濾過装置とは、その名の通り湿し水を濾過フィルターに通すことで、湿し水に含まれた不純物を取り除き、湿し水の劣化を大幅に遅らせる働きをします。

例えば、これまで2週間に1度のペースで交換していた湿し水を、3ヶ月前後に引き伸ばせるようになります。これは単純に水交換の頻度を減らすだけでなく、湿し水の外的要因による変動を抑え、湿し水の劣化を最小限に食いめ、結果として湿し水の安定化と印刷の安定化を図ることができます。

これらの効果だけでも十分メリットのある濾過装置ですが、実はそれだけではありません。濾過装置の導入には、印刷現場で一番の課題となるコストに関しても大きなメリットを生む可能性があります。

水交換とは、古い湿し水を捨てて新液を作る作業です。新液を作るためにはH液やIPAを必ず添加するので、水交換の度にそれらを消費することになります。この作業にかかるコストは目立ちにくいですが侮れない金額になります。

具体的な金額は、湿し水タンクの容量・H液の添加量・H液の購入金額・水交換の頻度によって決まりますが、あるお客様で調べたところ1台の機械で年間30万円以上の費用が水交換で発生していることが見える化された例もあります。

このような場合、濾過装置を導入し水交換の回数を減らすことで大幅なコスト削減が可能になります。実際には濾過装置の導入コストがありますので、導入から数年間は機械代金の償却と考えますが、それが済んでしまえば純粋なコストメリットとなります。

このように、濾過装置は湿し水の状態を維持し印刷品質を守るだけでなく、コスト面においても貢献度の高い装置といえます。

濾過装置の導入を検討されている印刷会社様がおりましたら、湿し水のチェックから試算表の作成、さらには安心の2ヶ月導入テストまで弊社で対応することが可能です。この機会に是非お問い合わせをお待ちしております。

筆者:
 
No.043 マイスター制度 2009/09

No.040のコラムで弊社の桐生が印刷技能検定に関して書いているが、今回は印刷発祥の地ドイツでのマイスター制度に関して説明しようと思う。

マイスター制度は、手作業による仕事の伝統を維持し、そのレベルを保持し後継者を育てるための制度で、中世以来の伝統を持ち、1953年からは職能制度として法制化されて、ドイツの産業発展に大きな役割を果たしてきたとされている。ドイツの印刷業界もこの制度下のもとに発展し、現在の世界を牽引する印刷業界があるのだと思う。

マイスター取得までの経緯を簡単に説明すると、まずは見習い工として3年働きながら職業学校に通い、さらに「徒弟」(Geselle)として3〜5年の修行を積んだ上で、試験に合格するとマイスターの資格が取得できる。

従来ドイツの法律では、各職業においてマイスターの資格がなければ開業ができないとされてきたが、現在では多くの職業でマイスターでなくとも開業ができるように法律が改正されている。しかし、マイスターの資格取得そのものは現在でも存在していて、多くの若者が自分の進むべき職業でマイスターの資格を取得して、誇り高き職人として社会人生活を送っている。

先日ヨーロッパ諸国の印刷会社を訪問する機会があり、ドイツ・スイスの印刷会社を訪問してきたが、どの会社の機長または現場責任者も、自分達の仕事に対して強いプライドと責任感を持ち合わせていることが感じ取れた。

日本にも印刷技能検定という制度があるが、残念ながらドイツのマイスター制と社会的地位を比較すると、決して認められているとは感じられない。

今後日本の印刷業界及び印刷現場が更なる飛躍を遂げるには、日本の印刷技能検定の重要性を業界全体で高めていく必要があるのではないだろうか。誇り高き印刷オペレーターが日本の印刷会社と印刷業界を支える。そのような姿を実現させたいものだ。

筆者:
 
No.042 バケーション 2009/07

7月に入り、各国の取引会社からバケーションのお知らせが舞い込んできている。

ヨーロッパの企業は8月に1週間〜2週間会社全体を閉めてしまうケースが多い。過去には3週間も閉めてしまう会社もあったが、最近は2週間が一般的だ。

それに対して当社はお盆前の2日間。

「いやー、日本人は勤勉だなー!偉い偉い!」と誇りに思うのと同時に、「いや、働きすぎかな?」と毎年疑問に思う時期である。

人生は一度きり。その人生を謳歌するのが我々の目的であるべきだが、とかく日本人は仕事に追われてプライベートがおろそかになりがちだ。

昨今の不況の中で、売上!利益!経費削減!と毎日仕事のペースを上げて、汗を流して働いているのが現在の我々である。 しかしアメリカの独立宣言にあるとおり、人間が目指すものは幸福の追求であり、お金の追求ではない。

日本人はその事に気付いた方がより良い人生が送れるのでは?

時には仕事を忘れてじっくりと休む。

日本にもバケーションと呼べる位の長期休暇がとれる時代が来ると良いですねー。

筆者:
 
No.041 湿し水の選択について 2009/06

ここ数年の印刷業界では、環境問題、労働安全性や各種法規制による社会的ニーズの高まりからインキメーカー、湿し水メーカーによるIPAを使用しない湿し水の製品開発が進められてきました。多くの製品が市場に投入、評価され、ノンIPA化を実現している印刷会社も増えてきました。実際ノンIPA化を実現しているところでは環境問題、労働安全性もさることながら、印刷品質の向上、経費削減にも役立っていることを良く聞きます。

ノンIPA化を実現にあたって、どのメーカーのどの湿し水の使うかということは重要な選択ですが、下記3点の湿し水の特性が自社の印刷環境で十分に発揮できるかが選択基準になると思います。印刷環境とは自社で使用中の印刷機の種類とコンデション(版、ローラ、ブランケット材質も含む)、水(水質)、インキ(種類とメーカー)のことです。

  1. 高い給湿液効率(FSE)
  2. インキと湿し水の乳化適性
  3. 非画線部の不感脂化

高い給湿液効率は水揚がりの制御を容易にしますが、いかに効率良く水が揚がっても、インキと湿し水で適性な乳化が起こらず、湿し水成分がインキ成分を溶解させたり、不可逆的な過剰乳化を起こしたり、また乳化が足りなく水量を増やしたりすると、水棒の絡み、地汚れ、つぼあがりなどの諸問題が発生してしまいます。

ここでいう適性な乳化とはインキと湿し水がローラー間を通過する際のズリ力によって、インキの版面への転移に必要な最低量の湿し水が水滴状になってインキ中に均質に分散し、版面に転移したのちは、より短時間でインキから湿し水が分離、しみ出すことが理想とされる可逆的乳化状態のことです。

現在、各社から販売されている湿し水は、機上でやや乳化抑制に働く配合が多いようです。非画線部の不感脂化ついては湿し水の基本特性として言うまでもありませんが、印刷物の乾燥性から、版の材質に合わせて、より薄い水膜で特性を発揮させることが重要です。

それぞれの印刷環境において、際立って印刷機のコンデションが悪いということがなければ3点がバランスが良く特性が発揮できる湿し水の選択で、いわゆる『水が絞れている』という水の送り量の調整が可能な状況になり(湿し水濃度1.5〜4%)、印刷品質を維持、向上、ノンIPA化の実現を容易にするもの考えています。

他にも湿し水に要求される特性として『pH緩衝性能』、『印刷機、版の腐食防止性能』、『湿し水の防腐性能』、『消泡性能』などがあります。前記3点の特性を維持させる為の複合、補助的な特性として重要ですが、詳細は別の機会に述べたいと思います。

弊社では昨年末から『SK-1』『SK-1N』『SK-1BF』という湿し水を開発、上市しており、多くのお客様でノンIPA化を実現していますが、今後もお客様の湿し水選択の幅を広げる為、特徴あるシリーズ製品を開発していく予定です。

もし弊社の湿し水を試用していただけるのであれば、事前に調査させていただく印刷環境から、ノンIPA化に向けての湿し水の選択、機械の調整をさせて頂くこともできますし、場合によっては湿し水配合のカスタムメイドも可能です。

ご希望の場合はお気軽にお問い合わせください。

筆者:
 
No.040 技能検定 2009/05

技能検定というものを皆さんはご存知でしょうか?
技能検定とは「働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度」のことで、現在は125の職種について検定が行われており、これに合格することで国から資格が与えられる制度のことです。

我々の属する印刷業界ではオフセット枚葉印刷機を用いた検定が行われます。同じ印刷でもグラビア印刷やフレキソ印刷などのオフセット印刷以外では検定が行われていません。
印刷の検定は1級と2級に分れており、1級は4色機、2級は2色機を使用しての試験となり、それぞれ決められた課題をクリアしなければなりません。もちろんこの検定には学科試験もあり、学科を合格した人のみが実務試験に進むことができます。ですから、この検定に合格するためには印刷技術だけでなく、印刷に関わる基礎知識の把握も求められます。問題の中には日々の作業では学べないような内容も含まれていますので、過去問題などの参考書を用いて勉強する必要があります。
この技能検定を受けるチャンスは年に1度しかないので、合格出来なかった場合は1年後の検定を待つようになってしまいます。ただ、学科は合格したものの実務で不合格だった場合には次回以降の学科試験は免除されます。

注意点としては、この検定は実際の印刷機を使用するため受講出来る人数の枠がとても少なく、受講したくてもできないというケースが多くあるようです。特に1級の受講に関しては条件が厳しく、自社の印刷機設備を用いての受講が基本となります。つまり自分が所属する印刷会社の協力があって初めて受講が可能になるので、会社が協力してくれない場合や印刷会社に所属していない人は受講できないということになります。しかし、自分が調べた中で東京都だけは、印刷機メーカーや印刷学校などの機械を使うことができるので、機械の提供なしでも1級の受講は可能となっています。それでも人数の制限はとても厳しく、申し込み開始日の職業能力センターには早朝から長蛇の列ができていて、実際に受講出来るのはその中でもわずかな人数のようです。
ちなみに受講する都道府県はどこを選んでも構わないので、1級を受講したい場合には東京都で受講することをお勧めします。

技能検定は、これまで現場で培ってきた技術や経験を計るためには最適な場だと思います。また、印刷技能士としての資格を得ることで、これまで以上に印刷に対する興味や責任感が沸いてくるのではないかと思います。
この資格については僕自身も取得を目指し勉強をしています。これを読んでくださっているオペレーターの方々も、一緒にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

http://www.javada.or.jp/jigyou/gino/giken.html

筆者:
 
No.039 枚葉とオフ輪の違い(3) 2009/04

今回はメンテナンスの違いについて触れてみます。
筆者はオフ輪出身なので、オフ輪を主眼に置いて書かせてもらっていますが、今回はオフ輪従事者には耳の痛い話です。

ローラー配列等、オフ輪・枚葉で機械構造の違いは色々ありますが、メンテナンス方法に大きな違いはありません。あるのはメンテナンスに対する意識の違いです。ハッキリ言ってしまうと「オフ輪会社(オペレーター)の方が、メンテナンスに対する意識が低い」ということです。
あくまでも個人的な意見ではありますが、営業として多くの印刷会社を廻らせてもらった上での認識なので、傾向としては間違っていないはずです。例えば、ローラー洗浄ひとつ取ってみても、枚葉各社からは、洗浄剤や洗浄法の問い合わせを頻繁に受けますが、オフ輪会社からは顕著に少ないと言わざるを得ません。オフ輪会社の機械裏側に廻ってみると、床は油でベトベト、H液やシリコンの定量装置が壊れているため目分量で入れているというような光景も、決して珍しいものではありません。そういう自分も元はオフ輪のオペレーターです。現役当時は、さして変わらない作業状態でした。言うならば、オフ輪業界の悪しき習慣と言えるかもしれません(勿論、うちはそのようなレベルではない!という方も当然いらっしゃるとは思いますが、こういった会社もまだまだ多いという認識で読み進めて下さい)。

何故、オフ輪会社の方が、メンテナンスに対する意識が低いのでしょうか?
自分は以下の点が大きな要因になっていると考えます。

  1. チラシ印刷が多い
  2. 切り替え(色替え)が少ない
  3. 機械がデカい!

では、ひとつひとつ分析してみましょう。

  1. チラシはオフ輪業界で最も大きなシェアを占める仕事です(余談ですが、新聞の折込チラシは日本固有の文化だそうです)。チラシというのは、スーパーの特売日の広告に代表されるように「○月○日○時オープン!」などと「日時」が明確になっているものが多いため、下版した当日に輪転機を廻して30万部印刷。印刷が終了したら即断裁、真夜中にトラックで納品などということが日常的に行なわれています。つまり 「超短納期」なのです。その結果「とにかく刷る、とにかく間に合わせる」ことが最重要視され、品質面への意識は薄れてしまっています。実際、印刷中に「色がうまく出ない」などの問題があっても、納期が迫っているため応急処置的な対策だけで仕事を進めてしまうことも多々あります。その仕事が終わっても、次の超短納期仕事が控えているため、メンテに時間を割けないままでいたりします。

  2. オフ輪はプロセスインキ(KCMY)がメインで色替え作業がほとんどありません。印刷用紙も斤量が違うだけで紙幅の変更が少ないため、多くの仕事は版交換のみで進行していきます。つまり、ローラー・インキ壷の洗浄作業が少なく、ブランケットのエッジマークや端汚れもそれ程気にしなくて良いということに繋がります。普段から小まめにローラーや壷・ブランケットを洗浄している枚葉オペレーターと比べると、それに対する意識が圧倒的に小さいのです。チラシ専門の印刷会社では、ローラー洗浄、壷のインキの入れ替えをほとんど行なわない会社もあるくらいです。結果として、ローラーにはグレーズが蓄積し、インキキーにはインキの塊が固着し、品質トラブルに繋がるということになるのですが…

  3. 機械が大きいと、人は「とても手が出せない」と思いがちです。例えば、車のバッテリーなどは結構簡単に交換出来るのですが、特に挑戦もせず最初から修理屋さんに依頼する人が多いのもそのためだと思います。オフ輪機の場合も同様の心理が働くようで、ちょっとした故障でも、最初から機械メーカーに丸投げしてしまう会社がまだまだ多いようです。日常的にメーカーに依存することで、オペレーターの仕事は【印刷機を廻すこと】だけになってしまい、メンテナンスに気を配れなくなる傾向があるようです。


印刷機の進化に伴い、どんな作業体制でも、それなりの印刷品質が維持出来る時代になりました。その反面、顧客の要求は年々厳しくなり、最近ではオフ輪印刷にも枚葉美術印刷レベルの品質が求められるようになっています。メンテナンスの重要性については、これまでのコラムにも掲載してきたので、ここでは省力させていただきますが、印刷機の性能が横並びの現代に於いて、顧客の要求に応え、他社との差別化を図るには、日頃からのメンテナンスの徹底が第一です。オフ輪の仕事が激減して、印刷機の停止する時間が大幅に増えている今日、これを逆に良い機会と捉え、これまで実行されていなかった機械メンテナンスに時間を充ててみてはいかがでしょうか?機械いじりに慣れることで、きっと想像以上に自分達で出来ること、印刷品質向上に繋がることを発見できると思いますよ。

筆者:
 
No.038 ノンIPA化の薦め 2009/02

年々、印刷業界では環境対策に取り組む企業が増加の一途をたどっています。その代表的な取り組みの一つに「IPAの削減」が挙げられます。既に取り組んでいる会社も増えてきていますが、全国の印刷会社を訪問して実情を目にする限りでは、まだまだIPAを使用している会社が数多く存在しているというのが率直な感想です。

私も長年印刷に従事してきて、IPAの特長と、「魔法の添加剤」とも呼ばれる効果は十分理解しております。しかし、その反面で環境規制の対象物質であること。そして環境と人体に与える悪影響が大きいということを同様に理解していただき、全国の印刷会社の皆様には是非ノンIPA化を目指してほしいと思います。

以下にIPAの特長を簡単に記します。

  1. 増粘効果: IPAは60%の添加率までは粘度が上昇するという特性を持ちます。そのため、添加することで湿し水の粘度が増し、給水ローラー間のニップをより効果的に移動し、版面への供給量が増えることになり、より効果的に非画線部の汚れを防止出来ることになります。
  2. 表面張力低減: この10年で印刷機のスピードはどんどん高速になり、それに伴い給水ローラーも高速で回転するようになりました。このような条件下でローラー表面と版面上に均一に湿し水を供給するためには、分子量が小さく表面配向能の高い物質が必要になり、IPAは非常に優れた効果を発揮します。
  3. 乳化制御効果: 基本的にインキと湿し水の乳化によって、紙に印刷が施されます。乳化率の低いインキと湿し水の組み合わせでは非画線部の水の供給が不足し、汚れの原因になります。逆に乳化率の高いインキと湿し水の組み合わせではインキの転移不良やローラーストリッピングなどを引き起こします。IPAはインキの乳化を抑制し、より印刷を安定させる効果を持ちます。

ノンIPA化の高い壁さて、最近では環境対策の一環として「ノンIPA化」が図れる湿し水原液が各メーカーより市販されています。しかし、その様なH液に変更したからといって簡単にノンIPA化が実現できる訳ではありません。ノンIPA化を実現するには幾つかのポイントがあり、その点をしっかりと押さえないと失敗に終わるケースがほとんどです。特にUV印刷においてのノンIPA化は、油性印刷と比べて非常に難しいと言えます。

それでもノンIPA化を勧める理由は、最初に述べた「環境と人体に与える悪影響」、「年々上昇傾向にある印刷資材のコスト削減」、それともう一つ強調したいのが、「印刷技術のレベルアップ」という点で大変有意義な試みだからです。

IPAを使用すると多少印刷機の調整が狂っても大きく印刷品質には影響しませんが、ノンIPAの場合は、それが顕著に印刷に出てきてしまいます。つまり、ノンIPAでの印刷は、より高いレベルでのマシンメンテナンスに対するスキルが必要とされるため、自然に社内の印刷技術のレベルアップにも繋がるという利点があるのです。

私どもエスケー液製造では、お客様の「ノンIPA化」を効果的にサポートするべく、昨年末にノンIPA用湿し水「SK-1」を発売しました。「SK-1」はまだ販売期間が3ヶ月にも満たないにもかかわらず、既に10社以上の現場でノンIPA化を実現させています。

弊社の湿し水導入サポートの特長は、印刷経験豊富な技術スタッフがテストに立会い、お客様と一緒に機械の調整をしてノンIPA化を実現するというもので、成功率も高く、お客様には高評価を頂いております。

これを機に皆様の会社でもノンIPA化に向けて真剣に取り組んではいかがでしょうか?
ご用命頂ければ、弊社が全面的にバックアップする事をお約束いたします。

筆者:
 
No.037 メンテナンス元年 2009/01

明けましておめでとうございます。2007年11月にスタートしたこのコラムも新しい年を迎えることになりました。今年もオフセット業界の皆様の少しでも参考になる情報を発信していけたらと思います。宜しくお願いいたします。

さて、オフセット業界にとっては数々のチャレンジが待ち受けている2009年。 今年のトレンドに目を向けますと、「印刷機のメンテナンス強化」というポイントが見えてきます。

その背景には世界的景気の悪化や銀行の貸し渋りにより、印刷会社がなかなか新台を買えない現状があります。従来の印刷業界は、印刷機を買い替えることにより生産性の向上を実行してきましたが、もはやそれが難しい時代になり、現在保有している印刷機や生産現場の全体を見直して、経費削減や生産性の向上を図ることが必須の1年になると予測されます。

先進的な印刷会社では当たり前のように実行されている点ですが、「うちはまだまだだなー」という会社も多いのでは?

「不況に負けない無駄な贅肉のない筋肉質の現場を作る」


今年はそんな現場作りのお手伝いもして行きたいと、現在準備中です。
詳しくは営業技術部、府中までお問い合わせください。

電話 :06-6334-7300
Eメール : fuchu@lohas-print.com

筆者:
 
No.036 時代と共に変化をしよう 2008/12

2008年も早いもので師走になりました。今年の印刷業界は資材の値上げラッシュと不景気が重なり大変な1年となりましたが、印刷会社の中では儲けが出すぎて仕方がないという会社もあります。全ては時代を先読みしたビジネスプランとその実行努力による結果だと思います。

印刷市場では世界1のアメリカ市場では、インターネットが広まった1995年を境に、印刷会社数の減少が加速し、1995年に6万社あった印刷会社が今日では3万5000社にまで減少しているそうです。

日本でもその流れは起きており、この流れは誰にも止めることができません。従来のビジネスモデルを続けるのみでは成長は難しく、時代に合った新しいビジネスを作り上げることが必須の変革の時となっています。

大変な時期ですが、それだけにやりがいもたっぷり。来年も日本の印刷業界の明るい未来を目指して、盛り上げていきましょう!

当サイトも開始から1年が過ぎました。8月に開始したオペナビも利用して下さる企業様が増えてきて、嬉しい限りです。来年も皆様のお役に立てる情報やプロジェクトを提案していけたらと思います。どうぞ宜しくお願いいたします。

では、印刷業界の皆様、お風邪など召されませぬよう、お体に気をつけて良い年末年始をお過ごし下さい!

筆者:
 
No.035 化学物質審査規制法改定について 2008/11

先月の23日に経済産業、厚生労働、環境の3省合同委員会で、化学物質審査規制法(以下、化審法)を抜本的に改正する法案骨子がまとめられました。次の通常国会に改正案を提出し、2010年度の運用開始を目指す事になったようです。

化審法とは環境への蓄積性が高く、健康被害や環境汚染を引き起こす可能性のある化学物質について製造や輸入等を規制する法律で、1973(昭和48)年に制定されました。「新規化学物質については毒性についての一定の審査を行ない、環境を経由して人の健康を損なうおそれがある化学物質の製造、輸入及び使用を規制する。施行時点で使われていた既存化学物質については国が安全性点検を実施する。」という内容です。もっとも施行後、現在に至っても安全点検はあまり進んでいないのが実状のようですが。

今回の化審法の改定案では化学物質に対する安全基準をREACH(欧州で施行された化学物質規制)などの国際基準にすりあわせることを目的としていて、PRTR制度、GHS「化学物質の分類・表示に関する世界調和システム」の見直し、整合、そして化審法との一体的な改正を指向しているようです。

化学物質審査規制法の見直しフローイメージ前回のコラムで指摘しました「各化学物質規制制度のつながりがわかりづらい」が改善され、化学物質の有害性情報が充実していく事は、環境に対応した製品を開発する上で、歓迎すべき事と思います。

しかし、REACH規則に対しては、目的に照らして過剰な義務・負担を事業者に課しており(特に中小企業への負担が過度になりがちです。)、それによって欧州の化学産業の国際的競争力が損なわれる恐れがあるとの指摘もありますので、化審法の改定はその点が考慮されたものとなる事が望まれています。
筆者:
 
No.034 枚葉とオフ輪の違い(2) 2008/10

『枚葉とオフ輪の違い』第2回目の今回は、紙の違いについて書いてみたい。

枚葉とオフ輪では印刷機の仕様が異なるので、当然、印刷用紙にも違いがあるのだが、別段、材質等に違いがあるわけではない。元々は同一の工程を経て製造された用紙を枚葉用・オフ輪用と分けるのが主で、異なるのは用紙の形態である。

予め用紙の規格サイズにカットされているのが枚葉用紙。平積みで数百部を1梱包にして納品される。一方、オフ輪用紙は『巻取り』とも呼ばれ、カットされていない長い紙がロール状に巻かれている。ロールの中心には芯管と呼ばれる穴が開いており、見たことのない人のために付け加えるならば『巨大なトイレットペーパー』と想像してもらえれば良いだろう。

見た目は異なるものの元を正せば同じ紙。同じ銘柄の用紙で枚葉用・オフ輪用の2種が存在することもある。例えば『SKコート』という印刷用紙があったとすると、材質は同じで形状の全く異なる2種が用意されているわけだ。 (注…中には枚葉専用、オフ輪専用の用紙も存在します。)

以前、用紙を運搬するトラックの運転手さんが『四角い方』『丸い方』などと呼んで用紙を区別していたが、確かに、直接印刷に携わっている人間でないと、両者の違いなど四角いか丸いかの違いでしかないのだろう。しかし、印刷現場で働くオペレーターならば、例え自分の担当機械ではなくても、用紙の違いの意味も知っておいた方がいい。

二者の違いには、印刷機への紙の送り方が異なることが主たる理由にある。

『ツメ』と呼ばれる装置で用紙1枚1枚を挟み込み、印刷ユニットに用紙を送り込むのが枚葉印刷。言わばバトンリレーのようなものだ。一方オフ輪は、紙を送るのではなく引っ張ることで印刷ユニットを通過させる。トイレットペーパーを使用する時、ペーパーの軸を廻すのではなく、先端を引っ張ってカラカラカラッとやるのと同じ。引っ張られた紙が印刷ユニットを通過する際に着肉される仕組みになっている。

二者の違いを見れば、自ずと一つの結論に達する。それが、前号で述べた『印刷スピードの違い』である。用紙を1枚づつ受け渡していくより、一気に引っ張ってあげた方が当然作業を高速化することができる。例えるならば、ティッシュペーパーを1枚1枚取り出すのとトイレットペーパーをカラカラカラッとやるのとでは、後者の方が断然早い、ということなのである。

枚葉とオフ輪。印刷スピードが最大の相違点。

オフ輪の歴史は枚葉より浅い。印刷機の高速化を目指していた設計者が今のオフ輪の基本形を思い付いたのは、ひょっとするとトイレではなかったのだろうか?

などと想像するのも楽しい。

筆者:
 
No.033 印材コストの削減について 2008/10

数年前から多くの印刷現場では、「印材コストの削減」が主要課題となっている。特に今年は原油価格の高騰に伴い印材の値上げが続いているので、これまで以上にコスト意識は高まっているのではないかと思う。自分は印材コストを削減するには、「現場での意識徹底」と「生産性を損なわない印材の選別」の2つが成功の鍵を握ると考えている。今回はこの2点について書きたいと思う。

まずは「現場での意識徹底」だが、自分が訪問する印刷会社でしばしば見かけるのは、資材担当者は高いコスト意識を持っているが、実際に印材を使うオペレーターはコスト意識を持っていないというケース。原因としては現場のオペレーターに印材の価格が知らされておらず、現場では印材は使い放題の状態で、会社の方針がうやむやになってしまっている場合が多い。

例えば、高額な印材であるブランケットの市場での相場は菊半サイズで8,500円、菊全サイズで15,000円前後。大抵、資材担当者は価格交渉を重ねることで14,500円、14,000円といった値引き価格で購入していると思うが、異物混入のために全ての胴のブランを潰してしまうとすると菊全4色機で約60,000円、8色機で約120,000円の損害が出ることとなる。こういった経験はどこでもあると思うが、果たして現場の全員がその損害の大きさを認識しているだろうか。

「現場での意識徹底」に向けての改善方法としては、現場に印材の価格表を貼りだし、「価格の見える化」を行うことで作業者全員の意識を高める方法がもっとも効果的だと思う。ぜひ参考にして頂きたい。

次に「生産性を損なわない印材の選別」だが、全国の印刷会社を訪問していると、コスト削減のために安い洗浄剤を使い出したが、かえって使用量が増えてしまったり、洗浄力が足りずにカルシウムやストリッピングの発生も増えて以前よりも小まめなメンテナンスが必要となってしまったり等とコスト削減が裏目に出てしまった話をしばしば耳にする。ブランケットにおいても安い製品を使い出したものの、交換頻度が増えたために、年間ベースで考えるとコストが上がり、加えて印刷機の生産性も悪化させてしまったというケースも多々ある。

このように、コスト削減といっても単に単価の安い製品を使えば良いという訳ではなく、「いかに印刷機の生産性を落とすことなくコストが削減できるか」という点としっかりと見極めてから資材変更を行うべきだと思う。

「逆も信なり」という諺もある通り、時にはコストの高い製品を使い続けるという事が正解である場合もある。例えば、当社のロングヒット製品であるABCウォッシュ。この洗浄剤は、強力な洗浄力を持つだけでなく、グレーズの除去、さらにはゴムローラーを長持ちさせる効果も兼ね備えており、使用することにより洗浄時間の短縮と同時に、ローラーに関するトラブルを解消し、結果的には印刷不良の減少と印刷機の高い生産性を可能にするという一石二鳥の製品だ。コストだけを見てしまうとやや高価な洗浄剤ではあるが、コスト以上の効果を発揮するからこそABCウォッシュは長年に渡るヒット商品になっているのだと思う。

このように印材のコスト削減には、目先の価格問題に捉われず、「印刷トラブルを減少できるのか?」「機械のメンテナンス時間を短縮させ、生産時間の向上に繋がるのか?」など、視点を広げて総合評価をする事が大切だと思う。

もし御社が資材コスト削減でお困りの場合は、是非当社にお声を掛けて頂きたい。経験豊富な印刷技術者が御社の担当者と共にコスト削減を実現致します。
筆者:
 
No.032 中国ならではの印刷物 2008/09

先日、弊社の中国拠点がある大連を訪問し、現地の印刷会社数社で技術サポートを行ってきた。今回はその時に感じたことについて書きたいと思う。

大連の印刷会社で導入されている印刷機はハイデル、ローランドが主流で、リョービや中国メーカーの北人などがそれに続いている。もっとも、北京や上海地区では小森や他の日本メーカーの印刷機も多数存在すると聞いており、状況は殆ど日本と変わらないと思われる。

では、日本の印刷状況と中国の印刷状況では何が違うのだろうか?

自分が一番感じたことは、 所有印刷機の数に対して従業員の数がとても多いということ。ある会社は所有印刷機2台で従業員数300名、別の会社は所有印刷機1台で従業員数200名を抱えていたので、ビックリした。この2社では従業員のほとんどが後工程の部門におり、黙々と手作業で仕事を行っていた。

製品例を挙げると、日本の高級デパートやアパレルブランド向けのペーパーバッグが主で、近年ではこれら高級手提げ袋の6割強が中国で製造され、日本に輸出されているそうだ。

各ブランドが差別化を図るツールの一つとして挙げられているペーパーバッグは、年々より手の込んだ仕様へと変化しており、手作業でしか対応できないレベルに達した物も数多くあるそうで、後工程に人数をかけられる中国ならではの印刷物だなと感じた。品質的にも日本で製造されている手提げ袋と遜色がなく、中国の印刷レベルの向上を感じた訪問であった。

筆者:
 
No.031 ロハスな無料求人スペース始めます 2008/08

今年に入り、原油価格高騰による印刷資材の値上げラッシュで、印刷会社のコストアップは増々大きくなっています。

それに加えて、年々進行する少子化傾向は印刷業界においても例外ではなく、良い人材の確保が難しい「人材難」という問題も出てきているのではないでしょうか。

採用・募集活動におきましては、現在、多くの印刷会社が大手人材会社のサービスを介して行っていると思いますが、その際にかかるコストは、例えば約2週間の掲載で30万円以上もかかってしまうなど、大変高額。コスト削減を第一に考えなければならない状況下で、この投資は決して容易なものではないと思います。

そこで、オフセット印刷.netから新しいご提案です。

この度、当サイトでは、完全無料の求人スペース「オペナビ」を開始することに致しました。

仕組みは簡単。

企業側(印刷会社様)は所定のフォームに募集内容を入力し、当方がそのまま掲示板形式で「オペナビ」スペースにアップ。そして募集内容に興味を持ったオペレーター様が、企業側の指定連絡先に直接コンタクトを取るという流れになります。

当サイトのアクセス数も少しつロハスな無料求人スペース:オペナビづ増えてきておりますので、もしかすると予想以上の効果があるかもしれません。

「印刷業界の資金の流出防止!」

ロハスな印刷業界を目指す当ホームページからのささやかなご提案です。

是非ご活用下さい!

筆者:
 
No.030 REACH規制について 2008/08

今回は、欧州連合における環境対策の法律であるREACH, Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals (リーチ規制) について説明したいと思います。この法律は EU内部での法制化審議手続を経て、2006年12月にEC規則 として可決され、2007年6月より発効されました。

この規則は既存の化学物質で年間1トン以上使用する製造品・輸入品に対して、その生産者・輸入者が人類・地球環境への影響について調査し、欧州化学庁に登録・公開することを義務づけるものです。情報は原則としてインターネット上で無料公開されます。誰にでも登録できるわけではなくEU内の企業に限定され、域外の業者は域内の業者に登録の代行を依頼するか「Only Representative」と呼ばれる法人に代行させることになります。

対象物質3万種で、登録されない化学物質は域内の製造・輸入・販売を禁止させられることになります。対象物質3万種の内、約1,500 種の物質が「非常に高い懸念のある化学物質」の範疇に入ると推定されています。これらの物質の使用は庁の承認が必要で、この承認については、その物質を安全性がより高い代替物質への切り替えが困難であり、かつ産業活動上使用が不可避な場合にのみ下ることになっています。さらにこの承認を受けるためには、別物質への代替化検討の計画書の提出が求められます。

EU 化学物質政策ディレクターの ナディア・ハヤマ博士は『今日知られている約10万4,000種の化学物質の全ては1981 年以前から製造されているものである。これらは“既存”物質と呼ばれるが、それらが危険なものであるかどうかを調べるためのテストは今までに実施されたことがない。 1981 年以降に市場に出された約4,000 種の“新規”物質に関しては、よりよいデータがある』と指摘していますが、EUに限らず、それは日本においても同じで、製品に使われるいくつもの化学物質のうち有害性が調査、検証されている物質はそれほど多くないのが実情のようです。
EUのREACH。日本のPRTR、MSDS、GHS
以前のコラムでも指摘しましたが、日本の化学物質規制であるPRTR、MSDS、GHSは肝心の有害性情報が不十分な上、各制度のつながりが解りづらいので、日本でも REACH規制のようなアプローチで既存の化学物質の安全性を早急に明らかにする事、化学物質規制が分かり易くなり、化学物質の有害性情報が容易に入手できるようになる事、より安全な物質の開発と置き換えが推進される事が期待されます。

筆者:
 
No.029 枚葉とオフ輪の違い(1) 2008/08

今回からは枚葉とオフ輪の違いについて書いてみたい。

両部門を併せ持つ印刷会社は数多くあるが、そこで働くオペレーター方は、実は互いの印刷機仕様については、あまり理解していない場合も多いようだ。営業マンとして印刷現場を廻っていて「オフ輪の圧胴ってどこにあるの?」というような見当違いの質問をぶつけてくる枚葉オペレーターも実際に存在する。
自分は、枚葉・オフ輪・フォーム系印刷のオペレーターが集まる飲み会に、年に数回参加するオフ輪?枚葉?のだが、そこでは「印刷機仕様の違い」「仕事の進め方の違い」などの話題で場が非常に盛り上がったりする。そして「へぇ、オフ輪はそんなやり方するんだ」という風に、意外そうな顔をする者が多いのだ。自分の知り合いに枚葉とオフ輪の両方を経験したオペレーターがいるが「似て非なるもの」というのが率直な感想だそうだ。

印刷の世界も多様化の時代になり、また少人数制でコスト削減を図るのが一般的になりつつある。絞り込まれた少数社員で、数種の印刷機を廻せるスタイルが、これからの時代のニーズになるのは間違いない。そのためには、異なる印刷ジャンルについても今から学んでいく必要があるだろう。
一冊の書籍を考えてみても、表紙は枚葉、本文はオフ輪と別々に印刷することは今や当たり前で、中には見開きページを両者で合わせなくてはならない場合もある。お互いを知ることは、現在の仕事を進める上でもきっと役立つはずである。

数回に渡って両者の違いを書いてみたいが、基本的な話が多く、ベテランの方には退屈な内容になってしまうかもしれない。しかし今回からのコラムは、お互いの違いを知ることに重点を置いているので、その点は容赦してもらいたい。

第1回目としては、先ず、二者の最大の違いについて述べたい。

それは「スピード」である。

当たり前過ぎて申し訳ないが、具体的な数字を挙げたいと思う。
枚葉とオフ輪では用紙サイズが違うため、厳密な比較は出来ないのだが、枚葉機の印刷速度が9000〜12000部/ h程度であるのに対し、印刷速度比較オフ輪は36000〜48000部/hが平均的な数字だ。
単純に考えれば、オフ輪は枚葉の3倍以上の速度で仕事をこなせるのであるから、全ての印刷物がオフ輪へと移行しても良さそうだが、二者には印刷品質の違いというものも存在する。その違いは印刷胴などの機械構造の違いから生じるのであるが、その話は次回以降に。

筆者:
 
No.028 ローラー洗浄のポイント 2008/07

現在の印刷機にはローラーの自動洗浄装置が付いており、ローラー洗浄と並行して別の作業を行なう事が出来るので、作業性を上げる効果的な機能として使用されています。特に最新鋭の印刷機においては、自動洗浄を行う際の回転スピードが大幅にUPしているので、さらなる時間短縮が可能となっています。しかし、ローラー洗浄を自動洗浄のみに頼るのは少々問題があると感じています。

1つ目の問題点は色替え時のローラー洗浄です。大半の印刷機では特色の使用を余儀なくされ、それに伴い色替えが発生します。特に濃い色から淡い色に切り替える場合や、OPニスを使用する際には、前の色がローラーに残りやすく、キレイに見えても…それをしっかりと落とす為にローラー洗浄に時間をかける必要がありますが、自動洗浄に使われる灯油もしくは灯油系洗浄剤の洗浄力が足りない為、ローラーの表面に付着したインキを洗い流すことは出来ても、ゴムロール内部に浸透したインキを落とす事が出来ないのが現実です。その為、次の印刷に前の色が出てしまう不良がしばしば発生してしまいます。。

2つ目の問題点は、カルシウムの付着についてです。ここ数年、カルシウム付着によるローラーストリッピング等のトラブルが多発しています。カルシウム付着の一番の原因は印刷用紙である事は確かですが、色替えの場合と同じく、灯油系溶剤にはカルシウム除去効果が無い為、自動洗浄ばかりを頼ったローラー洗浄ではカルシウムがローラーに蓄積してしまい、ローラーストリッピングを発生させてしまうのです。

近年の印刷会社では、材料費のコスト削減に力を入れている事が多く、その中でも消費量の多い洗浄剤はコスト削減のターゲットとなりやすくなっています。しかし、安価な洗浄剤はローラー洗浄の質を下げてしまい、様々な印刷不良の原因を作ってしまいますので、刷り直しが増えたり、機械のメンテナンス時間が増えたりと逆効果もありえますので資材の選定には注意が必要です。

その反対に、洗浄力の高い洗浄剤を使用すると、一見コストは上がったように見えますが、実は少ない使用量でローラーに浸透したインキを落とす事が可能になりますので、使用量の削減と洗浄時間の短縮、さらに、カルシウム除去効果も含まれていれば、専用のカルシウム除去剤の使用量を減らす事ができ、ローラーストリッピングの防止、そして最終的にはローラーの交換周期や印刷機の生産性にも好影響を及ぼします。

安価な洗浄剤と洗浄力の高い洗浄剤

弊社では、ローラー洗浄に関わるトラブルやコスト削減のお悩みについて解決する為に、洗浄剤の選定から実際の印刷機を使っての洗浄デモンストレーションを行っております。現在のローラー洗浄方法がベストではないなとお感じの場合は、お気軽に弊社営業技術部までお問い合わせ下さい。電話:03-3856-5111

筆者:
 
No.027 今、何故UV印刷なのか? 2008/07

従来UV印刷と言うと特殊印刷やパッケージ印刷が主流でしたが、近年は一般商業印刷分野でUV印刷機を導入するケースが非常に増えています。では、何故よりコストの掛かるUV印刷が増えているのでしょうか?

一部で景気回復の兆しが有ると言われている中、我々の印刷業界は以前に増して厳しい状況が続いています。用紙の値上げ、原油価格の高騰による諸材料の値上げなどで製品原価が上がる一方、印刷各社の低価格競争が激しく、原価高を販売単価に反映出来ないのがその背景にあります。それでもコストの高いUV印刷機を導入するのにはそれなりの理由が挙げられます。

  1. 用紙以外の特殊原反への印刷が可能。
  2. 後加工が直ぐに行える。
  3. デリバリーでの棒積みが可能。
  4. 乾燥待ちのスペースを削減。
  5. スプレーパウダーが不要。
  6. 耐摩擦性に優れている。

UV印刷-短納期を実現。

UV印刷により、高付加価値印刷や短納期を実現させ、これらを武器に受注量を増やす。また、作業改善を図り、稼働率のアップと不良率を軽減させて無駄な経費を削減する。この差別化と作業改善で現在の厳しい状況を打破しようとしている印刷会社の意図が伺えます。

他社と同じ方法で同じ仕事をしていては、価格競争を招くことになり、またその競争からも脱落していく危険性があります。近年のUV印刷の増加は上記のメリットを最大限に活かし、他社との差別化を図る事が生き残りの手段と捉えている会社が増えているのが背景にあるのだと思います。

しかし、メリットもあるUV印刷ですが、当然デメリットもあります。この点についてはこれからのコラムで触れられたらと思います。

筆者:
 
No.026 ドルッパと印刷業界のグローバル化について 2008/06

ドルッパ出張の為、コラムの更新が遅れてしまいました。どうも済みませんでした。

17ホールに渡る広大な展示場4年に1度の印刷の祭典であるドルッパに行ってきました。4日間の通し券がなんと3万円もする!としょっぱなから驚かされましたが、17ホールもある展示会場をランニングシューズ(絶対にお勧め)で歩き回り、最新の印刷事情を吸収して来ました。

ドルッパ中は各国の印刷関係者がデュッセルドルフに集まり、街は一種のお祭り騒ぎになります。ドルッパはデュッセルドルフの街を上げてのイベントなので、バス停等のいたる所に、「ようこそドルッパへ」といった広告が張ってあります。展示会の後は、関係者が一同、旧市街に集まり、ビールを酌み交わしながら、騒いでいるのもドルッパ名物となっています。

当社の一行も、毎晩海外取引先との夕食の連続で、華やかなドルッパの雰囲気を満喫して来ました。

そんなある日の事ですが、イギリスの取引先と夕食をした所、スロベニアの資材会社、ポーランドのローラー会社、リトアニアのハイデルベルグの営業さんも参加する事になり、ちょっとした印刷ワールドカップが始まりました。ポーランドの印刷技術者と湿し水の導入方法を議論したりして、当社の技術も楽しんでいました。当社は海外の多くの国々と取引をしていますが、今まではいわばアメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、フランスといった先進諸国が主で、東欧の国々は初めて。しかし、印刷業界のグローバル化が進むこれからは、このような国々の人達とも取引をしたり、競合をしたりするんだろーなーなどと考えつつ夕食をしました。

今年になり業界縮小のスピードが進んでいる日本のオフセット業界。これからの時代は市場を日本だけではなく、お隣の中国やアジア全体に向けなければと当社も現在中国で活動中です。

ランニングシューズでひたすら歩くそんな時に支えとなるのが、日本人の良さである勤勉さ、ディテールにこだわる繊細さ、そして「お客様は神様です」というフレーズに象徴される日本特有のおもてなしの心。これらを武器に世界からの競合と闘っていく時代が来ていると感じた今回のドルッパでした。

筆者:
 
No.025 MSDS・GHSについて 2008/05

今回は基本的な化学物質管理制度の一つである『MSDS』、『GHS』について説明したいと思います。

「MSDS制度」とは、対象化学物質が含まれる製品を他の事業者に提供する際に、「製品安全データシート:Material Safety Data Sheet 」と呼ばれる、化学物質の性質、危険性、取り扱いに関する情報を事前に提供することにより、化学物質の適切な安全管理に役立てることを義務づける制度で、法律、政令で指定されるMSDS提供義務のある化学物質は約1500物質あります。

「MSDS制度」も2008/2/4(No.010)のコラムで説明した「PRTR制度」も化管法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)に基づいて導入された制度で、両制度の実施により事業者による化学物質の自主的な削減努力を促し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的としています。(※ユーザー事業者は提供されたMSDSの情報からしか、PRTR届出の必要を判断できません。)

MSDSは国際物流においても重要ですが、これまで各国でその内容などが異なっていたため、これを統一したものにしようと国連が各国に勧告・公表したのが「GHS」です。GHSとはグローバル・ハーモナイズ・システム(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)の略になります。化学品の危険有害性に関する情報を正確に伝え、安全と健康を確保し、環境を守るという目的で、化学製品に関する危険度が一目でわかるよう、世界的に統一した基準で分類して製品に絵(シンボルマーク)で表示する制度です。平成18年12月1日には日本でも導入が実施されました。MSDSにシンボルマークで表示・提供義務のある物質は約640物質、内99物質は製品容器ラベルにシンボルマークで表示する義務がある物質です。しかし、この数字は「すべての有害物質を対象にする」というGHSの本来の趣旨から考えると、少ないと感じられるのも否めません。

また、MSDS、GHSいずれの制度も、化学製品が製造・輸入業者→中間業者(加工、卸売、小売)→消費者という過程で、情報を消費者に伝えるまでは義務づけられていないので、(*中間業者=消費者の場合は除きます。)消費者は自ら情報を集めなくてはいけません。その場合、内容も専門的な上、各制度の関連が複雑で理解できないのが実情です。

『消費者に化学品の危険有害性に関する情報を正確に伝え、安全と健康を確保する』という化学物質管理制度の基本的な目的実現の手段になるように、今後、包括的でわかりやすい内容に制度改正されることが望まれます。 

弊社でも、お客様(中間業者=消費者)に製品を紹介させて頂く際に、製品のラベル表示、技術資料・カタログ・MSDSなどから危険有害性情報を提供させて頂いていますが、これからも内容面で、よりわかりやすい表記を心がけたいと思います。
筆者:
 
No.024 飲み会のススメ 2008/05

さまざまな印刷会社を訪問して現場を見ていると、早番・遅番・他チームとの意思疎通ができていなかったり、後輩へきちんと仕事を教えていない会社が割とあると感じることがある。

この傾向は、オフ輪工場で特に感じるのだが、その理由は以下の2つが根底にあるのではないかと自分なりに考えている。

(1)工場が都市部・駅から離れた地域(工業団地等)にある
(2)交代制を実施している

(1)は環境問題等の関係上、むやみに住宅地近辺に建設できない事情からなる。また、オフ輪工場は広い敷地を必要とするので、家賃の都合もあり、近年は郊外に工場を構えるのが普通になっている。

(2)は以前のコラムにも書いたが、印刷単価の下落・短納期に対応するため、印刷機をフル稼働させる必要が生じたからである。現在のオフ輪会社は、2〜3チームの交代制(24時間制)を敷くのが主流となっている。

これがなぜ、意思疎通の欠乏につながるのか? 理由は1つ。
『飲みに行けないからである。』

あえて酒の席にする必要はないかもしれないが、職場から離れた場所で飲んだり食べたりしながら、普段は交流する機会の少ない他チームのメンバーとゆっくり話をすることは、非常に有意義であると思う。勿論、職場ではノートなどに申し送りを記入し、必要事項を伝達しているとは思うが、食事でもしながらゆっくりと話をすれば、普段言いにくいことや細かなことまで伝えられるはずだ。

また、若手オペレーターは、先輩に仕事を教わる大チャンスでもある。印刷現場というのは非常に慌ただしい場所なので、作業をしながら親切丁寧に細かいところまで教えるというのは、実際問題としては難しい。飲み会の席は、若手オペレーターが、日頃疑問に思っていることを先輩から聞き出すのに、絶好の場となる。

自分のオペレーター時代初期は、幸運にも会社が駅から近いところにあり、さらに24時間制も行なっていなかったので、印刷部全体での飲み会がよく開催されていた。その席で日頃の疑問を先輩オペレーターにぶつけ、また、他チームのメンバーと仕事の進め方などの意見交換ができた。今思えば、現場で汗水流すのと同じくらい貴重な時間だったと感じている。

(1)や(2)の体制ができあがってしまっている印刷会社では、全オペレーターが出揃うような飲み会の開催は非常に難しいことである。さらに、営業部員と連携するために、印刷機を停め、時間を作る必要もあるだろう。しかし、このような飲みニケーションが機能すれば、現場の連携がアップし、若手の技術が向上し、ベクトルが一致し、結果として部員が一丸となって印刷品質を追求するような現場発の相乗効果が生まれると思う。

あなたの会社でも、年に数回、印刷部全体での飲み会を開催してみてはいかがだろうか?

筆者:
 
No.023 ブラン下の胴仕立てについて 2008/05

ブラン下の胴仕立ては安定した印刷品質を求めるうえで非常に重要な役割を担っている。その標準的な仕立て方法は、ブランとブラン胴のベアラーを同じ高さに仕立てるものだが、ブランや下紙のヘタリを考慮して0.05mm高く仕立てる「オーバーパッキング」が現在の主流となっている。仮にそれ以上高く仕立ててしまうと、網点太りやダブり、さらにローラー目が出やすくなる等のトラブルを招くので絶対にNGとなる。逆にベアラーに対して低くなればなるほど、網点やベタの着肉不良に繋がるのでこれもNG。胴仕立ての100分の1mm単位のわずかな違いが、印刷の再現に影響を与えるのである。

しかし、この重要な胴仕立ては、湿し水の管理やローラー調整等と比較して、軽視されがちな存在である。

その理由の一つとして、シリンダーゲージを用いた計測方法にあると自分は見ている。シリンダーゲージでの仕立ては、ブランとベアラーとの高さの差を計測して割り出すものだが、シリンダーゲージは曲面のブラン胴に密着させるので、少しでも手元が狂えば大きな数値の変化を招いてしまう。計測は100分の1mm単位で行なう為、何度測っても数値が安定せずに最終的には計測を諦めてしまうパターンが多く、その結果として仕立ての計測そのものを怠ってしまう傾向が強いと自分は考えている。実際に、営業訪問や技術訪問の際に客先で仕立て管理についてよく質問するが、管理意識をしっかり持っている会社は数えられる程少ない。大半の印刷会社は、上記のような理由で仕立て管理から遠のいているのだと推測する。

この問題を解決する為に、当社で扱っている『デジ・ブランケット』というパッキングゲージを紹介したい。この製品は、仕立てをブランとベアラーの高さの差で計測するのでは無く、仕立てそのものをデジタルの実測値で表示する特徴を持つ。例えば、ブラン1.95mm+下紙0.9mmで仕立てた場合、2枚の合計となる2.85mmと表示される。デジ・ブランケットを使うとセンサーをブランケットに当てるだけで、「2.85mm」と表示されるので、測定がとても簡単。そして、ブランケットを使い込んでいくうちに数字が減少してくるので、ヘタリ具合も一目瞭然となる。最近では、ベアラー部分が隠れてしまっている印刷機も多くあるので、このような機械では特にユーザーでも喜んで使用して頂いている製品だ。

計測についての問題を解決したら、後はどこまでのヘタリを自社の許容範囲とするかを決定してしまえば仕立て管理は完璧。許容範囲は印刷機や使用しているブランによって変わると思うが、新品の状態からマイナス0.07mm辺りがラインとなる。これを超えてしまった場合は、胴張り用紙の追加やブランケットの交換を行ない、規定の高さまで戻すことで着肉不良などのトラブルを防ぐことが出来る。

より安定した印刷物を作り出す為には、仕立て管理についても、是非一度再検討して頂きたい。特にCMSを実行もしくは検討している場合には、しっかりとした管理を行ない、常に同じ胴仕立ての状態で印刷を行なえるようにするべきだと思う。

筆者:
 
No.022 drupa(ドルッパ)2008に向けて 2008/04

印刷業界に携わっている人であれば、「drupa(ドルッパ)」という展示会はご存知でしょう。

「drupa」は、世界1の規模を誇る印刷関連の総合展示会で、4年に1度ドイツのデュッセルドルフで開催されています。印刷業界には、「PRINT(アメリカ)」、「IPEX(イギリス)」、「IGAS(日本)」、そして「drupa(ドイツ)」という世界4大展示会があり、「drupa」はその中でも最大規模。毎回オリンピックイヤーに開催される事から、「印刷界のオリンピック」とも呼ばれており、今後の印刷界の鍵となる新技術が発表される場として、世界中から注目されています。

drupaの歴史ですが、今から57年前の1951年に、当時のハイデルベルグ社のシュテルンベルグ社長の提唱の元、第1回目が開催されたそうです。ちなみに、この「ドルッパ」という言葉ですが、ドイツ語のドルック(印刷)と、パピル(紙)を合わせた造語とのことです。

今年は第14回目となるdrupaの年で、5月29日から2週間にわたり「drupa2008」が開催されます。発表資料によると、会場面積は、前回の16万uから17万uに拡大、参加企業は18,000社を予定し、50年の歴史の中で最大規模のイベントになるそうです。

過去3回のdrupaを見ると、95年は「CTP drupa」、2000年は「デジタル drupa」、2004年は「JDF drupa」と呼ばれました。今回は「インクジェットdrupa」になると予想されており、各社の新機種の完成度が注目されています。

私は、印刷業界に20年以上携わっていますが、このドルッパで発表される新技術にいつも驚かされています。今回は、どのような新技術に巡り合えるのか、今から非常に楽しみにしています!

筆者:
 
No.021 そろそろ植物油でしょう 2008/04

原油価格の値上がりが止まらない。Yahooで「輸入原油価格」と検索してトップに出てくる垣見油化のデータによると、今年2008年2月の原油価格は1バレル(159L)92.7ドル。昨年の2007年の2月は55.08ドルなので、この1年間でなんと68.5%も上昇している。

石油ベースの材料を大量に使用する印刷業界は必然としてこの上昇の波に巻き込まれている。馴染みのインキメーカーの人間と最近話したが、昨年やっとの思いで値上げを敢行したが、その後も原油価格は上がる一方で、実際は再度値上げが必要で、他社の出方を伺っている状況とのことだ。

そんな中、今回のコラムで紹介したいのが、植物油ベースの洗浄剤「エコウオッシュ」。当社が1996年より販売しているスイス製の洗浄剤で、すでに12年の実績を持ち、全国の印刷会社で使用して頂いている。

石油系洗浄剤とは違い、植物油ベースの洗浄剤なので、オペレーターの健康にもやさしく、工場内の臭いも抑え、万一下水に流れてしまっても微生物分解性を持つので安心という、文字通りエコな洗浄剤だ。

この製品は絵画の画家さん達にも人気で、全国の印刷会社に交じって、個人の画家さん達からも注文が入るユニークな存在。臭いのきつい石油系のクリーナーと違い、明らかに体に良いと実感ができる、との評価を頂いている。

なにせ、一番の魅力は原材料が植物であるということ。これから枯渇していく石油と違い、資源に限りがないため、値上げの心配が一切なし。実際現在の価格は12年前の発売当初と全く同じである。

石油製品を使い、これから毎年のように舞い込む値上げのお知らせに激怒し続けるよりも、いっそ植物油の洗浄剤に移行して、心にも体にもやさしく印刷をするのはいかがだろう?

そろそろ植物油でしょう!

筆者:
 
No.020 PFOAとPFOSについて 2008/04

最近、弊社製品にPFOA(パーフルオロオクタン酸)または、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)が原料として使用されていないかとの照会を多く頂いてますので、この場をお借りして、PFOA、PFOSとはそもそもどのような物質かについて説明したいと思います。

この2種類の物質は、化学構造的に直鎖状に並んだ8個の炭素原子すべてにフッ素原子が結合しており、末端にスルホン酸基(PFOS)やカルボン酸基(PFOA)が結合した構造を有することから、水だけではなく、油や有機溶媒も弾くという特殊な性質があります.その利便性から、類似化合物を含めて日用品にも多く使われており、その用途は界面活性剤(洗浄剤)、消化剤、焦げ付かないフライパン(商品名:テフロン、シルバーストーン)、紙のコーティング、防水スプレー(商品名:スコッチガード)、車のワックス,撥水加工のレインコート(ゴアテックス)、防汚剤等として幅広く使用されています。

このPFOAとPFOSという物質は、半世紀以上使用されてきたにも関わらず、近年、人間、動物に対する高リスク(発がん性、免疫系障害、生殖障害、先天性障害)が確認されており、世界的に使用規制がかかっています。

PFOAとPFOSの最も大きな問題は、環境中で分解する能力が全く無く、生物蓄積性をもつ事です。他の残留性有機汚染物質ですと、少しは環境中で分解して行きますが、この2つの物質は、たとえ製造が禁止されても、過去に製造された分が永久に自然界に残留し、環境、食物連鎖を通じて、再び拡散し続けるであろう言われています。事実、現在では製造メーカーが生産を中止したり、全体の生産量は大幅に減少していますが、この2つの物質は環境中から検出され続けています。

環境中で検出されているPFOAとPFOSの源と経路が現段階では科学的に解明することが出来ない為、これらの物質は完全に使用禁止とはなっていませんが、各国で削減を促す規制が増えています。

EUではPFOS規制があり、EU内へ運び込まれる産業製品の指定含有量が最大0.005%と決まっています。北欧のストックホルム条約では残留性有機汚染物質(POPs)としてPFOSが追加提案されています。アメリカではEPA(米国環境保護局)が特定の州で飲料水源中のPFOA許容濃度を定める方向で動いています。日本では、第二種監視化学物質(化審法)に指定されています。

印刷関係では写真平版プロセスや産業的写真コーティングなどで使用されているようですが、弊社製品郡(洗浄剤、湿し水等)でPFOA、PFOSを含有している製品はありませんし、弊社の方針として、今後の製品開発でもPFOA およびその他の化学物質で環境中や人間の体内でPFOA に分解する可能性がある原料は、使用しないようにして行きたいと考えております。

筆者:
 
No.019 目指せ90点 2008/04

印刷現場で約10年間働いて思い知ったことがある。

それは「印刷で100点満点は不可能」ということ。

のっけからネガティブな発言で申し訳ないが、少し我慢して読み進めていただきたい。

印刷現場では見本紙を参考にして色を合わせていく。今さら説明するまでもないことだが、見本紙とは色調、誤字・脱字の有無などを予めお客様に確認してもらい、OKをいただいた印刷物である。

ところが、見本を刷った印刷機と本印刷の印刷機は異なることが多い。印刷機の機種が違うと、同じように色を表現することが難しいのだ。

また、くわえ側・くわえ尻側でうまく色を調整出来ないこともある。くわえ側は赤くしたいが、くわえ尻側は赤味を抑えたいなんていうのはよくある話。片側を見本に合わせれば、もう一方は当然、見本紙と異なってしまう。

見当も同様のことが言え、駆動側(G側)が合っても操作側(M側)がズレてしまうことなどは多々ある。

このような場合、

    1. 2者の中間に合わせる
    2. 重要な面(表紙・広告面など)を中心に合わせる

などの措置を取る。

見本と全く同じは不可能だとしても、どれだけ見本紙に近づけることが出来るかが、オペレーターの腕の見せ所となるのだ。

もし見本と寸分違わぬ100点満点を目指すとしたら、印刷の度に版をデータから作成し直したりインキを変更したりと、そこには膨大な時間と費用が掛かってしまう。そして、例えそれを実行したとしても、見本と全く同じようには印刷出来ないだろう。自分は10年間のオペレーター生活で「今日は完璧だ」と思えたことは1度たりともなかった。

そこで発想の転換だ。

100点を目指すのではなく「いかに減点材料を減らすか」と考えるようにしたらどうだろう。ネガティブ要素をポジティブに変換するのだ。 「完璧にやれ」と言われると、人はウンザリしたりプレッシャーで潰されそうになったりするが、「なるべくマイナス要素を減らせ」なら実現可能で目指しやすい。目指すべくは90点台なのである。

マイナス材料を減らす土台には、印刷機や印刷現場の環境を、常に一定の高水準に保つということが挙げられる。

例えば

  1. 日常的なグレーズ・カルシウム処理、ローラー調整でローラー状態を安定させる。
  2. 温湿度計など使用しながら空調・加湿を管理し、インキ・紙の品質を保つ。
  3. 湿し水を安定させるために、H液を定量装置で管理する、循環機を定期的に清掃する、水温のチェック・調整をマメに行なう。
などなど。

90 点を目指す上で、取り敢えずは70点は確実に取れるような用意をしておきたい。この70点分が今述べた日頃のメンテナンス・環境管理なのである。印刷材料メーカーは、この70点をコンスタントに取るお手伝いの為に存在していると言ってもいい。だからこそ自分達が印刷現場を訪問した時には、要望や質問の声をどんどんぶつけて欲しい。

そして、残りの20点は…

それはオペレーターさんの腕に掛かっているのです!

筆者:
 
No.018 ローラー交換サービスを通して 2008/03

昨年から当社ではローラー交換サービスを開始している。私は印刷オペレーター出身なので、普段の営業活動に加えて、ローラー交換サービスのメンバーとしても活動をしている。印刷機のゴムローラーの交換目安は、インキング部で1年、給水部では半年となっている。定期的な交換を行わないと、インキや湿し水が正しくローラーを伝わらない為に、インキの転移不良や汚れ、ゴミの付着等の問題が発生する。しかし、交換には時間がかかり、1ユニットの交換で最低2時間を費やすのが実状。更に、ユニット内部の清掃等を含めると実際には3〜4時間かかってしまい、印刷機が4色機ならば1日、8色機ならば2日機械を止めて作業を行うこととなる。言うまでもなく、印刷会社が1日機械を止めることは大きな生産ロスに繋がる。そこで、週末などお客様の空き時間を利用してローラー交換作業を代行するのが、当社のローラー交換サービスである。

作業の流れとしては、ローラーを外す→金ローラー磨く→ユニット内部の清掃→ローラー組み込み→ニップ調整→印刷立会いという流れで進行し、所要時間は2人作業で1ユニット4時間前後となる。ポイントとなるのは金ローラー磨きの部分で、金ローラーに蓄積したグレーズやカルシウム成分を、当社のグレーズリムーバーで念入りに磨き、金ローラーも新品同様に仕上げてから組み込んでいる。それにより、ローラーストリッピング等のトラブルが大幅に軽減されるとお客様から好評を得ている。

また、ニップ調整ではデジニップを使い調整を行っている。デジニップを使用することでニップ調整の時間が従来の半分以下に抑えられ、なおかつ正確で的確な調整が出来るので、作業をする側も楽だし、お客様にとっても時間でチャージされる作業費が低くなるので喜ばれている。

ローラー交換の仕事は印刷機の止まる週末に入ることが多いので、休日出勤を余儀なくされてしまう。しかし、ローラー交換での訪問は、普段の営業訪問の「お客様対営業」といった関係ではなく、同じ印刷人としてオペレーターさん達と1日を過ごせるので、私にとっては貴重で有意義な時間となっている。

当社は印刷現場に関わる製品を幅広く扱っており、ローラー交換メンバーも全員オペレーター出身な為、ローラー交換をしながら、お客様から様々な日頃の問題点を質問され、その一つ一つに対応している。今後もローラー交換サービスを通じて、お客様の印刷に関しての日頃の問題点を解決する総合的なサポート役を目指して日々の勉強をしていきたいと思う。

筆者:
 
No.017 メンテナンスと生産性 2008/03

近年、小ロットや短納期が当たり前の世の中になり、印刷現場では、毎日納期に追われて、目の前の予定を消化する事に集中しているのが現状だと思います。確かに、現場としては印刷機をどれだけ稼動するかが生産性を向上させ、会社の売上と利益に繋がります。しかし、印刷機の稼働率ばかりを追求することは本当に会社のメリットとなるのでしょうか?人間も時には体を休めたり、ケアするのが必要なのと同じく、印刷機も定期的なメンテナンスが必要です。このような事を言うと、「既に自社では定期メンテナンスを実施しているし、メンテナンスの重要性も理解している」との反論も有るかと思いますが、私自身が毎週のように全国の印刷会社を訪問して感じるのは、メンテナンスの重要性を理解して、定期メンテナンスを実施している会社は意外に少ないものだという事。そのような背景があり、今回はもっと印刷機を愛してほしいとの願いを込めてコラムを書いています。

印刷現場として生産性を上げる事も大切ですが、印刷の刷り直しや機械の修繕費といった余計な出費を出さない事も非常に大切な事です。年間の修繕費の内訳を調べると、中にはもちろん突発的な故障も有ると思いますが、経験上、未然に防げるトラブルが半数近くに上るのではと思います。例えば定期的に給油またはグリスアップを怠った事によるマシントラブルなどは、調査すると数多く有るものです。

現場の責任者や経営者の立場から考えると、勤務時間内に機械を止めてメンテナンスを行う事に強い抵抗を感じるかもしれませんが、印刷トラブルを未然に防ぐためにも、是非定期メンテナンスを仕事の一環として捉えてほしいと思います。そしてオペレーターの皆さんには、もっと印刷機を大切にしてほしいと訴えたい。例えば、自分の愛車に関しては定期的にオイル交換や洗車もする。これは自分で苦労して手に入れたという意識を持っているからこその行動だと思います。それと同じように、印刷機は会社から与えられた物ですが、自分の給料を生み出してくれる大切なツールです。そういった意識を持って印刷機と接するようになれば、自然とメンテナンスをやろうという気も起り、その結果「印刷トラブルの減少」、「印刷品質の向上」、そして「生産性の向上」という、会社にも自分にもプラスになる相乗効果に結びつくと思うのです。

印刷機の定期メンテナンス。まずは一つずつ、丁寧に。是非実行してみて下さい。

筆者:
 
No.016 コーヒーブレイク 2008/03

このコラムを担当するのも4回目となり、メンバー達もネタ探しに苦労をし始めているようです。そんな自分もその1人。今回は印刷の話から離れ、ちょっとコーヒーブレイクという事で、スターバックスコーヒーの話をしようと思います。

自分はスターバックスコーヒーの大ファンです。日頃街でスタバの店を発見すると、凄く嬉しくなるし、平日仕事をしつつ、スタバで打ち合わせが出来る日などはとても幸せになります。

スターバックスは単にコーヒーが美味しいというだけではなく、お洒落なインテリア空間、教育が行き届いた従業員、続々と出てくるCDやマグカップ等の関連グッズがいつも心地よい気持ちにさせてくれるし、従来1杯150円程だったテイクアウトコーヒー市場に対して、倍以上の1杯350円でもお客様を呼び込むブランドを確立した会社としても尊敬の念を抱いています。

そんな自分が、先週はバンクーバーに出張。ホテルに到着してテレビをつけると、スタバについての素晴らしいニュースが飛び込んできたので、この場を借りて皆さんに紹介しようと思います。

アメリカ・ワシントン州のタコマという街のスタバに毎朝通うアナマリー・オースネスさん(55歳・女性)は腎疾患を20年程前から患っており、最近主治医から肝臓機能がひどく低下し移植が必要と宣告されました。通常は家族の中で移植に適合するタイプが居るものですが、彼女の場合は運悪く誰も適合せず、一般から臓器提供者を探すことになりました。しかし、適合する肝臓を持つドナーを探し出すのは至難の業。アナマリーさんはとても落ち込んでしまったそうです。

そんなある日、毎朝アナマリーさんのコーヒーを作っているスタバの女性従業員のアンダーソンさんが、元気のないアナマリーさんに気付き、事情を聞いた後に驚くべき事を言いました。なんとアナマリーさんの為に、自分の肝臓が適合するかテストに行ってみるわ、と答えたそうです。

そして数日後、いつものようにアナマリーさんが朝のコーヒーを頼むと、アンダーソンさんがとびきりの笑顔で、「適合したわよ!」と伝えたそうです。2人はその場で手を取り合ってワンワンと泣き出したそうです。

そしてその手術が先週の3月11日にシアトルの病院で行われ、アンダーソンさんの右の肝臓がアナマリーさんに無事に移植成功。このニュースは「スタバの従業員がメニューにない素晴らしいプレゼントをお客様に提供!」として全米でニュースとなりました。

明るいニュースが少ない印刷業界ですが、こんな元気が出るニュースも良いものですね!

ニューヨークタイムズ ウェブ版
http://www.nytimes.com/2008/03/04/us/04barista.htm

筆者:
 
No.015 石油系溶剤(洗浄剤)の危険性、取り扱いについて 2008/03

今回は、洗浄剤の主成分である石油系溶剤の危険性について説明したいと思います。
石油系溶剤は、主にガソリン、灯油、軽油に相当するものを化学処理して製造されます。
種類によって物性はかなり異なりますが、中でも共通する特性としては揮発性(蒸発して気体になる性質)、可燃性、脂溶性(脂質を溶解する性質)の三つが挙げられます。
一般的に有機溶剤の危険性としては『火災』と『中毒、皮膚刺激』があり、『火災』は揮発性と可燃性に、『中毒、皮膚刺激』は揮発性と脂溶性に関係があります。

先ず『火災』についてですが、可燃性液体から発生する蒸気が着火源にふれて炎上する現象を引火といい、蒸気が引火を起こす濃度に達したときの液体の温度を引火点といいます。
引火点が30℃未満のものを引火性物質、30℃以上100℃未満のものを可燃性物質といい、火災危険性の高いものは消防法により危険物と指定され、貯蔵や取り扱いについて様々な規制が設けられています。引火性液体は消防法で第4類に該当し、更に引火点が21℃未満のものは第1石油類、21℃以上70℃未満のものは第2石油類、70℃以上200℃未満のものは第3石油類と分類されます。


但し、溶剤が紙や布にしみこんだ場合は引火点より低い温度で着火する場合もある為、より一層の注意が必要になってきます。

次に『中毒、皮膚刺激』についてですが、溶剤が皮膚や粘膜に付着した場合、その脂溶性の為に刺激作用を起こし、そういった付着が繰り返されることで皮膚の脂肪が失われて炎症、ひび、あかぎれを起こす他、皮脂線を通して体内に侵入していきます。また、その揮発性の為に、蒸気となって呼吸の際に肺から人体へ吸収され、許容量を超えると中毒症状を起こす場合があります。体内に吸収された溶剤による中毒としては、急性と慢性の病状があります。急性中毒は高濃度の蒸気を吸入した場合に起こり、一時的に脳や神経の機能が失われて麻酔状態が現れます。そして極めて濃度が高い場合には意識不明、死亡する事もあります。慢性中毒は低濃度の蒸気を長期間吸入した場合に、神経障害、頭痛、めまい、肝障害などを起こす様を示します。

石油系溶剤の中毒危険性に関する法令の一つとして有機溶剤中毒予防規則(有機則)があります。有機溶剤を製造、または取り扱う際の健康障害を予防することを目的としており、溶剤中毒の危険性のある54種類の有機溶剤が指定されています。有害性の程度のより大きいものから、第1種〜第3種に区分されており(※石油系溶剤で第1種に指定されているものはありません。)、有機則の規定は要点を挙げると以下の通りになります。

  1. 衛生管理体制‥規定している溶剤を取り扱う場合、事業規模により衛生委員会(統括安全衛生管理者 他)を設ける。
  2. 環境管理‥第1種〜第3種に応じて、排気設備、換気設備を設ける。
  3. 作業管理‥作業場に、溶剤の人体に及ぼす作用、注意事項、応急処置を掲示する。作業環境濃度の測定を義務付ける。
  4. 健康管理‥保護具の着用、定期的な健康診断を義務付ける。

作業環境を安全な状態に保つには、扱う洗浄剤(他化学製品)の危険性を十分に理解して、細かいことと思うことでも法令などの規定をきちんと守って作業するのが最も大切であると思います。弊社におきましても、引き続き製品に含まれる化学物質とその安全情報を提供していく事に努めていきたいと思います。

筆者:
 
No.014 テンション調整 2008/03

オフ輪印刷で重要なポイントは?というようなことを聞かれた時、自分は「テンション」と答えることにしている。

勿論、「湿し水」「ローラー状態」「ブランケット」など他にも大切な要素はある。あるが、そんな中でも自分は先ず「テンション」を挙げる。

湿し水やブランケットを指摘する材料メーカーは多いが、テンションに言及する人間はあまりいない印象がある。
湿し水の不具合と言えば、汚れなど絵柄上のトラブルだけであるが、テンション調整がきちんとなされていないと、見当や折り精度、シワの発生など様々なことに悪影響を及ぼす。人間の身体で言えば肝心要の「腰」の部分に該当すると言えるかもしれない。

テンションは、「インフィード(給紙部からドライヤー出口まで)」「クーリング」「ウェブ(折り機)」の3ヶ所のバランスで調整される。具体的な設定値は、機種や紙の斤量などにより異なるのでここでは説明出来ないが、とにかく3者のバランスが重要である。

インフィードが強過ぎるとシワが発生したり、ウェブが弱いと折りズレが生じたりする。適切な設定は経験で得ていくしかないが、経験の少ない若手オペレーターは、テンションを重要視しない傾向があるように思われる。少なくとも水やブランケットを気にする程には、注意を注いでいないだろう。

ベテランオペレーターには「当たり前だろ」と叱られてしまいそうだが、もしこのコラムを若手のオペレーターが読んでいたら、今後は少しテンションを気にしてもらいたい。走行中の紙が適切なテンションでピンと張られていると、見当や折り精度がとても安定する。特に一昔前のオフ輪機はテンション調整が全て手動であるので、色々と操作してみて、紙・斤量別の適切なテンションを探してもらいたい。

最後に裏技を紹介。

テンションを上げるとシワが発生、下げると紙が蛇行して見当がズレる。そんな、うまくバランスが取れない状態になった時は(薄紙でなりやすい)、シワが発生している箇所のガイドローラー端にテフロンテープやガムテープを巻いてもらいたい。そうすることで紙の張り具合が安定し、多少テンションを高めにしてもシワが発生し難くなる場合もある。一度試してみて下さい。

筆者:
 
No.013 スプレーパウダーの選定方法 2008/02

油性の枚葉印刷では、裏移りやブロッキングを防止するためにスプレーパウダーを印刷物に吹き付ける必要がある。油性インキの乾燥方式は酸化重合型と呼ばれ、空気と触れることによって乾燥する仕組みになっている。パウダーの役割は、積み重ねられた印刷物の間に入り込み、空気の流れる隙間を作り出す事でインキの乾燥を促進させる事である。

パウダーには様々な種類があるが、選定のポイントは大きく分けて2つある。

1 つ目のポイントは粒子サイズ。粒子サイズは一般的に15μから50μまであり、最適なサイズの選択は使用する用紙の厚みによって考えると良い。例えば、0.1mm以下の用紙をメインに印刷するのであれば15μ。0.2mm位までの紙を印刷するのならば20μがベスト。それよりも厚い紙ならば30μ以上のパウダーを選ぶことで裏移りのトラブルを未然に防ぐ事が出来る。

基本的には、薄い紙には細かな粒子、厚い紙には粗い粒子を使用すべきだが、粒子が粗くなるに連れて表面のザラザラ感が残りやすいので、品質が重要視される印刷物にはなるべく細かな粒子を選ぶと良い。という事で、パウダーの粒子サイズは用紙の厚みを基準にして、用紙の種類や印刷絵柄を考慮して微調整する事をお勧めする。

2 つ目の選定ポイントはパウダーの表面加工の有無。パウダーは主にコートタイプ(撥水型)とノンコートタイプ(親水型)に分かれ、コートタイプは水に溶けにくく、ノンコートタイプは水に溶けやすい特徴を持つ。現在使用しているパウダーがどちらのタイプか分からなければ、コップの水にパウダーを入れるとすぐに判断が出来る。コートタイプは水の上に浮いたままの状態だが、ノンコートタイプはすぐに溶けて無くなってしまう。

この水との相性はブランケット残りとデリバリー上に溜まったパウダーに大きく影響するので覚えておいてほしい。片面機で両面の印刷を行うには印刷機を2回通す必要があり、裏面の印刷を行う時には先行面を刷った時に付着したパウダーがブランケットに残ってしまう。この時、ノンコートタイプのパウダーを使用すると版からブランケットへと伝わる湿し水がパウダーを溶かしてくれブラン残りの発生を抑えるが、コートタイプのパウダーは水に溶けないので、そのままブランケットに残ってしまう。

またデリバリー上に溜まったパウダーは湿気との関係が深く、ノンコートタイプのパウダーは湿気の影響から固まりやすく、しばしばボタ落ちの事故を発生させてしまう。それに対して、コートタイプのパウダーは湿気の影響はほとんど受けず、デリバリー上でも固まらず、ボタ落ち事故を発生させない。

コートタイプとノンコートタイプの選択は、使用印刷機と仕事内容によっておおまかに分かれる。例えば両面専用機であれば仕事のほとんどが1パスなので、ブラン残りの心配がなく、後はボタ落ちに注意すれば良い。という事で、コートタイプを選択することが正解。それとは逆に、片面機で常に2回通すような場合には、ブラン残りを極力無くすためにノンコートタイプをお薦めしたい。どちらを選ぶとしても、ボタ落ちに関しては小まめな清掃を行なう事で回避出来るので、ブラン残りの対策を優先に考えるべきだと思う。

どちらのタイプか選びきれないという場合は、中間の性能を持ったハーフコートタイプもお薦めである。これはパウダー表面の半分を撥水コートしたもので、空気中の湿気には強いが水そのものには弱い特徴を持っている。

以上のようにパウダーの選定には、粒子サイズと表面加工に注意して行なうことがトラブル軽減の近道となる。

弊社ではコートタイプ、ノンコートタイプ、ハーフコートタイプのパウダーを取り揃えており、パウダー関連のトラブルに対して的確なアドバイスと、印刷条件にマッチしたパウダーの選定をお手伝いしております。単に裏移り対策だけでなく、使用量の削減、さらには現場環境の改善までご協力させて頂きますので、質問等御座いましたらお気軽にお問い合わせください。

筆者:
 
No.012 2008/02

私たち印刷業界に携わっている中で、「色」という言葉は大変重要な要素の1つである事は言うまでもありません。

では、「色」とは一体どのように表現されているのでしょうか?印刷に於ける基本色はCMYK(シアン・マゼンダ・イエロー・ブラック)の4色で、それらを基に様々な色が再現がされています。また、テレビなどのモニターではRGB(レッド・グリーン・ブルー)の光の三原色による組み合わせで表現しています。
私たちが普段目にする印刷物の殆どはCMYKの4色から構成(最近では6色や7色も存在)されていますが、印刷の詳細を知らない人にとっては写真集等の雑誌がたったの4色で再現されているなんて信じられないことでしょう!現に私もこの業界に入るまでは知らなかった一人です。

そこで、今回は実際に色とはどれだけの種類が存在し、どう表現するかを簡単に説明したいと思います。例えば、誰もが学生時代に体験していると思いますが、「黄色」の絵の具と「青色」の絵の具を混ぜると理論上「緑色」になりますが、その割合によっては様々な緑色が無数に出来上がります。その出来上がった色を数値的に表す方法としてマンセル色体系という物があります。これはアメリカの美術教育者であるアルバート・マンセル(Albert H. Munsell、1858-1918)によって色という概念を系統的に扱うために作り出された物で、「マンセル表色系」あるいは「マンセル・カラー・システム」などとも言われています。

マンセル色体系では色の3属性は色相・明度・彩度とされており、色相は赤(R)、黄(Y)、緑(G)、青(B)、紫(P)の基本色と黄赤(YR)、黄緑(GY)、青緑(BG)、青紫(BP)、赤紫(RP)の中間色の合計10色に分割されています。(図1)

明度は最も明るい白を10、最も暗い黒を0として色の明るさを表し、彩度は色の無い無彩色を0として色の鮮やかさの度合いにより数字を大きくしていくことで色の鮮やかさを表します。
この3属性を含めて視覚的に図示したのが「マンセル色立体」と呼ばれるもので、地球儀のような球体の形をしています。(図2.3)

このように、決して色は感覚のみに従事するものではなく、属性を持つ、数値化可能な一つの表現要素と言えるのです。
印刷品質の管理手段の一つとして一昔前は主に濃度計が用いられていましたが、現在ではそれに加えて色彩計(分光測色計)等で管理する会社が増えてきています。これは図3にある様に横軸にa軸、縦軸にb軸、中心の前後にL軸を設定し、それぞれの値で色の数値化(Lab値と言います。)し、色の面から品質を徹底管理するのに優れています。

今まで皆さんの中にも印刷立会いなど経験で、「ちょっと色が違うんだよなぁ〜!もう少し赤味を抑えて!」と言われるような経験があったと思いますが、そういった個人個人の感覚における色の違いも色彩計を用いれば、きちんと数値で表す事ができ、その数値に忠実に再現することも可能なのです。
色々な絵の具を使って無数の色を作るのと同じで、印刷でも調整次第で様々な色を作り出す事が出来ます。そして、それぞれの色はきちんと数値化(Lab値)することも可能です。基本的には見本(原稿)に対して忠実に再現する事がプレスマンの役割、そして義務ですが、言い換えれば、自分の調整次第でどんな色にも表現し得るという面白さがあると思うのです。印刷の面白さ、プレスマンである事の面白さはそこにあるのかも知れません。

※引用図:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

筆者:
 
No.011 工場緑化のすすめ 2008/02

先日飛行機の機内誌でアル・ゴアの「不都合な真実」の翻訳をした環境ジャーナリストの枝廣淳子さんのレポートを読んだ。産業革命後の化石燃料(石油、石炭、天然ガス)の大量使用により、今日人類は大気中に年間72億トンの二酸化炭素を放出しており、地球の森林生態系と海洋が吸収出来る31億トンを大幅に上回り、自然のバランスを狂わしてしまっている。この余剰な二酸化炭素が大気中に溜まり、今日の地球温暖化の原因となっており、気温上昇以外にも、ハリケーンや台風の巨大化、北極やグリーンランド等の氷が溶け海面上昇が始まっている。地球温暖化により産業革命(一般的には1760年〜1830年)以前の温度より地球の平均温度が2℃高くなってしまうと、地球環境が急激に変わり、「飢餓が増える」「マラリアが増える」「水不足が広がる」等の問題に繋がってしまう。この100年で地球の温度は既に0.74℃上がってしまっているので、残りの約1.3℃上昇を防ぐために、人類は大きな方向転換をしなければならないという趣旨のレポートだった。

我々印刷業界も、地球温暖化には遠かれ少なかれ影響を及ぼしていると思う。
印刷現場では石油ベースの諸材料を使用しているし、電気は大量に使っているし、地球の樹木を伐採して、それを用紙にして印刷を行っている。いわば、二酸化炭素を大量に発生しつつ、二酸化炭素を吸収してくれる木に印刷を行っているといった具合だ。

それに対して印刷業界は何をすべきか?

自分は一つのアイデアとして、工場の緑化を提案したい。
日本全国の印刷工場の屋根を緑化し、壁面を緑化し、駐車場を芝生に出来たら、緑が二酸化炭素をどんどん吸収してくれる。印刷工場全体を環境仕様にしてしまえ!というアイデアだ。

早速昨年から緑化を勉強して、屋上緑化から壁面緑化まで日本にある緑化方法は全て提案出来る体制を整えつつある。

これに賛同して下さる方がいる場合は、ご一報下さい。御社の予算に合った最適な工場緑化を実現致します。

筆者:
 
No.010 「PRTR」について 2008/02

基本的なところから復習するつもりで、化学物質に関連する法規制、制度について、先ずは「PRTR」について説明したいと思います。

環境中に排出された化学物質、例えば農薬などは、害虫駆除などのメリットと、使いすぎると人の健康や生態系に有害な影響与えるデメリットの両面性を持っています。このデメリットを「環境リスク」といいます。 

このメリットとデメリットのバランスを考えながら「環境リスク」が小さくなるように化学物質を使用することを、「リスク管理」といいます。また、大勢でリスク管理を考えることを「リスクコミュニケーション」といいます。

PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:化学物質排出移動量届出制度)とはリスクコミュニケーションの道具として制度化されたもので、「使用してはいけない」などの規制的な性格はもっていません。環境リスクを持つ化学物質(435種を指定)の排出削減に取り組んでいくためには、その出発点として、どのような化学物質が、どこから、どのくらい、環境(大気・水域・土壌など)中へ排出されているか(排出量)、廃棄物などとして移動しているか(移動量)を把握し、基本的な情報をすべての関係者に開示、共有することにより、市民の監視のもと企業の自主的な削減努力を促すことを目的としています。企業の排出・移動量は、自ら調査・把握して都道府県に届け出ることになっていて、排出・移動量を把握する方法は国によってマニュアルが作成されています。

合理性のある制度と思われますが、いくつかの問題もあります。

  • 都道府県に届けられて、開示対象とされるのは、最終的な集計結果の数値(俳出、移動量)だけで、企業ごとの数値は開示請求しなければ入手出来ない。
  • 数値の検証を行うことは難しい。
  • 把握されるのは「排出量」、「移動量」だけであり、「使用量」については把握されない。
  • 年間1トン(発がん性のある12物質については0.5トン)以上取り扱う事業者に課せられ、小規模事業者や家庭からの排出については免除されている。
  • 合成洗剤(合成界面活性剤)などの有害化学物質が家庭から排出されている。

これらの諸問題はあるものの、PRTRのそもそもの目的である「リスクコミュニケーション」については企業として率先して行うべきだと考えます。

弊社としましては、PRTRで指定された435種を含めて、公的に環境リスクが明らかになった化合物については率先して使用削減または停止をして、「環境リスク」の小さい化学物質での製品開発を追求して行きたいと思います。

筆者:
 
No.009 静電気 2008/01

私は枚葉印刷のオペレーターを9年間経験しましたが、毎年冬場になると静電気に悩まされていた事を思い出します。今では印刷資材を売る営業として日本全国の印刷会社を訪問していますが、多くの印刷会社が冬の静電気には苦労をしています。

静電気のトラブルとして一番に挙げられるのが給紙または排紙不良。これは作業時間のロスに繋がり、酷い時には用紙が不足してしまう事もあります。経験豊富なオペレーターはどうにかそれを扱うことも出来ますが、冬場の静電気は現場の大きな負担となっている事には間違いありません。

「そんな静電気の軽減方法は?」と聞かれると、自分は「まずは加湿コントロールです!」と答えています。

印刷現場の適正な湿度は55%前後で、現場がこの適正値をキープしているかの小まめなチェックが大切。いわば「湿度の見える化」が重要になります。適正値がキープ出来ている場合はそれ以上の加湿は無用。湿度を上げれば上げるほど静電気の発生は無くなりますが、インキの性質の変化や機械の腐食等の弊害が発生してしまうので、やりすぎには注意が必要。もし、湿度が適正値よりも大きく下回っているのならば、加湿器の整備や出入り口を2重シャッターにするなどの改善が必要となります。

もし加湿器の設置等の多額の費用をかけずに静電気を解決したい。または、フィルム等の印刷で適正湿度の環境下でも静電気が発生してしまうという場合は、除電効果のあるロープの設置をお勧めします。

弊社は静電気を解決する為の加湿器から除電ロープまで様々な商品を取り揃えております。湿度の見える化には「デジタル温湿度計」がピッタリですし、安く静電気を解決したい場合は、「静電防止ロープ」シリーズをお勧めします。

製品の正しい設置方法もアドバイス致しますので、静電気にお困りの場合は、是非ご一報下さい。

電話:03-3856-5111
mail:kiryu@lohas-print.com

筆者:
 
No.008 24時間体制と賃金 2008/01

現在、オフ輪の印刷会社は24時間作業を実施しているところが多い。

これはオフ輪印刷機が「大ロット」「短納期」に対応していることが、大きな要因の一つになっており、例えば数百万部という印刷物を数日で納品しなければならないのだから、夜中であっても機械を停止させるわけにはいかないのである。

24時間勤務は概ね、2交代制か3交代制のどちらかが選ばれている。

早番(例・8時〜20時)と遅番(20時〜8時)が1週間ごとに入れ替わるのが2交代制。一方、3交代制は2日ごと(会社によっては3日ごと)に入れ替わる。『早番を2日間_遅番を2日間_休日2日間_早番に戻る』といった具合だ。自分はどちらも経験したが、正直、労働条件としては良いものではなく、これが若手オペレーターの職離れの一因となっている。

先日、知り合いの若いオフ輪オペレーターが職を離れた。

3交代制で働いていた彼の月給は、手取りで15万円以下だったそうである。土日関係なく夜勤もこなしながら数年頑張っていたが、賃金が労働条件に見合わずとても続けられないと判断したようだ。

前回のコラムと重複するが、現在、印刷会社の多くは、人員(特に若手オペレーター)の確保に四苦八苦している現状がある。高齢化社会の時代に突入し、この問題はさらに深刻化していくだろう。

CMS(カラーマネージメントシステム)など印刷品質の強化を計り、その為の設備投資を行なう印刷会社は増えているが、従業員の給与を(上げる方向で)見直す会社の話は聞いたことがない。勿論、支払いたくても支払えない事情もあるかとは思うが、それは印刷単価の低価格競争が招いた結果でもある。

単価を下げ仕事を確保出来たとしても、人員がいなければ印刷機を稼働させることは出来ない。そういった当たり前のことを、もう1度認識しなければならないのではないだろうか。

筆者:
 
No.007 インラインコーター 2008/01

最近、印刷展示会や業界紙などで「インラインコーター」という言葉を良く耳にすると思うが、これは印刷ユニットとは別にニスの専用ユニットが有り、印刷と同時にニス引き加工をインラインで作業できる事を意味する。

ニス引きを行う理由としては印刷表面を保護する事が目的とされ通常のユニットを利用してのOPニスと専用コーターを用いる物の2つに別れる。元々、インラインコーターを導入する印刷会社の多くはパッケージを主体とした印刷会社が多く、IRシステム(赤外線乾燥)との組み合わせで、厚紙でも棒積みが可能となり作業性が大幅にUPした。しかし、ここ数年はUV乾燥システムとの併用で様々な付加価値印刷が可能となった事でパッケージ印刷以外にも一般商業印刷分野でもインラインコーターが装備された印刷機が数多く導入されている。付加価値印刷の例を挙げると、

  1. 擬似エンボス加工
  2. スクラッチ印刷
  3. 圧着ニス加工
  4. 光沢スポットニス

などが有る。
コーターシステムとしてはロールコーターとチャンバーシステムが有り、現在はアニロックスローラーを使ったチャンバーシステムが主流となっている。ロールコーターは簡単に言うと連続給水システムと似ており、元ローラーの回転量によってニスの塗布量を増減できる。しかし、天地によっての塗布量が均一にならない欠点がある。その点、アニロックスローラーはローラー表面に彫刻加工を施しセル容積を形成させてニスを塗布させるため、印刷全体を均一な皮膜で管理する事が可能となり、現在はこちらが主流となっている。しかし、塗布量を変化させるためにはセル容積の違ったローラーに替えなければならない事がある。

このようなインラインコーターを使う事によって、印刷直後でも後加工が可能となり生産性をUPさせたり、他社では出来ない付加価値印刷で差別化を図る事によって、決して成長産業とは言えない厳しい印刷業界の中で、受注を増やす会社も数多く有る。

弊社ではこのようなインラインコーターで使われる資材(コーター版・ブランケット・洗浄剤等)も数多く取り揃えており、他社との差別化を図る印刷会社をバックアップしています。

筆者:
 
No.006 印刷機1オペレーター時代の到来? 2008/01

昨年の6月に仕事でデンマークに行った。デンマークの印刷資材メーカーとの商談がメインだったが、そのついでに現地の印刷会社も見学させて貰った。驚いた事が、日本では通常2人で印刷を行う菊全の4色機、5色機をデンマークでは1人で印刷をしている点。社会福祉の国、デンマークでは税金ががとても高く、人件費が馬鹿にならないので、ずいぶん前から印刷機は1人で回すというのが当たり前だそうだ。

そのデンマークの取引先の人間に、「デンマークでオペレーター1人の月の人件費はどれだけかかるの?」と聞くと、「日本円で60万円以上はするでしょ」との事。「ひえー」である。

話はアジアに飛び、弊社は昨年、中国の大連に支社を設立し営業活動を開始している。人件費が月2万円程度の中国では、1台の印刷機にオペレーターが1人、アシスタントが3人いるので、デンマークとの差に笑ってしまったことがある。しかし、中国は別の事情があり、オペレーターがどんどん給与の高い会社に移籍してしまう為に、印刷会社は常にスペアの人材を育てる必要があり、1台の印刷機を4人で回しているという背景もあるようだ。

中国の人件費の安さは公然の事実だが、デンマークの人件費の高さはあまり知られておらず、今回のコラムを書く上で是非とも裏付けが欲しかった。インターネットで調べたところ、総務省の「世界の統計2007」という資料にたどり着いた。このデータには各国の平均賃金が報告されており、日本は最新情報が2005年調べで平均賃金は月 292,100円。中国は23,131円。そしてデンマークは驚きの671,440円である。しかし、この所得に対して国税と地方税で平均69%が国庫に収まり、消費税も25%である。67万円の約3割=約20万円が手元に残るという事で納得できる数字だが、この高賃金を支払う経営者にとってはたまらない。印刷機を1人で回そうと考えるのも理解出来る。

さて、話を戻し日本の印刷業界。相も変わらずの低価格競争で印刷単価の下落は進んでいる上、印刷用紙やインキ等の諸材料は値上がるという大変な状況に置かれている。そんな中での経営判断の1つとして北欧型の印刷機を1人で回すというスタイルに移行し、販売管理費の削減を目指す事もありだと思う。

弊社では印刷機を1人で回す、1人でメンテナンスをするのに適した商品も取り揃えているので、興味のある場合は営業スタッフに相談して頂きたい。

筆者:
 
No.005 洗浄剤について 2007/12

オフセット印刷で用いられるインキを成分で大きく分けると、「顔料成分」と「ビヒクル成分」に分けられます。顔料成分は色材としての働きを持ち、ビヒクル成分は様々な樹脂、植物乾性油、鉱物油、高沸点・低沸点溶剤、ワックスから成るもので、顔料を分散させたり、インキ壷から版、紙などの素材へスムーズに移動させる「膜」となって顔料を固着させるなどの働きを持ちます。 いずれの成分も水に溶けないので、洗浄するには主成分として溶剤が必要になります。

溶剤として以前から用いられてきた、石油系芳香族炭化水素成分(アロマ)、揮発性有機成分(VOC)は中核神経や腎臓及び肝臓への機能障害を誘引したり、麻酔作用や皮膚・粘膜刺激作用を起こすため、作業安全性や大気汚染防止の観点から、代替成分への移行や削減が進んでいます。

代替成分として、揮発性の低い石油系肪族炭化水素(ナフテン系、パラフィン系)が実用段階に入っており、植物由来の炭化水素、脂肪酸エステルも検討が進んでいますが、コストが上がってしまう事と、溶剤の乾燥性が悪くなり、から拭きや水拭きといった一工程が増えて作業効率が悪くなってしまう事が普及を遅らせているようです。

化学物質の環境、及び人害リスク管理も様々な法規制を通して進んでいますが、現実的には作業安全性や大気汚染防止と同様に、コストや作業性もクリアしないと、普及していかないのが現状だと思います。そのことを踏まえると、洗浄剤を供給する側として、ユーザーにハードルの高い規制への理解を呼びかけるだけでなく、『需要者各現場に即したレベルアッププラン』、『環境・人害リスクの段階的な軽減の説明』、明らかにリスクの高い化合物の使用を除く『各段階に対応するベストな洗浄剤の設計』を提示していく必要があると思います。

当社としましても、まだまだユーザーの皆様に納得の行くプランを用意できていないのが現実。2008年は少しでも前進できるよう努力したいと思います。

筆者:
 
No.004 オフ輪の印刷単価 2007/12

現在、印刷料金は年々下落傾向にあり、特に顕著なのがオフ輪の印刷単価です。
印刷料金は1色=○銭と決めるのが通例で、これを印刷単価と言います。表4色+裏4色=8色なので、例えば1色16銭の契約ならば、印刷物1部の印刷料金は16×8=128、つまり1円28銭となります。オフ輪で最も普及しているB縦半裁機の紙サイズは概ね765mm×546mm。そのサイズを1部印刷して1円28銭の料金となるわけです。

さて、その印刷単価ですが、1色12銭が採算の合うラインと言われていました。1部にすると96銭。ほぼ1円です。1円を切ったら儲けが出ず、何かミスでも出して巻取り(紙)を買い足すなどしたらもう赤字決定とも言われていました。ところが最近、1色6銭(1部=48銭)まで印刷単価を下げている会社があると耳にしました。採算が合うのか外部からはわかりませんが、そこまで下げても仕事を確保したいというのが実情のようです。

当然、その皴寄せは現場のオペレーターに来ます。賞与・給与のカット、人員の削減などなど。一昔前まで3〜4人で1台の機械を廻していましたが、現在は2人が主流になり、もっと過激な会社は1.5人体制(機械2台に3人)を取るところもあります。つまり仕事はキツくなったのに収入は減ったということです。結果として若手オペレーターの多くが、職を離れてしまい、多くのオフ輪会社では【現場の若返りを進めたいのに慢性的な人員不足】という現象が起きているようです。

今年に入り印刷材料のメインである「紙」と「インキ」の価格が上がりました。こうなると印刷会社の利益幅はさらに狭まり、その皴寄せがまた従業員に波及するでしょう。

この現状を克服する為には、印刷単価を上げる事が必須になり、色々な会社が現在模索中の状態です。以前はオフ輪そのものが、「枚葉機の数倍のスピードで印刷を行い、大ロット・短納期を実現する」という付加価値印刷でしたが、市場に印刷機が1000台以上もある今日では、各社が少ない仕事のパイを低価格で奪い合っている現状になっています。折り加工等の後加工で差別化を図ろうとしている会社もありますが、実際のところ格段に利益が上がる程でもないようです。

という事で、オフ輪印刷の単価を上げるという課題は、なかなか結論を出すのが難しい問題だと思います。しかし、印刷会社としての利益を守り、将来の担い手になる若手オペレーターを今後も育成・確保する為には、例えば、大手インキメーカーが足並みを揃えて値上げを行ったように、オフ輪業界全体も一丸となって取り組んで欲しいと、私個人は考えています。

先日聞いたあるオペレーターの言葉が印象的でした。彼は自分が刷った印刷物(チラシ)を拡げ、こう言いました。

「これだけ頑張って仕事しても、このチラシが1円にもならないんです。やる気を失くしそうですよ」

筆者:
 
No.003 2007/12

印刷現場には、数ある色を上手に組み合わせクライアントの希望する色を出すことが求められる。クライアントの希望に沿った色を出せる印刷会社こそが、より多くの受注を得ることが出来る。

しかし、色というのは何も印刷物だけに限ったことでは無く、印刷会社自体もそれぞれ異なった色を持っている。それは各会社の経営方針や企業理念、会社の体質などで大きく分かれるのだが、その影響はとても大きく、現場の方の技術レベルや考え方、さらには人間性をも左右してしまう。

現場で働く方の大半は学校を卒業して印刷会社に就職する。印刷はもちろん、社会の常識も現場の環境の中で学んでいくのだから当然と言えば当然の事だと思う。言わば、その会社の常識が世間の常識となってしまう。

そのような状況が起きてしまう理由は、印刷会社同士の横の繋がりが少ないからである。とは言え、会社のトップに立つ方であれば他の印刷会社へ見学に行ったり情報交換をする機会も多い。そしてたくさんの刺激を受けて自社に戻り、社員にこのような指示を出す。

「A社の現場はもっと綺麗だぞ!もっと整理整頓をしなさい!」
「A社のようにやり方を変えて生産性を上げなさい!」

しかし、自社の常識しか知らない現場の方にそのような声は届かない。目で見て印刷物を確認する印刷オペレーターにとっては、実際に見てもいない事を実践しようとは思わない。
さらに、印刷では頻繁に慢性的なトラブルが発生する。そんな時に「他の会社ではどうやって解決しているのだろう?」と考えた事があるオペレーターは少なくないはず。しかし、他の会社のやり方を聞く術はないので自社の常識の範囲内で解決するしかない。

このような状況を打破するためには、現場の方同士での情報交換の場が必要となり、自分の目で様々な物を見て確かめて、現場のレベルアップを図らなければならない。そして、今まで持っていた自社の色と新たに手に入れた他社の色を混ぜ合わせ、クライアントの求める色を造り続けなければならない。

「オフセット印刷.net」がそんな交流の場になることを望んでいます。

筆者:
 
No.002 印刷技能オリンピック 2007/11

「技能オリンピック」というイベントをご存知でしょうか?

2007年ユニバーサル技能五輪国際大会(通称:技能オリンピック)が先週静岡県で開催され、世界62ヶ国から3,700名強の参加者が集まり、48の職種で技能が競われました。第39回となる今大会では、印刷競技もその中に含まれ、微力ながら弊社もこの競技で使われる印刷資材の一部を提供させて頂きました。この技能オリンピックの歴史を調べてみると、以下の情報が静岡県のHPに掲載されていました。

『簡単にこの技能五輪の歴史を振り返ると、1950年にスペインとポルトガルとの間で技能の競技大会が開催され、これが第1回目の大会になりました。1966 年には参加国の代表により国際職業訓練機構が組織され、この組織委員会の定めた規約に基づき大会が運営され今日に至っています。

日本でも過去に、1970年第19回東京(千葉)大会、1985年第28回大阪大会の2回が開催され、今年が日本国内3回目の国際大会(2年に1度の開催)となりました。

大会趣旨は世界各国・地域の予選会を勝ち抜いた22歳以下の青年技能者が、国際大会の場でそれぞれの技能を競います。また大会を通じて参加国の職業訓練の振興及び技能水準の向上を図るとともに、国際交流と親善を目的としています。』*静岡県HP(技能五輪国際大会紹介)より抜粋

さて、注目の印刷競技は4色印刷で進められました。具体的な内容は3種類以上の用紙を使って、4種類の印刷作業を行い、時間内に規定の枚数を印刷するというもの。見本を忠実に再現することは勿論、印刷後、支給の濃度計を使用して濃度偏差(ドライダウン)、ドットゲイン(網点の大小変動)を測定しグラフ化することで、作品の印刷物と見本との変動を数字化で比較し品質チェックするという、高度な技術が求められました。

今回の印刷競技の結果は金賞がフランス、銀賞がスイス、銅賞がニュージーランド。日本代表は残念ながら6位で敢闘賞という結果でしたが、日本の印刷技術の高さを十分世界にアピールできたと思います。心より健闘を称えたいと思います。

私自身も長く印刷会社に勤務し、印刷を経験してきましたが、残念ながら当時は印刷競技が種目として存在していませんでした。そして種目が存在する今では、当然のことながら参加資格の年齢を遥かに超えているので参加は無理。残念!

技能五輪が存在するのだから、技能ワールドカップも存在しても良いのではないか?
技能ワールドカップの開催を思い描きつつ、日本の印刷技術における今後の発展に弊社が少しでも力添えできたら、と願うばかりです。

筆者:
 
No.001 時代はポストプレスへ 2007/11

ご存知の通り、日本の人口は2004年12月の1億2783万8000人でピークを過ぎて(2006年12月27日読売新聞より)、これから日本は人口減少時代に突入する。国立社会保障・人口問題研究所『日本の将来推計人口(平成18年12月推計)』によるデータでは、日本の人口は今後50年間で 3000 万人減って、9000万人弱まで減少するそうだ。人口が30%近くも少なくなってしまうという事は、すなわち国内市場が小さくなるという事で、印刷業界を含めた日本の多くの産業が既にピークを過ぎた減少マーケットに突入している。既に毎年減少傾向にある仕事量を各社ひっきりなしに取り合っており、それが印刷単価の下落という形になってしまっている。

誰もが分かるとおり、このまま印刷単価が下がり続けたら、体力のない企業は徐々に倒産や廃業に追いやられ、最後には体力のある中堅〜大手企業が残るという筋道が出来ている。しかし、小さいなりにもキラッと光る独自のノウハウがある会社はこの時代も生き延びることが出来るだろう。そんな独自のノウハウを持っているか、持っていないかが多くの印刷企業にとってこれからの勝負になると思う。

この独自のノウハウは機械メーカーが推奨する新機能を購入するだけでは足りないと思う。先日業界新聞である印刷機メーカーの新機能フェアーに1000人を超える参加者があったそうだ。どんなに新しい機能でも100社も200社もそれを採用してしまったら、独自性はなくなるというものだ。やはり目指すレベルは会社独自の特殊印刷を考え出して、それでパテントを取る位のものであろう。

印刷はプリプレス、プレス、ポストプレスに別けられるが、プリプレスとプレスに独自のノウハウを持つのは難しい。高級印刷などと謳っても、すでに高級印刷 は当たり前の世界なので、プレスで差別化を行うのも至難の技だ。という事で、時代はポストプレスに流れつつある。

筆者:
 
 

トップに戻る